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2018/08/15 [PR]
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2008/10/04 山手学舎物語‐ストラグル篇‐ 第1話:はじまりのとき・・・ 
ときは、2001年12月。 そして今日はとうとうやってきた舎長選挙の日だ。 すでに舎長になるべく立候補たちは、日誌にその意気込みを書いていた。 舎長の任期は1年。 1月1日
2008/12/18 第2話:これが現実・・・‐ストラグル篇‐
「さっきの話は本当だろうか」 「本当の話なら、僕ら全然そんな話聞いてないですよ」 「とにかく、真実かどうか確かめなければならないな」 「そうですね。とりあえず僕は明日、姉

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山手学舎物語‐ストラグル篇‐ 第1話:はじまりのとき・・・ 

ときは、2001年12月。

そして今日はとうとうやってきた舎長選挙の日だ。


すでに舎長になるべく立候補たちは、日誌にその意気込みを書いていた。

舎長の任期は1年。

1月1日から12月31日までとされている。

そして舎長は2人、選出される。

この「舎長」・・・所謂、寮長が2人選出されるというケースは大学寮の中では珍しい。

しかも10人足らずの寮で舎長が2人選出されるのだからなお珍しい。

しかし、これは山手学舎の伝統の中で受け継がれてきた形であり、またとても合理に適った人数であるとも言える。

それは裏返してみれば、少数精鋭の寮では寮長は1人では務まらないし、荷が重過ぎるという事が垣間見れるのではないだろうか。

僕も大学1年生・2年生のときは、

「寮長なんて1人で充分だ」と考えていた。

また僕は、1年生・2年生のときの寮長(舎長)の行動が不甲斐なく思えて仕方がなく

ついには

「僕さえ舎長(寮長)をやればうまく、事は納まるんだ!」

とさえ思うようになっていった。

そして僕は昨年の12月、意を決して、舎長選挙に立候補。
そして無事に舎長へと就任したのである。


僕が日誌に書いた立候補の理由、つまり公約には、

「アットホームな学舎作り」

というのが前面に出されていた。

内容的には

『どんなときでもお互いに無関心にはならず、どんなときでも共に助け合い、そして特に上級生は下級生に対して山手学舎の伝統を学ばせつつ下級生の悩みなどがあれば積極的に相談にのっていく。』

と言った具合だろう。

これが僕の選挙公約だった。

これはある意味、山手学舎が「家族のようになる」という事であったと言える。


僕は自分の力を信じ、そして自分ひとりでこの山手学舎を良くしていけるんだと思い、僕は今年の1月1日から舎長の活動に専念したのである。


そう、僕は

「舎長なんては俺1人で充分だ。これが立証されればこれから舎長は2人制から1人制としよう」

と思いながら。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あれから今日でちょうど、僕が舎長をしてから一年となった。


僕は今年の一月、自分の力だけを信じて舎長をやってきたがまた「アットホームな学舎づくり」を公約としてきたのだが、

僕が舎長をやってきたこの1年間はどうだったのだろうか。


それはひと言でいうなれば・・・・・


『失敗』

だったと言える。


それもただの失敗ではない。


『大失敗』だ!


僕は、この一年間で2人も途中退舎生を出してしまった。


途中退舎とは、その名の通り途中で山手学舎を去ってしまうということ。


山手学舎は原則として大学4年間は途中で退舎する事は絶対に許されない。


そんな中で僕はこの1年の間に2人もの途中退舎生を出してしまったのである。


この途中退舎が2人でたというこの2という数字、少ないように見えるがしかし、

これは、ここ近年の山手学舎の歴史の中で例を見ないほどの数である。


そして、その中の1人がこの山手学舎を去った理由として挙げたのは

「誰も僕の相談にのってくれなかった。寂しかった。孤独に感じた」

というものだった。


これは僕にとって非常に厳しく、そして僕が一番聴きたくなかった辛い理由であった。


僕はあれだけ公約に「アットホームな学舎づくり」と言ってきたにも拘らず、

一年経った結果はというと、



2人の途中退舎生を出した舎長。


そう、ただそれだけの結果しかない舎長タケオだったのである。



僕はそんな自分の不甲斐なさ、自分の力のなさをこの身で思い知ったこともあり来年度の舎長選挙には立候補しないと2人目の途中退舎が決まった時にそう心に誓っていた。


僕はこの間、自分の舎長ぶりを汚点と考え、そして自分を責めて責めて責めまくった。


そんな僕が舎長という仕事に対して自暴自棄に陥っていたときのこと。

もう1人の舎長である高木さんと僕は2人で話す機会があり、その中で高木さんはふと僕にこう語ってくれた。

「タケオっ!」


「あっハイ」


「お前はよくやってきたよ。」


「えっ?なにがですか」


「舎長だよ舎長。」



「えっ・・・いやあ・・・あっ!その~・・・・」


僕は言葉がつまる。


そんな僕を見て、高木さんがポツリ。

「今回、途中退舎の奴が出たのはとても残念なことだけど、それお前の責任じゃない。

あれは、しょうがなかったんだ。・・・・お前はよくやってきたよ」



「・・・・・・・・・・・・・・・・」


僕は何も言えなかった。


というより、僕は目から涙が出るのをグッとこらえる事に必死だったと言った方が正解だと思う。


そして僕は、その時、初めて自分の汚点だと思った事自体が汚点であり、恥ずかしいことである事を知った。


つまり僕は、完全に1人芝居を演じていたのである。


僕はそれまで自分だけが舎長だと思い続け、もう1人の舎長である高木さんを全く相手にせず、そればかりか自分ですべてをこなしていたかのような気でいたのである。


しかし僕は、もうひとりの舎長である高木さんのこの言葉に救われた。


「あっ俺はひとりじゃないんだ」と。



そう、僕は任期が終わりに近づいているあの時期に初めて、

「ああ、これが本当のアットホームな学舎づくりなんだ」

という事を知ったのだった。


そしてあれから数ヶ月した今日。


無事に舎長選挙は終了し、そして舎長2人が選出されたのである。

その舎長のひとりは・・・・・・・僕と同期の田端。



そしてもう1人はというと・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

松下

であった。


この松下という人物。

実はまだ大学1年生。


しかし、彼は非常にやる気を持って立候補し、そして選挙を経、信任をされ、晴れて舎長となったのである。


そう、ここに舎長:田端と松下の新たな新体制が発足したのである。



そして僕はというと・・・・・


ある理由から舎長には立候補しなかったのだが、


しかし僕はあの高木さんの言葉に救われてからは、自分になんの後ろめたさを感じる事なくなり、舎長選挙後のお祝いの飲み会でも彼らの門出を心から祝福することができたのである。



「僕は~今日から頑張りますっ!!!」


田端と松下はお祝いの飲み会の席で大声でそして他のお客の周りの迷惑を顧みずそう誓っていた。


他の舎生たちも


「おう!頑張れ~!!!」


「よろしくな~~だははは」


と、半分、野次っぽくそしてとても上機嫌にそのお祝いの飲み会盛り上げたのだった。


「じゃあ僕、W大の校歌うたいます!!」


「おうやれやれ~」



「都の西北 早稲田の森に~ 聳ゆる甍は われらが母校~」


・・・・・・・

『ああ、なんて学舎はいいところなんだろう。これが家族なんだろうな~』

僕はその光景を見て、しみじみそう感じ、心が温かくなっていった。


そして僕も他の舎生たちと一緒になって、その場を楽しんだのである。


・・・・・・・そんなときだった。



ブーブーブー


僕の携帯が鳴った。


「あれ?こんな時間に誰だろう」


僕はおしりにある右ポケットから携帯を取り出した。


「あっ姉ちゃんからだ。突然どうしたんだろう・・・」


ピッ



「はい!もしもし・・・あ~姉ちゃんどうしたの?」


「・・・・・・・・・。」

「えっ!周りがうるさいって?

嫌だな~。今ね~舎長が決まったんだよ~。」


「・・・・・・・・・・・。」


「そう!それで今わっしょいに来て、お祝いしてるさ~。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「うん、そうそう。でっ今日は突然どうしたの?」



「・・・・・・・・・・・。」


「えっ?なに突然。真剣な声して」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「酔ってないよ~。明日は朝7時から掃除バイトだからほとんど飲んでないよ。だから全然シラフだよ。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「うんうん。全然いいよ。

ちゃんと真剣に聴くからな何?」

うん・・・・・・・・・どうしたわけ?」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」



「えっ!なにそれ??」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


「うっウソ、、、、、ウソだ~そんなの!」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


「えっそれ、本当なの?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


「うん・・・わかった。それじゃあ。。。。」


ピッ


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「おう!タケオ!シケタ顔してどうした?」


「なんかあったのか?」

「あっ!わかった!女の子にでも振られたんだ~」


「えっそうなの?タケオ?」

「だはははは」



「・・・・止になるんだって」


「えっなに?聞こえないよ。あはははは」


「・・・・廃止になるんだって」


「えっ何が?だははは」


「学舎が廃止になるんだって!

学舎が・・・・・・・この寮をなくすという事が、この前のZANDの総会で決定したんだって!」


・・・・・・・・・・・・


「エッ?」


それまでの僕らの和やかな飲み会の席は一瞬にして静まり返り、

そしてここから僕らの戦いは始まった。

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第2話:これが現実・・・‐ストラグル篇‐

「さっきの話は本当だろうか」


「本当の話なら、僕ら全然そんな話聞いてないですよ」


「とにかく、真実かどうか確かめなければならないな」


「そうですね。とりあえず僕は明日、姉のところにその事が書かれているといわれる資料をもらいにいくつもりです」


「よろしく頼む。その資料をまず見ないとなんとも言えないし・・・。」


「わかりました。 とりあえずこの話はまだOBさんには伝えないでおいてください。

まだ僕も聞いただけでこの目でみたわけではないで。。

田端もそれでいい?」


「ああ、いいよ」


僕と高木さんと田端は飲み会のあと、高木さんの部屋に集まりこれからのことについて話し合っていたのだった。


「しかし、なんともタイミングが悪い・・・な。

新しい舎長を決めた日にこんな話が舞い込んでくるなんて・・・・」


「ほんとですね。ある意味、松下にとっては忘れられない日になってしまいましたね」


「でも、あいつ、、、すでに出来上がっていたらこの事をおぼえていないんじゃないか?」


「そうだといいんだがな~」


僕と高木さん、田端の3人は顔を曇らせながらそううなずきあった。


そんなとき、、、バタン・・・・





高木さんの部屋のドアがおもいっきり開いた。



「松下どうした?」

僕がそう声をかける。


そう、そこには先ほどの舎長就任祝いの飲み会で出来上がった松下が立っていたのだ。


松下は少しの間、仁王立ちした後、


「タケオさ~ん!!ほんとに学舎なくなっちゃうんですか~?」


と、僕の方に近づいてきた。


「いや・・・それはまだわからない。。とりあえず明日、情報提供してくれた姉のところにいきその資料をもらうつもりだ」


「そんな・・・・学舎がなくなっちゃうなんて・・・・。僕今日、舎長になったばっかりなんですよ。。。ヒクッ」


「わかってる。

わかってるって。 だから今日はお前はもう寝ろ。お前はよく頑張った!」



「そんな~僕だけのけものにしないでくださいよ。タケオさん・・・ヒクッ」



「お前にはまた酒が抜けてからちゃんと伝えるから。

今日はお前の記念すべき舎長就任祝いだったんだから!今日はそれだけ充分!」


「そんな~」


松下の体はすでにふらふら状態。


そんな体を心配して

「いいからもう今日は休みな!」

と、高木さん。

しかし、松下は

「そんな・・・・僕が舎長のときに学舎がなくなるなんて。。。。」

と、生真面目な性格ゆえに、また酔った事も手伝って『廃寮』と言う言葉が松下の上に大きくのしかかっていた。


『こいつ・・・・』


僕は、

「まだなくなると決まったわけじゃない。それが本当かどうか確かめに明日いくんだよ」

と説明。


「じゃあ明日、教えてくれますか?」

と、松下。



「教える!教えるから今日は寝ろ」


松下は少しホッとしたようで、

「・・・・わかりました。それじゃあ皆さんおやすみなさい」

と言い残して自分のベッドへと帰っていった。


そう、帰っていっ・・・た。


帰って・・・・・いった?


そう、帰っていったと思った次の瞬間、、



ドドドドドドドドドド


廊下を猛ダッシュで駆け抜ける音がし、


そして、、、



「おうぇーーーー 」






生まれた。あのピッコロ大魔王の如く・・・






トイレの方から松下の呻き声が響いてくる。





「お~い!誰か~松下の事見てやってくれ~!」

僕は高木さんの部屋から談話室にいた舎生に声をかけた。

すると、

「オッケー、了解です~♪」

と、談話室からの返事。



「というわけでそれじゃあ明日また話し合いを持ちましょう。」

「そうだな」

僕らはそう話し合い、この場を解散する事に。



「そういえば高木さん、、、、

高木さんも明日俺と同じ掃除バイトっすよね」


と僕。


「そうなんだよ。

やっべーーーんだよ。

あと3時間しか寝れないんだよ!」



「アハハハハ。ほんとだ!

やっばいっすね。

それじゃあ三時間後、またお会いしましょう」


僕らがそう笑いながら、高木さんの部屋を出ると、


「えっ!えっ!何が?

何が?ヤバイの?」


と、スキップしながらこちらの話に白が乗っかかってきた。




「やばいって・・・・、おまえのスキップがだよ」


と、田端が冷静に答える。




「おほほほほ、やばい!やばい!やばいわ~」


白もすでに相当出来上がっていたようで・・・・ハイテンションの白がさらにハイテンションとなっていた。。。


その白のスーパーハイテンションを皮切りに他の舎生も酒が入っていたせいか、すでに3時を回っていたにも関わらず


「だははは!やばい!やばい!」


「ピーーーー」


「うほほほほほ~」



と、訳も分からず、、奇声の大合唱。


その上、トイレからの松下の呻き声も加わって、

「だははは!やばい!やばい!」


「ピイイイイイーーーーーー」


「うほほほほほ~」


「おうぇええええーーー」


と、なんとも人間が住んでいるとは思えない、

否、野性の動物が住んでいるかのような声が学舎中に響き渡ったのであった。





そして次の日。




「これが昨日話していた資料よ」


姉が僕に一冊の小冊子のような資料を渡してくれた。



「21世紀構想委員会?」

「そう、これは来年の指針を示したもので11月のZAND総会で承認されたものよ。

その冊子の一番後ろを見てみて」


僕は言われるがまま、資料の一番後ろにある添付資料に目をやった。


「そこに学舎の項目があるでしょう。そこに書いてあるのよ」


「えっとちょっとまって。。。山手・・・山手・・・山手学舎・・・・」


僕は山手学舎の項目を指でなぞっていった。


すると、


「あったでしょう。

【山手学舎】・・・現時点では存続 【YAMAセンター移転時、廃止】ってところがね」




・・・・・・・・・・・・・・・・・僕の中で山手学舎廃止が、現実味を帯びた瞬間だった。