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2018/11/17 [PR]
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2007/12/10 第11話:これって面接ですか?
こんな面接は初めてだ。。。 面接されるほうがスーツできめてきて。 面接官たちが寝起き なんかよくわけのわからない面接。。 ともあれ、
2007/12/10 第12話:最初の試練
三月の最後の週だったろうか、鹿児島の実家を離れて東京行きの飛行機に乗り、羽田空港に着いた。 「あーこれから憧れていた東京での生活がはじまるのか~」 僕の心はとても晴れやかだった
2007/12/10 第13話:未知との遭遇
「ナンデスカ~。榎本さん」 顔は日本人のように見えたが、片言の日本語をしゃべるので、留学生だということがすぐわかった。 「彼が今度この寮に入ってきた新入生のタケオだ。お前と同じ新入
2007/12/10 第14話:金さんつよし!
この山手学舎に入ってから早2週間が過ぎようとしていた。 東京での生活はまだまだ慣れなかった。 一番大変だと感じたのは、人の歩くスピードだ。 東京の人々の歩く早さはハンパじゃな
2007/12/10 第15話:ゲームの悪夢
明日は、とうとう合格したJ大学の入学式の日だ。 僕も明日から、夢見てきた大学生になるんだと思い、握りこぶしを作りながら感動していた。 そんなとき、白が僕に話しかけてきた。 「あの
2007/12/10 第16話:2人の僕
『これがロープレというやつか~』 僕は、念願のロープレをプレイし感動していた。 僕がプレイしていた【ファイナルファンタジー8】は当時の話題作であったこともあり、より一層その感動は増
2007/12/10 第17話:金さんの視線の呪い
なんと金さんが帰ってきてしまった。。。 「クンっ! なにやってんの?」 金さんはすかさず僕に質問してきた。 「えっ??あっあーファイナルファンタジーというゲームです
2007/12/10 第18話:僕の入学式
白が起きてきて、僕をまじまじとみてきた。 「オハヨウゴザイマス。もしかして、徹夜したんですか?」 「おはよう~。そう。でも徹夜したのか、させられたのかよくわかんないん
2007/12/10 第19話:東大生がやってきた
僕が山手学舎に入ってからも、何人かの新入生(山手学舎では、新舎生と呼ぶのだが、)が入ってきた。 ある日のこと。 「明日、新入生のための面接があるんだが、タケオは面接にで
2007/12/10 第20話:さすが東大生
ギギギー 防火扉の開いた音がする。 「おっ来たかな!」 寮生の誰かが言った。 ・・・・・ ・・・・・・・ ガチャン 『あっ防火

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第11話:これって面接ですか?


こんな面接は初めてだ。。。



面接されるほうがスーツできめてきて。



面接官たちが寝起き




なんかよくわけのわからない面接。。


ともあれ、面接が始まった。


面接官は全部で7人。



その中には昨日の金さんもいた。



『全員ここの寮生だろうか???みんな寝起きだから、たぶん、、、、いや、絶対ここの寮生だろう。。。。。』


「それでは、面接を始めます。まず最初に色々質問する前に、作文を読んでください」



私から向かって中央の席に座っている人が第一声をあげた。この人が主に質問をする人だった。



『おっきたきたっ』と僕。


そして昨日、姉と一緒に作った作文を読んだのだった。


作文の内容はこうだ。

『タイトル;寮に対する思い』

・寮に入ってしたいことは掃除。この寮は汚いのでまず掃除をしたい。

・いろんな人がいるので交流を深めたい。  


以上




寮の思いについては??と突っ込まれたら何もいえないが、無理もないだろう。

昨日初めて寮を見学し、その所要時間は20分。。




そんな20分では寮に対する思いなんかわかるはずもない。




とりあえず、作文では、僕が寮に入ることでプラスになることをアピールした。


作文を読み終わった僕に対して、中央の面接官は、

「掃除が好きなんだ~。それはいいね。そしたら、学舎もきれいになるんじゃないかな」

とニコリ。



その瞬間、『してやったり』と僕。



『いい出だしだぞ!昨夜色々と質問の内容を考えたし、この面接いけるんじゃん』
と思った。



案の定、最初の質問内容も、僕の考えた質問と同じだった。

・この寮を知った経緯

・この寮に入ってどうするのか?

・財政面はどうするのか?

などだ。




『いいぞ!いいぞ』と順調な僕。





そんなときだった。





「自分の冷蔵庫の中身が取られたらどうしますか?」
と面接官。





「へえっ?」

あまりにも唐突だった。







「自分の卵が知らない間にとられたらどうしますか?」
と中央の面接官が質問する。



「そんな状況になったことまだないからよくわからないですけど、、、

そんなに卵は重要なんでしょうか?」
と僕は逆に質問した。


「とっても重要なことです。これで喧嘩になるくらいだから」
と面接官はキッパリ。



「はああ・・・・???」

僕はあんまりピンとこなかった。



するとすぐ違う質問が飛んだ。

「ごはんがとられたらどうしますか?」
と次に右の面接官。



「いやーそれもわかんないですけど、取られたら犯人探しします。」と僕。



その質問に対して、

「じゃあ自分の買ってきた材料で冷蔵庫に入れていたものが、勝手に先輩に使われたらどうしますか?」
と左の面接官。



「うっっ。。そんなことを言っても」

正直言葉につまってしまった。



「先輩だったとしても悪いことは悪いのでちゃんと注意します!」と強気な発言をすると、


「おおおーーー」っと一斉に面接官が声を出した。




「自分のジュースが、クンっ!飲まれたらどうしますか?」
と極めつけには金さんまでもが。






『おめーもかよ』






あれれっ??そういえば、 それにしても冷蔵庫の話ばっかりのような気が・・・・・・




しかし、面接官たちの目はまじめだった。





そんなにここの寮って生存競争が激しいのかな。


僕が質問に対して、困ってしまうと、



「大丈夫、クンっ!牛乳はのまないから。クンっ!」
と金さん。




『そんな問題じゃねーだろ!』






とまあこんな感じで一風変わった面接は続いた。



僕にはまったくの想定外だったけれども、、、、、







当時の僕にとってこの質問は珍質問だったが、今なら、これはとても大切な質問だということがよくわかる。


・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・


これはとってもシリアスだ!



そして、、、、、




約40分の面接は終了した。




中央の面接官に「それでは今から、あなたをこの寮に入れるかの協議をしますので、別室で待機してください。」
と言われ、




別室に案内された。





その別室には、布団が山積みにされていて、今にも僕の方に倒れてきそうだった。




『別室に待機と言われたけど、待機できるスペースが・・・・ない』





そんなこんなで5分が経過。




別室から、面接室となっていた談話室にまた戻された。


そして、・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「タケオ君。これから宜しくお願いします。入舎を許可します。」





「ほんとですか!ありがとうございます。バンザーイ!」





僕は、『よかった~』と胸をなでおろした。






「それでは順番に自己紹介しましょう。」と中央の面接官。






左から順番に寮生の自己紹介があった。





そして中央の面接官の自己紹介。




「ぼくの名前は、アルトノといいます。インドネシアから留学生です。今、この寮の舎長(寮長)をしています。大学は東大です。」





「えっ?日本人じゃなかったんですか?」




「そうだよ!よろしくね!」とさわやか系。






金さんとはまったくタイプが違うようだ。それに東大だし。

東大生を初めて見た瞬間だった。



もし金さんなら、今の質問に対して「ハイ」で終わっているだろう・・・・・。



「あっこちらこそよろしくお願いします。」と僕。




しかしそれにしても、留学生の日本語のうまさには驚かされた。




テレビの中の留学生は

「ぼく、めし・食べる」


などの片言のイメージであるが、この寮の留学生は、とても日本語が流暢だった。(後でその真相がよくわかったが、、、)





まあそんなこんなで、無事面接も終わり、山手学舎への入舎を許可されたので、荷物をまとめるためすぐに鹿児島に帰ることにした。





面接が終わって帰り際、アルトノさんに



「ぼくがこの寮の面接合格の第1号ですか?」と質問すると、



「いいや、もう一人、同じ一年生が決まっているよ。来週あたり入舎予定かな?」


との返事だった。




そのときは「あっそうですか~。わかりました。それではまたきます」とあっさり流した。



しかし、この同じ1年生との出会い。それからもう一つの出会いによって、

僕の運命の歯車は回っていくこととなる。



その時は、その事など知る由もなかった、、、、、、




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第12話:最初の試練


三月の最後の週だったろうか、鹿児島の実家を離れて東京行きの飛行機に乗り、羽田空港に着いた。


「あーこれから憧れていた東京での生活がはじまるのか~」


僕の心はとても晴れやかだった。


そして心高々にモノレールに乗り、電車を乗り継ぎ高田馬場に降り立った。


そしてあの面接をしたあの寮へ。


ハーッ

ハーッ

ハーッ

ハーッ


ハーッ

階段キツっ!

心が晴れやかだったのもつかの間、重い荷物を背負いながらの階段はかなりつらかった。。。しかもこの階段・・・手すりがない。



『なんだよこれ。なんで五階なのにエレベーターないんだココ。

それにここの螺旋階段急すぎ。マジで。荷物鹿児島から全部送ればよかった。。』


息を切らせながら、そしてやっとの事で5階へ。



僕は厚い防火扉である玄関の扉を開けた。




「こんにちはーーーーーーーーー」





シーーーーーーーーーーーーーーン




案の定、返事はなかった。


『またかよ!!』

あの面接のことが頭をよぎった。




「あの~すいませーん。こんにちはー。あの~今度ここに入ることになりましたタケオと言いますが、、、、」


そんなとき奥から声がした。


「いいよ~。勝手に入っちゃって」




「失礼しま~す」

と僕は靴を脱ぎ、そしてあの面接をやった談話室に入った。


そこにはプレステをやっている人がひとり。


「おーお前が今度入ってきた1年生か!」


「はいっ!タケオと言います。よろしくお願いします。」


「おう。よろしくな。俺はこの前の面接にでれなかったんが、俺は大学4年で榎本って言うんだ。。。。。

そう言えば、もう一人1年生がいるぜ。白っ白~ちょっとこっちにこ・・」


その言葉が終わる前に僕は

「榎本先輩っ!!それはそうと、今やっているのはプレステですか?」

と質問をしていた。



僕にとって自己紹介なんかどうでもよかった。


僕はプレイステーションに眼を輝かせた。


「おっお前もゲームとか好きなの?」



「はい!プレステはやったことがないので」


「あ~そっか~。

あ~あ。

それじゃあ、これからはテレビとゲームの争奪戦がはじまるな~」


「えっ?」と僕。



「あっ、

お前は聞いてないの?

テレビはこの寮に一台しか置いちゃいけないし、順位があるんだよ。

まずテレビ番組を見る人が最優先、次がビデオ、そして最後がゲームだ。」



「え~本当ですか?」



『うおーマジっ!!聞いてねーぞー。見学に来たとき俺、金さんに、

〔〔「寮でゲームやる人っておおいですか?」



「いや、クンっ!今はほとんどいないね。クンっ!、、、、、、、そうだねー。

でも最近は、クンっ!みんな忙しくてテレビを見る人も少ないから、クンっ!大丈夫だと思うよ〕〕by 金}

って言ってたよな。確か。


あの人、酔った勢いで説明してたんじゃねーか?』


心の中で僕は不安になってきた。

実はこの前の金さんの説明はすべて勢いなのではないかということに。



そう思うともっともっと不安になってきた。

「そうそう、最近はテレビを独占している人がいるから、ゲームはむずかしいんじゃない?俺もこれひさしぶりだし」



「あの~その独占している人って?」


「金っていう留学生だよ。」


もっともっともっと、不安になってきた。


『またまた、おめーかよ』。


再び金さんにやられてしまった気分の僕。


『これからどうしようかな~』


そんなとき、廊下の向こうから走ってくる足音が聞こえてきた。


タタタタタタタタタタタタ。

「ナンデスカー。」

40代のおっさんが着るような白い下着を着、黒い短パンをはいた青年が談話室に入ってきたのだった。





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第13話:未知との遭遇


「ナンデスカ~。榎本さん」

顔は日本人のように見えたが、片言の日本語をしゃべるので、留学生だということがすぐわかった。


「彼が今度この寮に入ってきた新入生のタケオだ。お前と同じ新入生だよ。仲良くしてやってくれ!」


榎本さんが片言をしゃべる留学生に私を紹介してくれたのだ。


「あっハイ! タケオと言います。どうぞよろしくお願いします。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。失礼ですが留学生の方ですか?」



「ハイ。中国からの留学生です」


彼は即答した。


僕は緊張してしまった。

なぜなら、僕にとって留学生?を見るのは生まれて初めてだったからだ。


ん??


しかし、よく考えてみると、僕は留学生に会っている。


金さんとアルトノさんだ。


しかし、彼らには留学生というオーラはなく、金さんは・・・・・・?よくわからんが、アルトノをとってみれば、日本人と間違うほどだったのだ。


一体なにが違うんだろう??


ポン


ポン


ポン


チ―ン!!


そうだ、しゃべり方だ。


僕のイメージはそう、片言をしゃべる留学生だったのだ。


わたしにとって片言をしゃべる留学生が留学生なのだった。


そんなイメージぴったりの留学生が目の前にいる。



そんなことを考えていたら、なんとなく緊張してしまった。



未知との遭遇。


この言葉がこの状況に一番ふさわしい。


何を話していいのかわからない。


『え~と何を話そうか。

う~ん。

そうだ!!

初対面の共通の会話があるじゃないか!』

と僕は思い、そして言ってみた。


「いや~今日は暑いですね~」


・・・

・・・・

ベタだ。


ベタすぎる。


僕もベタであることは、よ~くわかっている。


しかし、ベタだからこそ、必ず初対面の日本人なら、まずする挨拶だ!

これなら少しは会話の足しになるはずじゃあ~



・・・・・・・・・・・「えっ???」


彼からの返答はこれだった。



・・・・・・・・・甘かった。


僕の考えは甘かった。そしてやっちゃった。

次の言葉がでてこない。

万国共通と思っていた質問をうまくかわされ、僕はテンパってしまった。


そして沈黙の時間が過ぎていく。


そんなテンパった僕を見かねた榎本さんが、こう切り出した。


「そう言えば、タケオはこいつと同じ大学なんだよな。」


『へえっ?』

少しの間、事情が飲み込めなかったが、次の瞬間、僕の心に光が輝いた。


「えっ!ほんとですか?おんなじ大学なんですか?」

榎本さんが相づちをうつ。


なんか親近感が沸いてきた。そう思ったら緊張もなくなっていく。不思議なものだ。


中国人の留学生も僕の心境と同じだったようで、同じ大学であるという言葉により、
お互いいくつもの質問をしあった。


「あなたもJ大学なんですか?」

「何学部なんですか?」

「どれくらい日本にいるのか?」

「年はいくつですか?」などなど。


そしてそんな未知との遭遇のような緊張感から解放されて、一安心したときだった。


『あっ!


そう言えば、


名前をまだ聞いてなかった。』


そういうことって結構、僕たちの周りでもあるはず。


何気に親しく話していたのに名前を聞き忘れてしまうという行為。


僕は質問した。


「すいません。名前を聞くの忘れていたんですが、お名前はなんですか?」

この質問に中国人の彼はこう答えた。

「ハクリキクンです」と。


『んっ!?

自分の事を君づけしている。・・・・・・!!


そうか、まだ君とさんの違いがわかんないんだな。


じゃあ さりげなく、さんづけで気づかせよう』

と僕は敏感に察知した。

「あ~ ハクリキ さんですか。よろしくお願いします。ハクリキさんっ!」
と僕。


「いいえ、私はハクリキクンです。」と彼は答えた。


・・・・・・・・・・

困った。


彼は気づいていないのだろうか?

・・・・・・・・

『あっそうか! 

白さんは自分のことを君づけで読んでほしいんだ』
と僕は察知。

「あっ

ハク・リキ君ですね。

わかりました。」


「そうです。

白力勲です。


宜しくお願いします。」



僕が、ハクリキクンの『くん』が、『君』ではなく『勲』であり、苗字が白、名前が力勲であるという事を知ったのは、それから一ヶ月後のことだった。

ハクリキ君(クーン)~~~~~~~~!!




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第14話:金さんつよし!


この山手学舎に入ってから早2週間が過ぎようとしていた。

東京での生活はまだまだ慣れなかった。

一番大変だと感じたのは、人の歩くスピードだ。


東京の人々の歩く早さはハンパじゃなく早い。


ちょっと目をそらすと、肩と肩がぶつかってしまう。


その度に、

「あっすいません。」

あっちでも


「すいません。」


こっちでも


「すいません」


と平謝りの連続。


あ~疲れる。


それに寮に帰っても、楽しみにしてたゲームができず。。。。


プレステができるということだったのでFF8を初めて買ったのに(泣)


案の定、榎本さんの言っていたことが当たってしまった。


あの金さんがテレビを独占。


好きなビデオをひっきりなしにみていたのだ。


でも、一緒にビデオを楽しむという方法もあるじゃないかと思うのが普通であろう。


しかし、金さんのビデオは、

・・・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・

字幕が


韓国語


中国語


英語


全部、外国語かよ!!


字幕の意味がない



全然楽しめなかった。


しかも、金さんが借りてくる映画は日本でまだ公開がされていない映画で、結構話題作になるような映画ばっかりなのだ。


しかし、

「金さん!そのビデオはどこから借りているんですか?」

と金さんに質問する勇気は僕にはなかった。



また、金さんはメシ時にビデオをみる。 焼酎片手に。


そのおかげ?で、しかもテレビが寮に一台しかないために嫌でも、映像と音が目と耳に入ってくるのだ。


内容がわからないのに、映像だけが目に焼きついてしまうからこれまた、たちが悪い。


アクションならなお更である。


内容の細かい設定を読み取ることはできないが、なんとなく、意味がわかってしまうで、映画館で見ようと思わなくなってしまうのだ。


あーー金さんよ!


お願いだから日本語字幕を借りてきてーーー。

そんな事を僕は願っていた。



そんなとき、金さんは決まってこちらをみてこう言い放つ!


「これ、面白いでしょう!!」


・・・・・・・・・・。





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第15話:ゲームの悪夢


明日は、とうとう合格したJ大学の入学式の日だ。

僕も明日から、夢見てきた大学生になるんだと思い、握りこぶしを作りながら感動していた。

そんなとき、白が僕に話しかけてきた。

「あの~タケオさん、明日、J大学の入学式ですよね?」

「そうだよ」

「それなら一緒にイキマセンカ?」


『あっそうだった。僕は白と同じ大学なんだった』と僕。


「いいねー。同期で同じ大学って珍しいから一緒に行こうか!確か、場所は有楽町だったよね」


「エエ、国際フォーラムですよ」

「よし、じゃあ一緒にいこうね」

「ハイ、それじゃヨロシクお願いシマス」

「こちらこそ」

ということで明日は、白と一緒に入学式を迎えることとなり、僕は明日が待ち遠しいと思いながら夜を迎えたのだった。


僕はなんとなく、談話室に向かった。

すると
『あっ金さんがいない!!』

なんと、いつも談話室のテレビを独占している金さんがいないのだ。

これは奇跡に近かった。

おおーこれはなんと素晴らしいことだろう。

いつもテレビを独占していた金さんがいない。

そしてテレビの優先権となる年功序列となる先輩方も今日に限っていなかったのだ。


僕は思った。
『こんなチャンスは滅多にない。今なら待ちに待っていたゲームができるじゃないか!!

オウーーーーこれはなんと素晴らしいことだろう。

思えば、小学1年生のときにお年玉でファミコンゲームを買ったのに、二ヶ月も経たないうちに集中しすぎて目を悪くしてしまい、親からゲーム禁止令が出てから早11年。

友達の家でゲームをやれば、友達のお母さんが僕の親にチクリ、怒られたあの日々。

そして、ばれないかなとビクビクしながらゲームセンターに通い、補導されそうになったら、全力で逃げしたあの日々。

ゲームセンターは当然お金がいる。そう、お金がなくなれば、他の人がやっているゲームを見て自分がやっているように疑似体験で喜ばなくてはならなかったあの日々。

そんな忌まわしい過去から、とうとう解放される時がきたんだ!

堂々とゲームができる。なんと素晴らしいことだろう。』


闇の中に光がさした。

今、この表現を大げさだと感じたそこのあなた!

そう思った人は、ゲーム禁止令を出された子どものことはわからないことであろう。

それほどに、大きな感動だったのだ。

僕は我に返り、走って自分の部屋に戻り、そしてゲームを掴み走って談話室に戻ってきた。


『金さんが帰ってくる前に、ゲームをしなければ』
僕は必死だった。


そして、プレステの蓋をあけ、CDをセット。そしてONに。。。

FF8のオープニングがでてきた。

「おお!これがプレステなんだ。そしてこれがロールプレイングゲームというやつなんだ」

僕はまたまた感動した。

これを読んでなぜロープレに感動するんだろう?と思われる方もいるかもしれない。


そんな人は、ゲーム禁止令を出された子どものことを全くわかっていない。


そう、僕はロールプレイングゲーム、いわゆるロープレをやったことがなかったのだ。

なぜなら、ゲームセンターにはアクションゲームしかない。


ロープレは家庭用ゲームだけにしか存在しない(当時)。そうゲームセンターには存在しないのだ。

ロープレの代表と言えば、FFシリーズと云われる【ファイナルファンタジー】とドラクエと云われる【ドラゴンクエスト】だ。


このロープレとかいう奴も俺にとって忌まわしき存在だった。


それは、小学校のときだ。


「ねえ、今度のドラクエって○○だよねー」とか、


「○○レベルで覚えられる魔法ってなんだっけ?」という会話が飛び交う教室。


入れない。


入れない。

そう、僕はその会話に入ることができなかった。

でも、クラスでの会話はロープレの話で持ちきりだったのだ。


僕は、取り残された。

というより四面楚歌といっても過言ではなかっただろう。


みんなが敵に見えた。


「あの敵強いよね~。どうしたら倒せるのかな」とある子どもが言う。


『おめーが敵だよ。敵なんだよ』

といつも僕は心に思っていた。


しかし、入りたかった。


「メラ、メラゾーマって○○なんだよね~」


僕もそんな会話がしたかった。



そして僕は、勉強した。


ダイの大冒険を読んで。。。。。(当時、少年ジャンプに連載されていたマンガである)


ウオオオオオ~~

なんて僕は健気(けなげ)なんだろう!! 

そんな手の届かなかったロープレが今できるのだ。

これを読んで感動せずにおられないことを皆さんにもお分かりいただけた事だろう。


そして、コントローラーをもってスタートボタンを押した。


僕にとって記念すべき瞬間だった。


しかし、この記念すべき瞬間が、僕にとっての最悪の入学式の思い出とのなるスタートボタンとなった。



けれども、そのときの僕はまだそんなことを知るよしもない。





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第16話:2人の僕


『これがロープレというやつか~』

僕は、念願のロープレをプレイし感動していた。


僕がプレイしていた【ファイナルファンタジー8】は当時の話題作であったこともあり、より一層その感動は増したのだった。


そんなとき僕は、ふと思い出した。

「あっ!そう言えば明日って入学式だった。」

カンペキ!

そんな言葉が似合うほどに、僕はすっかり明日のことを忘れていた。

つまり、それほどにそして完全に僕は、念願であった家庭用ゲームに見入ってしまっていたのだ。


僕は、ふと談話室にある時計を見てみる。


時計の針はすでに0時を指していた。


『もうこんな時間か~、どうしよう。明日も早いしここでやめようかな~』

そんな気持ちが僕の中に湧き上がってきた。


しかし、そんな気持ちが湧き上がってきたのもつかの間、違う気持ちが僕の中に湧き上がってきたのだ。


『いや、ここでゲームをやめてしまったら今度いつできるかわからないぞ。それにやっと魔法や戦い方の使い方もわかってきたし、これからが面白いところなのに・・・』



どうしよう。。


僕は揺れた。


そんな僕が揺れていると、2つの気持ちが段々と人格化していった。


『明日は大学の入学式なんだから早く寝て、明日に備えないと!』と僕。

しかしすかさずもう一人の僕が

『金さんが明日からまたテレビを占領するぞー。そうしたらもう当分はゲームができないぞ。それでいいのか??』と語りかける。


『でも、大切な入学式だよ。』


『もうゲームできないぞう』


『白と行くんだから早く寝なくちゃ』


『そんなの白に起こしてもらえばいいじゃないか』



『せっかくの大学デビューの第一歩なんだぞ』・・・・・・・・・・これはちょっと違う気がする。



僕は、揺れた。

揺れた。

揺れている。


揺れはどんどん大きくなっていった。


そしてかなり大きく揺れた。

そう、入学式とゲームというふたつの分銅をはかる天秤のごとく。


「うっ、、、、、、どうしよう」

僕は悩んでしまった。

そんなときだった。


ガチャ。


談話室のドアが開いた。

「ただいま~」



「えっっ!!金さんっ??」


僕は思わず言葉でてしまった。


そう学舎にいないはずの金さんが、そこに立っていたからである。




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第17話:金さんの視線の呪い



なんと金さんが帰ってきてしまった。。。

「クンっ! なにやってんの?」


金さんはすかさず僕に質問してきた。


「えっ??あっあーファイナルファンタジーというゲームですよ」


「ふ~ん。面白い?クンっ!」



「ハイ」



「いつ買ったの?クンっ!」



「えっ?えーと最近ですね」



「ふ~ん」


・・・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・

会話が続かない。


というか金さんの質問は普通なのだが、何か圧力を感じてしまうのだった。



『とっとにかく、ここは少し、会話をして乗り切らなければ』

と思い、


僕は、




「あの~。金さんはこれからどっかにいかないんですか?」


あっ!!


あっ!!


ストレートすぎる。


つい本音がでてしまった。



『俺は何を言っているんだ~。なんという直球勝負的な質問をしているんだ。金さんどっかに言ってよといっているのがバレバレじゃん。。。』



「クンっ!今帰ってきたんだから、いくわけないじゃない。」



「あはは、、、そうですよね。今帰ってきたばっかりですもんのね。あはははhhh」


うっ!


・・・・・・


・・・・・・・次の質問が浮かばない。



どうしよう。



そのときだった。



「タケオ~。今日また、クンっ!新しいビデオをクンっ!借りてきたよ」

と金さんの何気ない一言。



『この質問は何を意味するのだろう。俺にゲームをやめさせて、ビデオ鑑賞をしたいのだろうか?』

と思いつつ僕は、


「えっそうなんですか~。それは面白そうですね、、、、あははは」

僕は顔を引きつかせながらも精一杯の愛想笑いをした。


それからどれくらい時間が経っただろうか。


僕はゲームを再開したもののいつまでも僕のうしろに視線を感じるのだった。


視線の向こうには金さんがいたのだ。


この無言の圧力はかなりきつかった。


ゲームはやっているのだが、全く頭に入ってこない。



僕はこの圧力に耐えられなくなり、


「金さん、ビデオ見ますか?いいですよ。ビデオみても」

と切り出した。


しかし、以外にも金さんは、


「いいよ。クンっ!今日はゲームやりな。」


といいながらは、こちらに笑顔を向ける。



『えっ??なぜに笑顔??』


そのとき、背筋に悪寒が走った。



不気味だ。不気味すぎる。


これまで、ゲームの質問も聞いたことがなく、ビデオ鑑賞以外にはほとんど談話室に顔ださないあの金さんがビデオ鑑賞を断るなんて、そしてましてや金さんが笑顔だなんて、、、あり得ない。



そんな不気味な金さんから「ゲームやりな!クンっ!」と言われたら、

やめたくてもゲームをやめることができなかったのは言うまでもない。


金さんは、それから自分の部屋と談話室を行ったり来たり。


そのたびに僕は背中に強力な視線を感じ、ゲームに集中することができなかった。



そして、時間が過ぎていき、朝になってしまった。

朝日がとても眩しかった。

というより痛かった。


『あー朝だ~。昨日の、あの俺の葛藤はなんだったんだろう。。』


本来ならば清々しい朝を迎えるはずの僕だったのに、今の僕は疲弊しきっている。


徹夜と金さんの呪いというべき視線にやられて。


そして僕は言うまでもなく、その疲弊しきってしまった体で入学式に臨むこととなるのである。





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第18話:僕の入学式



白が起きてきて、僕をまじまじとみてきた。


「オハヨウゴザイマス。もしかして、徹夜したんですか?」


「おはよう~。そう。でも徹夜したのか、させられたのかよくわかんないんだよね~。
だから、疲れちゃってさー、もし入学式で死んだら、俺のことよろしく」


「エっ??」

白は首を傾げた。


「まあいいから」

もう説明する気力がない。


僕は、疲弊しきった体に鞭を打ちながら、入学式に臨むためスーツに着替え、身だしなみを整えた。


僕は鏡を見た。

『やべー。クマがすごい』。

・・・・・・・

そして、入学式のある有楽町へと向かうのであった。


『この階段キツ!』


いつもの寮の階段がきつく感じ、高田馬場駅の階段は、大きな山に思えた。


僕はひざに手を乗せ、ひとつひとつ階段を登っていった。


高田馬場駅から山手線に乗り新宿へ。


そして新宿で中央線快速に乗り換え、神田で再び山手線に乗り換えるために降りた。


しかしこれまた、神田駅の中央線から山手線にいくまでの階段がきつい。


「あー疲れる~。」


この姿を見て、白は僕のことを憐れに思い、やさしくこう言った。




「タケオさん。顔悪いですね~。」




たぶん、白は、『顔色悪いですねー』と言いたかったのだと思う。



しかし、疲弊しきっていた僕は、それを理解してあげることはできず、


プチっ!!


キレた。



「うるせー。顔は悪くねーよ!!ふざけんな!」



この一連の出来事は、白にとって、非常にショッキングな出来事であり、忘れる事はできないものになったと、白はのちに語っている。



入学式会場についたが、すでに僕はフラフラだった。


そして入学式が始まった。


それからの出来事は全く覚えていない。


起立の場面では、白に起こしてもらい、立ち、着席した瞬間に寝てしまったのだ。


大学の入学式というものは、感動的で輝かしいものであるはずなのに、僕の入学式の思い出では、起きたらすべてが終わっていたのである。


最悪な入学式ではあった。


しかし、今考えるとある意味、味わうこともない入学式ともいえるのかも。。。(もう味わいたくないけれど、、、、)




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第19話:東大生がやってきた



僕が山手学舎に入ってからも、何人かの新入生(山手学舎では、新舎生と呼ぶのだが、)が入ってきた。



ある日のこと。


「明日、新入生のための面接があるんだが、タケオは面接にでれるよな?」


「えっ?はい。大丈夫ですが」


「じゃあ、よろしくな」


「わかりました~」


榎本さんが僕に山手学舎に入舎するための面接にでれるかどうかの確認をとったのだ。


『面接かー。面接と言えば、俺も受けたあの面接か~。


「自分の冷蔵庫の中身が取られたらどうしますか?」

「自分の卵が知らない間にとられたらどうしますか?」   
(【これって面接!?】の日誌より)


とまあ、なんとも言いがたい面接だったけど、今度受ける奴はどんな奴なんだろう。俺と同じ一年かなー』


そんなことを思いながら、次の日の面接の時間。


僕が面接をしてもらったときは、面接官の一人も談話室にいないという衝撃的で、印象的、そして赦せなかった舎生(寮生)の集まり具合いだったが、自分が面接官となった今、その理由がわかるような気がした。



なぜなら、学舎は門限がなく、また自炊であるため、一人ひとりの舎生の生活形態は違う。


昼夜逆転し、狼かコウモリみたいに云わば夜行性化している奴。


ビデオばっかり見ている奴。



バイトに明け暮れている奴。



部屋にこもる奴。



様々だった。   



そんな十人十色の生活形態をもった者同士が集まるのは、容易ではないし、はっきり言って奇跡に近いと思う。


そして今回の面接は夜8時からだった。


面接が始まる10分前になると


榎本さんが、
「そろそろ面接だぞー」と集合の号令をだす。

(ちなみ僕の面接には榎本さんはいなかった。)



それを聞いた舎生の中には、

「えっまじ!今、めし作ったばっかりなのに」
と中華なべ片手に、具を皿に盛り付けしながら不満をもらす奴。


ギーーーーー
自分の部屋のドアを開け、頭をかきながら出てくる奴。



グオオオー
自分の部屋でまだ笑顔で夢をみている奴。



「あと五分だけ」
とビデオ鑑賞のために懇願する奴。


・・・・・・・

・・・・・・・・・・


どうしようもない。


とまあ色々で、

こんな『一致』という言葉を知らないような奴らに「喝」を入れるのが、寮長である榎本さんの仕事だった。


かーーーーーつ!!!


そんな榎本さんの喝が入った言葉や行動はすごかった。


「残り五分で食べろ!!」

それを聞いた、皿に盛り付けしながら不満をもらした奴は、食べ物を口にほお張りながら必死で夕飯を食べる。


「起きろ、コラー!!」
夢見ている奴は容赦なくたたき起こされた。


「ダメ!!」

プチっ

ビデオ鑑賞している奴に対しては、テレビの電源を切るという行動ぶり。



これが舎生たちを一致させる寮長の仕事であった。


そんな寮長の活躍ぶりもあり、面接時間にはちゃんと全員が揃った。



そしてそこに彼はやってきたのである。





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第20話:さすが東大生



ギギギー

防火扉の開いた音がする。



「おっ来たかな!」
寮生の誰かが言った。



・・・・・

・・・・・・・


ガチャン


『あっ防火扉がしまった。』


シーーン


あれ??


「おーい!入っていいですよー」
榎本さんが談話室から叫んだ。


シーン



「おい、誰か呼んでやってくれ。」

玄関にほど近い先輩が面接を受ける彼を呼びにいった。


パタパタパタ。


スリッパの音がする。


ガチャッ・・・ギー

ドアノブが回され、談話室のドアが開いた。


「こんばんはー」

彼はそう言って入ってきた。

榎本さんが

「どうぞここに座ってください」
と、彼が座る椅子の方へジェスチャーを交えながら誘導する。


そして彼は座った。


榎本さんは一息ついた後、


まず
「名前と大学名を教えてください」
と質問した。


この質問に対して彼は

「田端幸平です。東京大学理科2類の一年生です。」
と淡々と答えた。


僕は

『へえーこれが東大生かー。東大生を見るのは初めだ~。』

と何か珍しい物を見ているかのような田舎丸出しの心境であり、アルトノさんも東大生であったがその時はすっかりその事を忘れていたのだった。


榎本さんは質問を続けた。

「それでは、見学の際、説明したように、まず作文を読んでください。作文は作ってきましたか?」


「ハイ。」
彼は答えた。



「あっ作文かー。俺も面接する前の日姉ちゃんと考えたっけ。

作文って大変だよなー。

俺は掃除が得意ですとか書いて、寮へのアピールをしたんだっけ。

この東大生はどういうことを書くんだろ」

僕は、東大生が書いた作文に興味津々であった。



彼はバックの中から一枚の作文用紙を出し、その作文を読んだ。

『おっどんな作文だろ。



わくわく



ワクワク』



彼は読み始めた。


「・・・・。この桜が咲くこの4月という良き季節、大学の門をくぐり、穏やかな日差しを浴びながらキャンパスの・・・・」






『えっ??


何これ』


彼が作文を読み始めてすぐに僕は目が点となった。


なぜなら

彼の読んでいる作文は、作文というよりも詩に近かったからだ。


『はあうっ』


僕はふと我に帰り、周りの先輩たちを見る。


・・・・・・

・・・・・・・・



テン


てん


・←点???


やっぱりみんなも僕と同じように目が点だった。



そんな事も構わずに、彼は作文を読んだ。



「・・・・私は歩いていこう。」


作文が終わった。


サアーーー。

風はないのに風が吹いたような音がした。



しばらくの間、沈黙が談話室を覆った。



そして次の瞬間。


オオオーーー


パチ、、、パチ、、、パチ、、パチ、パチパチパチパチ。



拍手が起こった。


『なんだかよくわからないけど、すごい、すごいよ。

山手学舎への思いの作文なのに、

寮のこと、寮への思いなんか一言も入ってなかったのに

すごいよ!!


また、山手学舎の山のひっとことも触れていないのに、美しい。最高だ!!』



彼の読んだ作文は、僕の予想を遥かに凌ぐほどのものであり、ここにいる全員の舎生が意表をつかれる作文であった。

僕は思った。
「これが、東大生かーーー」


そんな舎生たちが、彼に心を奪われたとき、


オホン!


榎本さんが、わざとらしく咳をした。


その言葉を聴いた舎生たちは、ふと我に帰り、また面接官としての顔に戻った。


そして榎本さんが次の質問をした。

「出身地と出身校を教えてください」


すると彼は、
「生まれは大阪ですが、高校はラ・サールです。」
と答えた。


「へえ??」


「えっ。ラ・サールってあのラ・サールですか?もしかして鹿児島の?」

とっさに僕は質問してしまった。


彼はこちらをみて答えた。

「ハイ」


僕はとっさに質問するほどに驚きを隠せなかった。


なぜなら、ラ・サールとは日本において屈指の進学校であり、知らない人はあまりいない。


それが現地:鹿児島でなら、なおさらだ。



僕が小学校のときだったであろうか。


ある日、友達と遊んでいた。


そんなとき、中学生と思われるであろう人が僕たちの前を通り過ぎた。


しかし、中学生にしては服装が違っていた。


その人は学生服ではなくブレザーを着ていたのだ。


「ねーねー、●●ちゃん。なんであの人あんな服着てるんだろうね。」

僕は当時の友達に質問した。

「あっあれはラ・サールの人だよ。」


「えっ?ラ・サール??」

僕は聞き返した。


「えっ!たけちゃん、ラ・サール知らないの?ラ・サールってめちゃくちゃ頭のいいところなんだよ。僕たちじゃいけないところなんだよ」


「へえーそんなにすごいんだ。それにしても中学生なのに坊主じゃないんだね」



そう、僕たちの中学校のときまでは坊主だった。(正確に言えば中学一年生のときまで)


しかし、ラ・サールは、中学校のときからブレザーでもちろん長髪。


僕から見たら、ラ・サールの人種は何か異質の存在であり、同じ中学と言う部類の中にいるはずなのに、

これほどまでに違う中学生を見ると、


幼いながらも何か大きな格差というものを知った。


だから僕が、中学生になってからはラ・サールのことを、

当時【バザールでござーる】のCMが流行っていたので

その言葉にあやかって、ラ・サールを

〔〔ラ・サールでござーる/オ・サールでござーる〕〕

と命名したのだった。


だからいつも、ラ・サール組を見ると、

『あっ!!オ・サールだ。やーい、やーい、オサールだあ』


と心の中で馬鹿にしながら、日々をすごした。


けれども、そんなときこそ何かむなしさを感じるのも事実であったのだが・・・・。


また、

『このオサールの奴らとは一生付き合うことのない人種なんだよなー』

としみじみ思いながら青春時代をすごしたものだ。


なのに!


なにに!!


そう思っていたのに!!!


一生付き合うことのない人種だと思っていたのに!!!!


そんなオサールことラ・サール出身者はここに、まさに僕の目の前に存在しているのだ。


これほどにビックリする事件はないであろう。



姉さん、事件です!





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