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2008/04/23 第111話:消し去りたい記憶 
江田が不敵な笑みをこぼし、 「なあ~タケオ、お前T高校に知り合いっている?」 と、突然質問してきた。 「は?」 僕は、突然の事にそう答えるも、 「タケオ・・・
2008/04/25 第112話求めている言葉
僕はそれ以来、江田達から大嫌いなあだ名で呼ばれるようになってしまった。 そして、江田達は川口へのいじめをやめ、今度はグループを裏切った僕を標的にしていったのだった。 「プー」
2008/04/30 第113話:伝えたい!
僕は、今でも中学生や高校生たちと話す機会がある。 これは僕にとってとても貴重な時間だ。 今の中学生は、高校生は今何かを考え、何を思うのか。 時代がどんなに巡ったって人間の本質は変
2008/05/02 第114話:届かない声
「今、もしいじめにあっている、困っていることがあるという人がいたら、いつでもいいから僕のところに来て下さい」 僕はこの担任の言葉を聞いて、 『すがってみよう 頼ってみよう
2008/05/03 第115話:新たに・・・ 
「僕は、サッカー部の同期に裏切られ、 居場所だと思っていた不良グループにも居場所はなくなり、 また仲良くなったクラスメイトも離れていき、 そして頼みの綱だった担任にも裏切られた。
2008/05/09 第116話:なぜ俺が・・・ 
「へい!いらっしゃい!!」 今日も市場には活気が溢れていた。 そして今日も新鮮な魚を求めて多くのお客さんが市場にやってきていた。 僕もそれに合わせてせっせと氷袋作り励む。 ガサ
2008/05/12 第117話:予想だにできない事 
「行きます。是非、行きます!行かせてください!」 僕はそう言ったものの、、 『どこにあるんだろう。』 と場所がよくわからないでいた。 僕にとって頼りになるのは真さんから
2008/05/14 第118話:もう間に合わない 
僕は決死の覚悟で朝日新聞東京本社に足を踏み入れる。   勿論、割烹着を脱いで…。     僕にだって羞恥心はあるから、割烹着はそこらへんにあるベン
2008/05/15 第119話:僕の防衛本能が作動する時 
「もう頼まれても絶対いかないっすよ!」   僕は真さんにそう宣言した。   「いやいや、ありがとう!どうだった?」     「もうどうだ
2008/05/21 第120話:どうしよう・・・ 
「おい、兄ちゃんそうなのかい?」   会長と呼んでいる人物は、眉間に縦じわを作り、ギラっとした鋭い眼光でこちらを見ながらこう質問してきた。 「えっ、えっと~」 『あ~どう

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第111話:消し去りたい記憶 

江田が不敵な笑みをこぼし、


「なあ~タケオ、お前T高校に知り合いっている?」

と、突然質問してきた。


「は?」

僕は、突然の事にそう答えるも、


「タケオ・・・お前、中学時代、面白いあだ名つけられたことがあったんだってな!」


「え?」


「いや~。偶然、この前バスに乗ってたら前の席の奴がタケオの話しててさ~。

お前、中学のとき太ってたからプーって言われてたんだって・・・・だははははは」


これは僕にとって寝耳に水の話。


しかし江田は、ムカつくほどに嬉しそうに


「プーだってよ。プー。お前豚だったんか?豚だよ!!ぶた!

だははは~。ああ腹イテー」


この事を聞かされた瞬間、僕の頭は・・・・・真っ白だった。


人間誰しも自分の記憶から消し去りたいという事柄がひとつはあるもの。


それは過去に振り回されたくないという思いから消し去りたいと思うのだろうし、

もう今はそんな事を思い出す環境にいないからと思い、消し去ろうとするのだろう。


そう僕にとってそのように消し去りたいと記憶がまさしくこの中学時代のあだ名だった。


僕は、中学時代の一時期、身体的特徴からつけられたあだ名をつけられた事がある。

皆さんもこんな経験はないだろうか。 


仲間内でからかうために性格や名前、身体的な特徴からあだ名をつけあったりした経験が。


でも・・・そのあだ名は、自分にとって屈辱的だったり、内心傷つくものだったりするもので・・・。


それにあまり知られたくないあだ名が、ずっと3年間片思いの女の子に聞かれた日にゃ・・・


「えっ!タケオ君ってプーって言われてるの??あははは嫌だ~」

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

ガーン!



このひと言は僕にとってショックが大きく、この時ほど、自分の記憶から消し去りたいときはなかった。


今だからそんなに感じないものの中学、高校時代はピュアだから傷つき易いもので、、、、


だからそんな忌々しい記憶がよみがえってくるあだ名は、高校では呼ばれないとだろうと思っていたし、

「中学時代のあだ名なんだった?」

という会話があったとしても僕は決してこの「プー」というあだ名を言う事はなかった。

なのに、なんの因果か・・・もう関わりを持ちたくないと僕は避けていた江田に・・・・


しかもこんな最悪なタイミングで・・・・・

自分の記憶から消したいくらいの過去の中学時代のあだ名を、知られるはずのない、また一番知られてはならない江田に知られてしまった。



僕の弱みを、過去のスキャンダルを、、、アキレス腱を握られてしまった。


『うわああ・・最悪だ・・・』










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第112話求めている言葉

僕はそれ以来、江田達から大嫌いなあだ名で呼ばれるようになってしまった。


そして、江田達は川口へのいじめをやめ、今度はグループを裏切った僕を標的にしていったのだった。


「プー」

「ぷ~?」

「ぷっぷっ~」


事あるごとに、やつらは馬鹿にして、皮肉ってそう呼んでくる。


思春期の子どもにとって、自分の弱みを握られたらもうどうすればいいかわからない。


僕もそうだった。



ニュースの中で「いじめ」を苦に自ら命を絶つ子ども達がいる事を伝えられると僕は心がとても痛い。


あるコメンテーターは、自殺のきっかけのある言葉を聞いて

「えっ?こんな言葉で・・・・今の子どもは心が弱いんですよ」

という。


そうかもしれない。


でもその言葉で誰が救われるだろうか。

そんな言葉でなんの解決になるんだろうか。


そんないじめられている子ども突き放すような言葉で誰が共感し、助けられるだろうか。


いじめられている子ども達は、その世界がすべてと感じる。


今ある現実が、すべてであると感じる。


だから、この現実からの逃れたいと思うために自ら命を絶つ。


そのきっかけは暴力から逃れたいという理由からかもしれない。


またある子どもは、言葉の暴力から逃れたいという理由からかも。



人間は十人十色。


ひとつの料理を食べて、またTVを見てみんなそれぞれ感じる事が違うように、

子どもが「ああいやだな~、つらないな~」と思う事だって一人ひとり違う。


だから

「えっ?こんな言葉で・・・・今の子どもは心が弱いんですよ」

という言葉をいじめられている子どもは求めているんじゃない。


求めているもの・・・・


「この今の現実がすべてじゃないよ」

「もう大丈夫だよ」

という温かい言葉と逃げ場のある居場所。


でも、この時の僕は、まだ今の現実がすべてだと感じていた。



「ああ、嫌だ。もう限界。」


「学校に行きたくない」


「死にたい・・・」

と。



僕の心は真っ黒に染まっていく。





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第113話:伝えたい!

僕は、今でも中学生や高校生たちと話す機会がある。

これは僕にとってとても貴重な時間だ。

今の中学生は、高校生は今何かを考え、何を思うのか。


時代がどんなに巡ったって人間の本質は変わらない。


でも環境は、そんな事お構いなしにどんどん変わっていっていく。


そして人間は、そんな劇的な変化を遂げている環境に翻弄されて今生きている。


そう、人間たちが作り上げた環境のはずなのに・・・。


皆さんはご存知だろうか。

私達の頭に入ってくる情報がどれだけ莫大であるかを。


私達の頭に入ってくる現代の一日の情報量は、なんと中世・江戸時代の人たちの一生分の情報量と言われている。


ある時代の人間の一生分の情報量が現代ではたった1日。


現代とはなんと忙しい社会だろう。


これでは誰もが

「忙しい!忙しい!」


と口ずさむのは当たり前。


大人たちは、そんな莫大な情報に翻弄されて、毎日毎日、処理する事だけに追われる。


そしてそんな大人たちは、自分の情報の処理にいっぱいいっぱいで、

子どもが困って右往左往しても、時に子どもが出すSOSの信号をキャッチする事ができないでいる。


そう、これは僕のときもそうだった。


SOSの信号を出しても気付かない学校、先生、担任。。。



僕は自分の体験を是非、中学生・高校生に知ってほしいし、そしてここから今のあなたのおかれている境遇がすべてではないという事をあなたに伝えたい。




僕は江田に弱みを握られた。

しかも、川口への仕打ちが僕に移っていった。


そして、また僕の周りは寂しくなっていく。


1人、また1人と友達が遠ざかっていく。


『なんて薄情なやつらだ』

と僕は一瞬、怒りを覚えたものの、

『結局は、みんな俺から離れていくんだな・・・・』


と、僕の気持ちは段々と怒りから空しさへと変わっていった。

そんな状況の中で川口と言うと・・・・変わらず僕に話しかけてくれる。


「今日、ゲーセンいこうか?」

「このゲームこうだったよね」

と。


けれども、そんな川口に対して僕は

「今日はいいわ~」

「今日は先に帰ってくれる?」

「今忙しいから、ちょっとごめん・・・」


と、なぜか自分から川口を遠ざけてしまう。


今思えば、【助けた奴から助けは受けない】という変な意地があったんだと思う。


または『俺は川口みたいに心は弱くない』という思いもあったのかもしれない。



でもどんなに表面的に強がって見せても、

どんなに江田たちのいじめに平気な顔をして見せたとしてもあのとき僕は、あのいじめを受けていた川口のときと全く同じだった。


まあ違うところと言えば、僕は意地っ張りで川口のように素直に助けてくれる人を受け入れなかったこと。


ホントは嬉しいはずなのに・・・


ホントはどうしていいかわからないはずなのに・・・。


ホントは僕の心だってそんな強くないのに・・・。


そんな変なところで頑固で意地っ張りの僕だったから、結果的に僕は自分でどんどん自分の首をしめていった。


そしてどんどん事態は悪くなっていく。

深みにはまっていく。


僕は、自分の行動と周りのいじめという負の連鎖でどんどん身動きが取れなくなり、混乱していった。

そして僕はいつしか


『誰か助けてよ!』

『この江田たちを誰か倒してくれよ!』

『今の僕をどうにかしてよ!』

と心の中で叫んでいた。


するとそんなときだった。


「今、もしいじめにあっている、困っていることがあるという人がいたら、いつでもいいから僕のところに来て下さい」

という言葉を担任から聞いたのは。



『これだ!今の僕の状況を先生に言えば、なんとかしてくれるかもしれない』



僕はそう考え、今の現状を勇気出して話そうと担任のいる部屋へと向かっていった。



そう、この行為が後に、僕を失望へと陥らせるというのに・・・。





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第114話:届かない声

「今、もしいじめにあっている、困っていることがあるという人がいたら、いつでもいいから僕のところに来て下さい」


僕はこの担任の言葉を聞いて、


『すがってみよう


頼ってみよう』

と思った。


『これだ!今の僕の状況を先生に言えば、なんとかしてくれるかもしれない』


・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・コンッ!コンッ!


僕は勇気出して担任のいる部屋をノック。

すると

ガチャッ・・・

中から、担任が出てきた。




「あれ?・・タケか?」



「あ・・・・・、はっはい」


「えっと、何か用?」


担任は、僕に質問する。



僕はその質問に、



「え~っと・・・え~っと・・・え~っと・・・・」

と、口ごもってしまった。



それもそのはず。



人は、自分の奥底にある悩みほど人に打ち明けられないもの。


そして打ち明けようと決心したとしても、さて本番と思うと、最初のひと言がなかなかでない。


悩みを打ち明ける行為とは、それほどに緊張する、勇気のいるもの。

だから僕もいじめの事を言おう!話そうと決心したにもかかわらず言葉がすぐにはでてこなかったのだ。


しかし、僕はぐっと握りこぶしを作り・・・・・

勇気を出して

「え~っと、さっき先生が言っていた事で相談したいことがあるんですが・・・」

と言った。


『あっ言えた・・・』



・・・・すると担任は


「え?さっきって・・・いじめの件??」


と首をかしげながらまた質問してくる。





「あっはっはい。そっそうなんです。」


僕は緊張しつつもうなずき、同意した。



『あ~これで解決するかも』


僕は、一瞬そう感じホッとした。




けれども、これは、、、、、、、とんだ誤算で、



淡い期待にすぎなかった。




そう、担任から返ってきた言葉は、、、、



「ふーん、そう?

え~っと、その話長くなる?

ちょっとね~、今時間ないから後にしてもらいたいんだよね~」

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・


僕にとって予想もしていなかった言葉。


聞く耳を疑った言葉。


人を突き放すような言葉。



僕はこの言葉に

「えっ?」

としか答えられず、動けない。




しかし、担任は僕にこう言葉を残すと、

僕の目の前で

ガチャン!

とドアを閉めた。



僕をそのまま廊下に残して・・・・。



僕はあまりの出来事に状況の把握ができず、しばらくの間、部屋の前の廊下に立っていた。


しかし次の瞬間、僕は

『話すんじゃなかった。。クソヤロー』

という怒りの思いと

『俺って一体なんなんだろう・・・』

という空虚感が僕の心の中には生まれていったのだった。



今になって思うと、このときに味わった感覚が【絶望】だったのかもしれない。


勇気をもって先生を頼ったのに、


先生に希望をおいたのに、

完全に裏切られた・・・・もう僕を助け出してくれる人はいない


そんな感覚だろうか。




そして僕は・・・・・ある日の夜、



とあるビルの屋上の端に立っていた。


『生きてても意味がない・・・』


『ああ、嫌だ。もう限界。』


『学校に行きたくない』


『死にたい・・・』

という気持ちを心に抱えて。





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第115話:新たに・・・ 

「僕は、サッカー部の同期に裏切られ、

居場所だと思っていた不良グループにも居場所はなくなり、

また仲良くなったクラスメイトも離れていき、


そして頼みの綱だった担任にも裏切られた。

・・・・だから僕は、もう生きるのをやめようとしたんです。


ですから僕の高校時代は順風満帆というよりも波乱万丈??だったんですよ」




「そっか~。そんな事があったとはな~」


僕の話に目を閉じてじっと耳を傾けていた真さんが口を開いた。


「やっぱり、いじめられていた時は親には言えなかったんだ。」



「そうですね~。あのときは言えませんでしたね。

なんか親に迷惑をかけたくないという気持ちがあったし・・・」


僕はあのときの気持ちを思い出しながら真さんに答えていった。



「でも、親としては言ってほしかったと思うぜ。

俺も1人の親として父親として、子どもがそう言う状況なら耐えられないし、助けたいと思うから。」


腕を組みながら真さんが僕にこう語る。


「そう、まさにそこなんですよ。

子どもは子どもなりに気を使ってしまう。

つまり、親に助けてもらう事というのは、自分の事で親に迷惑をかけるという事になる。

また、親に解決を求める事は、自分にとっての恥となるわけで・・・また自分がまだ子どもである事を認めてしまうことにもなる。

・・・だからそこは譲れないと思ってしまうんです。

でも結局は、まだ子どもだから全く解決策が見出せない。

だから簡単に究極の死というところまでいってしまう。

これは大いなる矛盾ですよ、矛盾。

子どもなのに、そこだけは、肝心な事は、変に大人のようになってしまうわけで・・・」



「うーーん。子どもは気を使わなくていいのに・・・。

俺の子どももそうなるのかね~」


大きくうなだれる真さん。



「いや~どうでしょう。あくまでもこれは僕の気持ちであって・・・・

でもまあ~どんな子どもであっても、たぶん子ども心ってのは、とても難しいんだと思うんですよね。ホント!」


僕は、自身の経験からではあったが、子どもの気持ちの変化の難しさを真さんに説明したのだった。



すると、真さん

「そっか~。俺も子どもで悩んだら、タケオに相談してしようっかな・・・」

と、ひと言。


それに対して。


「いや~そんな・・・あははは」


苦笑いの僕。



「でも、さっきの話に戻るけど、今ここにいるって事は、あの状況を克服したって事だろ?

あれからどうしたわけ??」


真さんは、続きの話に興味津々のようで・・・・身を乗り出してくる。



「そうですね~。ひとつは両親のおかげだと思ってます。

それから、それは僕はあれから不思議な出来事が数々あったんですよ。

それは・・・・」


僕は、続きを話そうとしたのだが、、、、



「お~い!これ東マル8で持っててくれるか~」


店先から安さんの声がした。



「あっ!これからがいいところなのに・・・・」


僕はあまりのタイミングのよさにツッコミを入れた。



すると真さん、

「まっ!しょうがない。いいよ。時間があるとき聞かせてもらうから!」


と、残念顔ではあったものの【安さんのところに行きな】というジェスチャーを僕にして見せた。



「そうですか。わかりました。じゃあ行ってきます。」


僕はそう言うと、真さんに軽く一礼をして


「はーい。安さん、今行きま~す。」


と店先の安さんに返事。





そして僕は、発泡スチロールの箱を所定の配達場所に持っていくのであった。



けれどもそれ以降、店がどんどん忙しくなっていったため、話の続きをする時間はなかなか取れなくなってしまった。



そして、そんなある日のこと。


僕は、今日もいつものように3時に間に合うように築地市場に到着し、いつものようにセッティング作業に精を出していた。


すると、セリから帰ってきた真さんが


「おお~タケオ!今日はな~、お前に是非頼みたいことがあるんだよ。」

と、声を掛けてきた。



「えっなんですか?」


僕はたずねる。


「うんとな~。実はな~!お前が話してくれた話をちょっとお客さんにしたら、

えらくお前の事を気に入った人がいたんだよ~。

だからそんなお前に是非頼みたいことがあるらしんだ」

と真さん。



「えっ僕にですか?」


「そう!詳しくはあとでまた教えるから。それじゃあね~」


真さんはそう言い残して、また次のセリにいってしまった。



『一体誰なんだろう。そのお客さんって・・・』



僕はその時、そのお客さんの事を知る由もなかったので、【誰だろう】と首を傾げながらセッティング作業を続けた。




けれども、人と人との繋がりというのはわからないもので、、、、、


このお客さん・・・・いずれ、僕と田端をつなぐ大きな存在になっていき、僕の人生の中で大きな経験をさせてくれる人物の1人となっていく。




でもね・・・・・・なんとなく、どこからともなく事件のニオイがしてきたのだった。





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第116話:なぜ俺が・・・ 

「へい!いらっしゃい!!」

今日も市場には活気が溢れていた。

そして今日も新鮮な魚を求めて多くのお客さんが市場にやってきていた。

僕もそれに合わせてせっせと氷袋作り励む。

ガサッ ガサッ ガサッ パンパンパン

「はい。お待たせしました~」

僕は出来上がった氷袋をお客さんの買物袋に入れたり、箱に詰め込んだり、真さんや安さんに渡したりとせわしく働いていた。


それから時間はどんどん経過していき、ふと店の時計に目をやると針は七時を指していた。


『おっもうこんな時間か!

もうそろそろだな』



僕にとってこの時間は何よりの楽しみ!


この時間があるからこそ僕はつらいつらい肉体労働を耐えられる。



そう、僕にとってこのバイトで一番の楽しみとは・・・・・・


『あ~いいにおいが、今日はなにかな~。クン!クン!クン!』


朝ごはんの時間だ。


この時間となるとどこからともなくいいニオイが漂ってくる。


『あ~今日は鮭弁当かな~。うわあめっちゃいいニオイだし・・・』



そして、この時ばかりは僕もかなり不本意ではあるものの、自然と学舎の金さんと同じような鼻息の使い方をしていた。


「あ~クンッ、お腹がクンッ、へったな~クンッ」

てな感じで・・・・。



そんなとき、


「はーい!お待たせ~」


食堂のおばちゃんが人数分の弁当を抱えて店の裏手にやってきた。

「おーきたきた!

はい!おばちゃんこっちこっち!」


僕は待ってましたとばかりにおばちゃんから弁当をもらい、ダッシュであの小さな2階の部屋にいき、弁当に喰らいつく。


『ああ~この味サイコー』


僕は今も、あの時の弁当の味を忘れてはいない。

というより、もうあれ以上の弁当に出会う事はないと思っている。

それほどに新鮮な魚を使っていた弁当だったし、それに何より僕にとって人生初めての重労働の後の弁当であったので、頑張った後のごはんは格別にうまかった。


それから・・・しばらくして、、、、


僕はまたいつものように氷袋作りに取り掛かろうと、

ガシャッ、ガシャッっとビニール袋に氷を入れていると、

真さんが、

「あ~今日はもうその作業はいいから」

とひと言。


「えっいいんですか?」


「いいの、いいの。タケオにはやってほしい事があるんだよ」


「えっ何ですか?」


「今日の朝言っていた様に、あるお客さんがお前に依頼してね。

それを今日はやってもらおうっと思ってさ!」

真さんは笑顔で僕の方を見てこう言ったのだった。



『へえ~なんだろう・・・・。』


僕は考え込み・・・チッ、チッ、チッ、ちーーん!


『あっ!そうだ!わかったぞ!

そのお客さん、俺の話を聞いて感動なんかしちゃったかなんかして

俺に是非会ってもっと話を聞きたいとかなんかじゃないの!!

いや~俺も有名人になっちゃうかもな~ぐふふふ・・・・』

そう僕が1人、そんな妄想にふけっていると、


「今からあるところに行ってもらいたいんだよ。」

と真さん。



そして僕も

「ええ、いいですよ。どこでお客さんと会えばいいんですか?」

とやる気満々に答えたのだった。



それを聞いた真さんは

「えっ!お客さんと会う?」

と首を傾げる。


「えっ僕に会いたいんじゃないんですか?」


「いやいや、そうじゃなくて、これをタケオに買ってきて欲しいそうなんだよ~」

そう言うと、真さんは僕に何か書いてあるメモ用紙を渡した。


僕はそのメモ用紙に目を通す。

「え~っと、なになに、、、



子・ど・も・



の・科・学



自・由・研・究

小・学・4・年・生用


9・月・号、、、、」

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


『は?

なにこれ・・・意味わかんない。

なんで自由研究・・・・しかも9月号だし』



僕は、事態が全く呑み込めず、目がテンになる。



「えっこれって・・・・」


「そう、自由研究のための本みたい。それをタケオに買ってきて欲しいらしい」


「えっ!俺がこれをですか?」


「そうらしい。」


「でもなんで俺が・・・」


僕は、なぜ僕がこれを買いに行かなくていけないのか、、理由がわからないでいた。



すると真さん、


「なんでもタケオの年齢が、自分の子どもに近いからこの本をすぐ見つけてくれるだろうからって話らしいよ」

と理由を述べてくれた。


僕はこの答えに

「へえ~。そんなんですか~」

と、反射的に返事したものの、


よく考えてみると・・・・・・・・・・・・・


『はあっ?

で??

なにそれって??

それ理由じゃないじゃん・・・』


とツッコまずにはいられなかった。


しかもこの答え、、、、


僕のいじめの話に感動した事とこの依頼の件、全く関係がない。


『僕のいじめの話の【い】の字も出てこないし、、、


しかも、大学一年生と小学四年生って、、、世代が違うよな。絶対。


それにこれって依頼じゃなくて・・・パシリだよ確実に。』



僕はそう1人ブツブツ言いながら、


そして僕のやる気満々だったゲージは一瞬にして下がり、

やがてゼロ(皆無)となった。



「これって・・・もしかして今いくんですか?」

と、相当やる気のない僕。


これに対して、


「そう」

と真さん。



「しかも、こんな本が築地に売ってるんですか?」

と、相当やる気のない反発の僕。


これに対して、

「いや、売ってないよ。」

と真さん。



「じゃあ、俺に頼むこともないし、また実際どこで買えばいいかわからないし・・・。お客さん自身で行かれたほうが・・・」

と、相当やる気のない抵抗の僕。


これに対して

「えっと・・・市場からすぐ目の前にある売店にあると言う話なんだけど、、、

それにそのお客さん、結構忙しくしている人で、買う時間が今ないらしいのよ。

しかもこの本、今手に入らなくて、もうそこしか売っていないみたいだし、、、

そこも部数がもうあまりないから早く行かないといけないみたいなんだよ。

それからタケオに頼んだのは、自分はこういう勉強の世界の事はよくわかんないから頭のいい人に任せたいってお客さんたっての希望なんだ~。」

と真さん。



「はあああ、でもな~~」


『そんな事言われたって、パシリはパシリジャン!』

と、全くやる気のでない僕。



しかしそんな僕に、真さんはこう話を続けた。


「それにちゃんとそのお礼はするってさ!

このお客さん結構、金持ちの人だから、お礼も良いもんだよ。きっと」

と。




「えっ??」




僕はこの真さんのひと言により、

「はい!行きます。是非、行きます!

俺!行きます。

行かせてください!」


・・・・・・劇的に変身した。



そう、それまで僕の瞳は光を失っていたが、このひと言に再び光がともされたのである。




『うん!パシリでもいい!!

パシリでもいいよ。全然!!』

という感じで。。。。




人間とは、、、単純なものです。






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第117話:予想だにできない事 

「行きます。是非、行きます!行かせてください!」

僕はそう言ったものの、、


『どこにあるんだろう。』

と場所がよくわからないでいた。


僕にとって頼りになるのは真さんからもらった紙、、、、だた一枚だけだ。


僕はこれを頼りに場内市場をうろうろした後、市場の正門を出て、

正面にある大通りを横断した。


『えっと~、、、、ここの信号を通って・・・・

で、そのまま直進し、


すると茶色ビルが建っているから


そこの2F部分に書店があるって事なんだけど、、、、



えっとここかな・・・。』



僕はブツブツ言いながら、紙が示している目的地の前で止まり、顔を上げた。

すると、


どーーーーん


僕の目の前には、茶色の巨大なビルがそびえ立つ。


「えっ!ここ??」


僕は目玉が飛び出そうになった。


それは、、、なにせ僕は、【書店】と聞いていたから、

『個人的な店か書店のチェーン店か何かだろう』

と思っていたからだ。


しかもこのビル・・・・ただの商業ビルではなかった。


この茶色ビルは、なぜか旗が掲揚されている。


僕はその旗に目を凝らして見た。


すると、

「えっと、、、朝・日・新・聞?


うーーーーーん


これって~~


という事は、、、、、、、、、、、、、、、、

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

え~~~!?」


僕は絶句した。


そう僕が、お使いに頼まれた書店が入っているところとは、

あの日本屈指の新聞社、朝日新聞の東京本社のことだったのだ。



『何かの間違いだろう』

と僕は思い、そして何度も何度もメモを見直した。


けれども、目的地はまさしくこの朝日新聞社を指している



『えっ、またかよ~!!』

僕の頭にはふと、銀座の冷たいあの目線&臭がられた事件の事が脳裏をよぎった。


そして僕は恐る恐る周りを見渡す。


するとやっぱり周りは、、、


スーツを着て、びしっと決めたサラリーマンがいっぱいいっぱい!


「もう~、ニッポン人、いっぱい!いっぱい!」

と、片言の日本語しかしゃべれない外国人がインタビューを受けたとき、

オーバーアクションのジェスチャー付で、周囲の様子を語るように・・・・


それほどまでにサラリーマンは、どこに目をやってもいっぱいいた。


『でもなんで、こんなにいっぱいいるんだ~』


僕はそう思い、自分の腕時計に目をやる。


すると、時計は8時半を指していた。


『このやろ~。

ちょうど、、朝のラッシュの時間じゃねーかよ。。


おー最低』


僕は頭を抱えてしまった。


そりゃあそうだろう。


僕の横を淡々と追っていくサラリーマンは、ビシッとスーツ姿を決めているのに、


一方僕はといえば・・・・

上半身はTシャツ、その上は割ぽう着。


下は、汚れたチノパンに、



そしていかにも足が臭そうな長靴。


・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・もうすべてが最低だ。


僕も外人のように

「OH!NO(オウ!ノウ)」

と叫びたい心境だった。




しかも今の僕のおかれている状況、、、、、


なんとなく、異国に来たような感じだし・・。



それはなんせ、僕は今の今まで

「ヘイ!いらっしゃい!」と言いながら、氷袋をひたすら作っていた世界にいたのに

ちょっと歩いて道を一本隔てただけで、

今度は、スーツを着、無言で&淡々と早歩きをし、僕の横を冷たく通り過ぎていくサラリーマンたちの世界にいるのだから。


この状況・光景は、

『同じ築地という地域・場所のはずなのに、こんなにも雰囲気も違う、また人間が違うのか?』

と思うほどだった。



同じ地域でも、道を隔てるとこれほどに違った世界が築地には存在していた。


この光景は、まだ世界を知らない未熟な僕にとってはかなりの衝撃的な出来事であった。


この時ほど、【井の中の蛙(かわず)大海(たいかい)を知らず】という諺(ことわざ)を知らされるような場所は他にはないだろうと思う。


正直僕は、


『いやーこんなにも世界は違うものかな~』

と思わされた。



そして次の瞬間、

『こんな世界は違うものかな~』

という世界に僕は足を踏み入れなければならなかった。


そう、しかも最悪な事に魚臭い体と、

強烈に臭い足で。。。



誰がこれを予想できるだろう。


だって、生まれて初めていく新聞社に、割ぽう着で、しかも長靴でいくんですよ・・・。


ああ~もうこれは・・・こういうしかない。



「姉さん、、、、事件です」

と。






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第118話:もう間に合わない 

僕は決死の覚悟で朝日新聞東京本社に足を踏み入れる。
 
勿論、割烹着を脱いで…。
 
 
僕にだって羞恥心はあるから、割烹着はそこらへんにあるベンチに置いてから新聞社に向かった。
 
しかしそれでも、焼け石に水とはよく言ったもので、格好の悪さと魚臭さは変わらない。
 
割烹着を脱いでもTシャツ一枚に汚れたチノパンと長靴という格好なのだから…。
 
この格好、どこから見ても怪しい。
 
怪しすぎる。
 
僕が見てもそう思うのだから周りが見たらもっとそうなんだろう。
 
誰がこんな通勤ラッシュにTシャツ一枚で、長靴を履き、しかも香水の香りの如くに磯の香りを漂わして、新聞社に用がある人がいるだろうか。
 
 
 
 
 
ここにいた。
 
 
 
 
 
僕はそれでもなんとか怪しまれないように、新聞社に入っていくサラリーマンに混じって玄関へと向かった。
 
 
そんな正面玄関には二人の警備員が立っていた。
 
しかし、僕があまりにも堂々と歩いていたからだろうか、
すんなり侵入成功。
 
『な~~んだ。びびるほどでもなかったじゃん』
 
と僕は思ったものの、
 
次の瞬間、
 
「すいません。何かご用ですか?」
 
と警備員二・三人に取り囲まれ、あっさりご用。
 
 
やっぱり僕は警備員にとって怪しすぎる人物だったようだ。
 
 
しかしそうは言っても、
 
「すいません。何かご用ですか?」
 
と言いながら、僕が話をする前に僕の周囲を囲んだ警備員の行動にはなんかムカついた。
 
 
第三者がこの状況をみたら、
 
絶対に
 
何かの犯人か変質者ではないか!
 
 
 
僕はた
だ【 子どもの科学 自由研究 小学4年生用 9月号】を買いにきただけなのに。。。。

 
僕はお使いの内容を警備員に話した後、

警備員に連れられて~が売ってる書店(朝日新聞社が出版している書物だけを扱った店)に案内されたのだった。
 
そして僕はそこで依頼されたブツを無事に購入。
 
 
「はああ、やっと買えたよ」
 
僕は新聞社を出たときには、すで精神的にふらふらだった。


「なんで俺がこんな思いをせにゃあならんのだ!
 
しかも書店のレジの人めちゃくちゃキレイなお姉さんだったし…こっちが緊張しちゃってやな汗かいちゃったし

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

しかもあのお姉さん、

さっきはレジでは笑顔に

『ありがとうございました~』

とか言ってたけど、
 
笑顔の裏には、
 
 
『おえ~!くせ~!吐きそう!おえ~!』
 
 とか
 
『変質者よ、やだ~変質者よ!』
 
とか
 
『いやっ!こっち見た! こっち来ないで~』
 
とか絶対いってんだろうなあ~。
 
 
 
あ~あ、もう絶対頼まれてもこんな事やんねーぞ!まじで。

頼んだお客からそれ相応のものもらわねーと割に合わねーよ、ホント」
 
と、ひとりぼやいていた。
 
 
そして僕は、てくてくと歩きながら、頼まれた本にパラパラと目を通す。



その本の今月号の特集のタイトルはこうだった


【まだ間に合うぞ!君の自由研究】


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

スウウーーーー


なにかさむい風が僕の体を通り抜けていったのを感じた。




『俺はこんな本の為に・・・・。


はああ、自由研究は間に合っても、僕のはもう・・・・間に合わないよ。。。




はああ、姉さん、

人生はつらいっス!

世の中の風は厳しいっス!

冷たいっス!

そんな事をまたまた知ってしまった日であった。





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第119話:僕の防衛本能が作動する時 

「もう頼まれても絶対いかないっすよ!」
 
僕は真さんにそう宣言した。
 


「いやいや、ありがとう!どうだった?」
 
 
「もうどうだった?とかのいう話じゃないっすよ!

めちゃくちゃ恥ずかしい思いしたんすから!
 
サラリーマンに白い目で見られるわ!
 
警備員に止められるわ!
 
レジの美女に磯の香りを嗅がせて

『おうぇ~』とか、思われてしまうはで・・・。
 
もう半泣き状態っすよ!半泣き・・・」
 

僕はたまりたまったこのなんとも言えない思いを、ジェスチャーを交え大きく真さんに訴えた。
 
「あ~わかった!わかった!
 
お前の言いたい気持ちはよ~くわかった。

先方にはちゃんとお礼するよう伝えておくから」
 


「お願いしますよ。ホント大変だったんですから!
 もう半泣きですよ。半泣き!」
 


「わ~かった!

わ~かったよ!

お前の気持ちはしかと受けとったから大丈夫!

任せときな!」
 




それから数日後のこと。


 
「お~い!タケオ。おまえにお客さんだぞ~!」
 
真さんが店頭から店の奥にいる僕を呼んだ。


「えっ!?僕にっすか?」


 
「そうだよ。

ほらこの前に本を頼んだ人だよ。」
 


「あっ!あ~。

はいはい。」
 
 
僕はそう返事をしつつ、

『一体、この俺様に築地の仕事とは全く関係ない、しかも恥ずかしい思いをさせた客とは誰なんだ!

この目で確かめてやる』
 

と、意気込みながら店頭へと顔を出した。
 


「おっ!きたきた。

彼がわざわざ朝日新聞社に買いに行ってくれたタケオ君ですよ」
 


『おう、誰だ誰だこいつか~?

俺をパシリにつかったのは?』




僕はそういきがってお客さんの顔を見ようとしたものの、



『あっ・・・・。




このお客さんを見た瞬間、ピタッとその動きは止まってしまった。




というのは、・・・・このお客さんの風貌、、、、


頭は完璧なほどのスキンヘッド、


眉毛は太く、口ひげを伸ばしており、


そしてミナミの帝王のような低音の声を響かせ、


また眼光の強い目をしていたのだ。




まさしくどこから見てもそっち系っぽいお方。



僕はこの人を見た瞬間、


『やばい!命があぶない!逃げないと』


と、防衛本能が作動した。


しかも

「会長!

彼はよくやりましたよ~」


と真さんが、この人に僕を紹介しているではないか。


『かっ会長?

えっ!なに?なに?

なっ、なっ、なんの会長??

会社の会長さん?


いやいや、あり得ない。だってここ、ここは築地だし・・・・。


でも板前さんで、会長なんて職ないし・・・。



・・・・・・・・・。


という事はまさか、、、、ホントにそっち系のヤクザ関係の方???』





『これはやばい!これはやばい!やばすぎます!

早く彼から離れないと!』


と、僕の防衛本能がさらにそう叫んだ。



そんな中、真さんは


「彼はよくやりました。あの新聞社の中をこの格好で買いにいったんですから。

だから彼にたっぷりお礼をお願いしますよ。

彼だって会長からのたっぷりなお礼を欲しがっているんですから!

ねータケオ?」


と、僕の肩をバシッ叩く。


・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『えっ?えっ?え~?そんなバナナ~』



なんとも真さんのKY(空気読めない)的なこの発言。。。



『こんなときに
俺に振るのかよ~。


やめて~~』



僕は心の中で頭を抱えてた。



すると、

「おう!おう!おう!? そうなのかい、にいちゃん?」

と、会長と呼ばれる男性が、この真さんのKY的な発言を受けて、僕にこうたずねてきた。



『うっうっう~。

こういうとき僕ってどうすればいいのでしょう。。。


誰かおひえて~!!

ヘルプミー!!!』


僕は心の中で叫ばずにはおられない。





つづく。





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第120話:どうしよう・・・ 

「おい、兄ちゃんそうなのかい?」
 
会長と呼んでいる人物は、眉間に縦じわを作り、ギラっとした鋭い眼光でこちらを見ながらこう質問してきた。

「えっ、えっと~」


『あ~どうしよう。

こんな時はなんて言えばいいんだろう。』




「どうなんだい?」

会長は僕に言い寄る。



『だああああ、もうしょうがない!』



「えっ、え~と!そっそうです。そうですよ。
 
この格好で行かされるなんて思っても見なかったから

恥ずかしくて恥ずかしくて……。

でも、お礼がもらえるということだから俺、俺頑張ったんっす。

だからお礼はもらわないと!」
 

・・・・・

・・・・・・・・・

『だああああ~やっちゃった。やっちゃったよ。

よりによって俺・・・・単刀直入にストレートすぎるほどに言っちゃったよ。

ああどうしよう。どうしよう。

でっもでも、まっまあこんな事じゃキレないよ・・・たぶん。

そうだよ。そうだ。そうだ。』


僕はそう心に念じ、恐る恐る会長の顔を見た。



そんな一方の会長の顔はというと、、、、


目がどんどん見開き、顔がどんどん赤くなっていくのが見えた。



『キっキレてる!?

キレてるじゃんかよ、あれ。

どう見たってあれはキレてる顔じゃん。

どうしよう。

このままじゃやられちゃう。

うあああああああ。。。』



心の中で僕が大いにビビッていると


突然、


 「ぶあはははははは」



 『えっ?』


「あははは!お前気に入った!
 
気に入ったよ」
 

と、会長が突然笑いだした。
 

 
「きゅっ急にどうしたんですか」

と、真さんもびっくり。
 


 
「いや~いや~、初対面でこれだけ言える学生さんがいるとはな。

いやー愉快、愉快。
俺も仕事柄、学生さんたちとは会う機会があるんだが、他の連中は俺を見ただけで、すーぐ黙りこくっちゃっう。

でもお前さんはビシッとストレートに答えやがったよ。
 
いや~これは愉快、愉快。だあはははは。」

と、やけに上機嫌の会長さん。


一方の僕はというと、


 『あ~よかった~。一瞬、殴られるかと思ったよ』

と、ホッと一安心。


『でも誰だってあんたのスキンヘッドと風貌見たら、びびるに決まってるじゃん』

と、会長が面識を持ったという学生達に僕は同情したのだった



「よし、ちょっと待ってな!お前さんが帰りまでにお礼のもの持ってきてやるよ」


会長さんはそう言ってどこかに言ってしまった。


それから数時間後。

「おい!学生さん!持ってきたぞ」


会長さんはそう言うと、僕に袋を手渡したのだった。


「えっと~。これはなんですか?」


「いいからいいから、中身見てみな」


「はああ」


僕は袋に入ったビニール袋を取り出すと、、、


「おっおう、こっこれは!!!」


ビニール袋が輝いて見えた。



「それはマグロの大トロだよ。しかも4人前。それだけでありゃあ足りるだろう。

それだけで3万以上はするぜ」

と会長さん。



「えっいいんですか?そんな高級なものを・・」


「いいって事よ。あれだけの恥ずかしい事をしてまで買ってきてくれたんだ。

これくらいの事はしねーとな。それはうめーぞー」


「あっありがとうございます。

嬉しいな~大トロなんて食べた事なかったし」


「そうか、そうか。それはよかった。」



「ありがとうございます。帰ってたーべよっと」



「あっと、そうそう。それから兄ちゃんできればもうひとつ頼まれ事してくれねーかい?」



「えっなんですか?またお使いですか?」



「いやいやそうじゃなくて、息子の家庭教師を探しているんだが、、、

兄さんの周りにいい家庭教師になりそうな学生さんたちはいないかね~。」


「家庭教師、家庭教師ですか?うーーーん」


僕が家庭教師に合うような人物を頭の中で巡らせてみた。

すると、


チーーン!


『あっ!?そうだ!ピッタリのあいつがいるじゃないか!』



僕は会長さんとピッタリ合うであろう家庭教師に成りうる人物を思い出したのだった。


そう、その人物の名は、


田端幸平、東大1年生。


「えっと会長さん!いい奴がいいますよ」


「おっ本当か!」


「はい!そいつならたぶんいい家庭教師になると思います。」


「おおそうか。そうか。それなら是非今度紹介してくれ!」


「わっかりました。それじゃあ、今日帰ってから聞いてみます」


「わかった。それじゃあよろしくな!」

「はいわかりました~!」


会長さんはそう言い残すとそのまま帰っていった。


・・・・・そして今日も仕事が上がる時間となり、僕がいつものように後片付けをしていると

「今日はよかったな!タケオ!」

と真さん。


「いやーほんとつらい思いしてよかったッス。そのかいがありました。」


「そうか。そうか。よかったな~。

そうだ。ところでタケオ。

会長さんがどんな人かわかったかい?」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


『だああ、そうだった!

肝心な会長さんがどんな人か。また息子どんな奴なのか聞くの忘れてたよ~

あれ?でも待てよ・・・・』



「でも真さん、会長さんが何やっている人かよく知っているんですよね?」


「うーーん。すし屋を経営しているのは知っているけど、店には行った事ないから詳細はそれだけかな。

まあ他にわかっている事は、たまにうちの店で魚を買ってくれる事くらいかな。あははは」



「・・・・・・・・・・・・・・・」


『どうしよう。情報が少ない。少ないよ。

今日、田端になんて言ってカテキョウ(家庭教師)先を紹介しよう・・・。

まあいいや、田端ならなんとかなるだろう』


そして、その日の学舎での夜のこと。



「おう田端!話があるんだけど・・・。」

僕は、廊下で田端を呼び止めた。


「えっなに?」

田端が振り返る。


「えっと、うちの魚屋でたまに魚を買ってくれるすし屋の経営者の小学生の息子のカテキョウやらねー。」

僕は知りうる情報をすべてこのひと言で表現し、家庭教師を紹介。


すると田端は



「わかった。いいよ!やる。」


2秒と経たないうちに答えが返ってきた。


・・・・・・・


『えっえ~~!?いいんかい?』




さすが東大生・・・・・・なんとかなっちゃいました。






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