忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



第154話:無意識で口をおさえるとき 

僕はバイクを貰い受けるため、木田さんの家へと電車を乗り継ぎ、歩いていった。


ここは世田谷区。


サザエさんでもドラえもんでも舞台となる区だ。


僕が住んでいる新宿区とは対照的な区と言えるんじゃないだろうか。


新宿と言えばその名の通り、高層ビルが立ち並び、ネオンが光り輝く眠らない街。


それに比べ一方の世田谷区は、閑静な住宅が立ち並び、街灯が静かに道を照らす眠る街。



『新宿からもほど近い場所に、こんな静かな閑静な住宅街があるんだあ~。へええ~』


僕が東京に来て早半年が過ぎようとしているが、こんな静かな空間に来たのは初めてかもしれない。


僕は上京以来、初めてきた場所に、なにか新鮮な気持ちを覚えた。


しかし、それとまた同時に

『こんな静かなところに木田さんが住んでいるなんて信じられない・・・』

という気持ちも湧き上がってきた。


僕にとって、木田さんのイメージは、、、

走り屋の木田さん、


ママチャリに上半身裸の上にジャケットを羽織っただけの木田さん、


学舎に問題を持ってきた張本人なのになぜかいつの間に仲介者になっている木田さん



・・・・。


どう逆立ちして考えても、あの木田さんのイメージからは申し訳ないけれど、この閑静な住宅は連想できない。


『まっまあ・・・あれは、、、俺がちょうどあんな恰好しか見ていないからそうなんだし、、木田さんの一部を見ただけ、、、なんだろう。』


僕はこの閑静な住宅街を目の当たりにした事によって、木田さんのイメージに対して混乱した。


そして、【これまで見てきた自分のイメージの木田さんは一側面でしかないんだ!】と、強制的に納得。


「それにしてもこの住所で合ってるのかな~。」


僕は木田さんから聞いた住所を基に、世田谷の地図を広げ歩いていた。


「なんか同じような家ばっかりが並んでるし、さっきから同じ場所を回っているような・・・」



僕は『迷宮のラビリンス』の迷宮に迷い出た主人公のように閑静な住宅街をぐるぐる回り続け、

木田さんと会う予定時間を過ぎてしまった。



『しまった。。。迷った。』


そう、僕はこの世田谷で道に迷ってしまった。



けれども、そんな時だった。





どこからともなく音が聞こえてきた。


??



「ん?あの音は・・・」



僕はふと耳を澄ませる。


???


確かにどこからともなく音が聞こえてくる。

????



「あれは・・・、、、よし!あっちだ!」


僕はそのかすかに聞こえてくる音の方向に走り出したのだった。



「この音、、、、僕の耳の間違いでなければ、、、」



僕は音が聞こえるその方向に走って行った。



すると、かすかだったその音も段々と大きくなり、

はっきり聞こえるようになっていった。


ブ、、、、ブ



ブ、、、ブブ、、



「この音は・・・」



ブオーーン



僕は、すぐに確信した。



ブブブブブ、、、


ブオオオオオオーーン!!!!


ブオオオオオオーーン!!!!



なんとも、、閑静な住宅街には大変似つかわしくない、ばかデカイ音が聞こえてきたではないか。



「あれはたしかに・・・


バイクの音だ。」



その音の方向に近づけば近づくほど、そのバイクの音はどんどん大きくなっていく。


そして、


とうとうそのバイクの音がする家の前へとたどり着いた。


たどり着いた。



たどり着いた。


しかし、、僕は見てしまった。



そう、バイクの音がする家を通り過ぎる道行く人々の眉間にしわ寄せた顔を。


しかも、足早に過ぎ去って行く姿を。



その原因は言わずとしれた



ブオオオオオオーーン!!!!


ブオオオオオオーーン!!!!


という、バイクのアクセルをふかせる音と、そこにある人影。



そのバイクを吹かせてる人影にそっと目をやると、


僕は思わず、無意識に手を口でおさえてしまった。



「はっはだか!?」





なんで僕ばっかりこんな出会いなの・・・もう嫌!!



つづく。

PR


この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿


この記事に対するトラックバック

トラックバックURL