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第40話:掃除とは


「やばいっ!

やばい!

早く帰らないと遅刻する!」



僕は学校が終わると、全速力で帰るのであった。




ハァーハァーハァー




僕の息は完全に上がっている。





ゼイーッゼイーッゼイーッ




いつ上っても寮の非常階段はキツイ。





ガタンッ




僕は防火扉の玄関を開け、目の前にある時計を見た。





19時23分





「間に合った~」



そう今日は定例舎生懇談会、通称:舎懇が19時30分から行なわれるのだ。




舎懇は時間厳守。




冠婚葬祭以外の欠席は許されないし、学業に関わらない遅刻は一分、一秒も許されない。




遅刻しようものならチョンボというものが該当者に課せられる。




このチョンボとは、罰を科す一種の用語で、その内容はというと、、、





掃除当番(学舎では【日直】という)の回数が増えるという事。





そう山手学舎は、自治寮と言うこともあり勿論、寮母さんや掃除のおじさんなどは存在しない。





寮の掃除はすべて寮生が行なうのである。




この寮の掃除には大きく分けて三つある。




それは舎懇の前に行われる大掃除と、毎日行う掃除、長期休みの掃除だ。





その中で毎日行う掃除は、全寮生に対して順番に回ってくる当番制であり、1回につき二日間、それも1人でこなさなければならないものなのだ。




しかもこの掃除の所要時間は最低でも一時間半。




また掃除をサボったり、手抜きをしないよう掃除内容は決められており、掃除が終わったら項目毎に、他の舎生に真面目に掃除をしたかどうかのチェックを受けなければならない。




チェックに合格すれば、日誌に掃除が終了した旨を報告し、チェックをした人のサインをもらってその日の掃除は終了となる。




この山手学舎の掃除は初めての者にとっては厳しいものであるが、熟練度が上がっていくと、どうって事なくなっていく。




いやそればかりか【もっとキレイに掃除したい】という衝動に駆られてしまうのだからあら不思議。





僕も、最初は嫌々ながら掃除をしていたものだが、学舎で年を重ねていくうちにみんなが使う共有スペースをキレイにしたいと思うようになり、4年後には【掃除の鬼】、【チェックの鬼】と呼ばれるようになっていた。




また、掃除が終わったらわざわざ僕のところにやってきて挑戦状を叩き付け、僕のチェックを受けたがる後輩達まで現れるほどであった。




このように毎日の掃除はいったん始めてしまったら最後、何かに取り付かれてしまったかのように掃除してしまう危険なものなのだ。




これを考えるとある意味、山手学舎における毎日の掃除は自然と【人のために働く事の意味】を知り、【奉仕の精神を培うもの】であるのかもしれない。




そしてこの毎日の掃除と全舎生(寮生)の奉仕的働きによって学舎のコミュニティーの場である共有スペースの快適さ・清潔さは保たれているのであった。





しかし、もうひとつの掃除である【長期休みの掃除】となれば、話は変ってくる。





それはなぜか?





長期休みは学生にとって自分を磨く、夢の実現への階段というべき期間。





そう、学生にとって長期休みである春休み・夏休み・冬休みは、バイト・恋愛・旅行・サークルなどのイベントに大忙しなのである。




そんなテンコ盛りの長期休みに掃除が入る。




それは舎生(寮生)にとって自分を磨く事を中断してしまう行為に等しい。



これはあまり好ましくない事だ。




しかも、その長期休みの掃除は優先的にチョンボをした舎生に回ってくる。





例えば僕が舎懇を無断遅刻して、【チョンボ③】が与えられたとしよう。



長期休みの掃除も2日間に分けてやるため、もしチョンボしてしまうと計6日間も掃除をしなければならなくなるのだ。



つまりチョンボ③×2日間=6日間の掃除



けれどもチョンボはあくまでも罰ゲーム。




チョンボをしなくても普通に掃除は各寮生に割り振られる。




なのでチョンボした人は、チョンボ分の掃除+割り振られる掃除もしなくてはならない。




自己を磨く・夢を実現するための階段ともいうべき長期休みに6日間以上の掃除は大打撃だ。




僕はそんな馬鹿げたチョンボで長期休みを棒に振りたくないから、今回必死に舎懇に遅れないよう走って寮に帰ってきたのだった。





「あ~間に合った~」


僕は時計を見てホッとしていた。



そしてそうこうしているうちに




19時30分 



定刻どおり大掃除と定例舎懇が始まったのだった。





『さ~てっと、今日の舎懇は何が話されるんだろうな~。早く終わるといいな~』





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