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第47話:運転そのあとに パート①


これからの道のりは、目的地までほぼ上り下りの峠だ。


僕らの車は、これまで同様、木田さんの車の後をついていく事となった。


まあ木田さんしか目的地までの道を知らないのだから当たり前のことである。



それから休憩所を離れてから約1時間。


今のところ順調そのものだ。


僕のさっきまでの不安はどこへやら。


『俺の心配も空振りだった・・・みたいだな。

そうりゃあそうだ。

いくら木田さんが峠の走り屋だからと言っても、こんな業務用ワンボックスタイプで、

しかも!6人の寮生を連れて、ましてや僕たちを残して突っ走る訳ない。

要らぬ心配をしちゃったな。ホント』




それからも車は順調に、極めて順調に走行していった。



こんなとき、車と言うものは不思議なもので、安全運転で走行していると、車の振動は低周波マッサージの如く心地良くなるものだ。



そしてその振動は、人々を眠気へと誘う。



僕たちの車も同様、この心地良い振動のため、運転手を除いてほぼ全員が睡魔に襲われ全滅。



僕もウトウトとなっていた。



そんなとき、


「後ろの車、うざいな。」


と山田さんがひと言。



ウトウトしながら僕は、ゆっくりと後ろを振り返る。



すると、軽自動車が僕たちの車の後ろにピッタリと張り付いているではないか!



「俺、ピッタリと張り付かれるの嫌いだから、行かせるか!」


山田さんはそう言うと、車の速度を落とし、左に寄せ、軽自動車に道を譲った。


けれども、この行為がよくなかった。


そうこの行為こそが、木田さんの眠れる獅子を目覚めさせてしまう事となってしまったのだ。



前の車に張り付くような車は当然、また同じように他の車にもピッタリと張り付くというのに。




軽自動車は、僕たちの車を追い抜くとやっぱり、木田車にピッタリと張り付くのだった。



しかも今度は、明らかに木田車を煽っている。



そして煽ったと思ったら次の瞬間、

その軽自動車はスピードを上げ、強引に木田車を追い抜いていったのである。



「アレ。あっぶねーなー。」



「ホントですよね~」



僕は今のですっかり眠気が覚めてしまった。



「でも、それにしても、木田さんよく我慢してくれていますね。

本当は峠を走りたいだろうに」



「本当だな。あれだけ煽られて、あんな強引に追い抜きされちゃあ、

プライドが傷つくんだろうが・・・。木田さんはさすが大人だね~」



「そうですね。そこはさすが」


僕たちが木田さんの紳士的な走りに感心していた。


しかしそんなその矢先のこと。。。。



『アレ、木田車と距離が少し離れたような気が。


それに心なしか、スピードが上がっているような。』



「あれ山田さん、スピード少しあげました?」



「おう。ちょっと木田さんの車のスピードが上がってき・・・」


とその時!!



ブオオオオオオオオオオン。



木田車が突然、スピードを上げたのだ。


「やっべーー!」


山田さんは、ギアチェンジと同時にアクセルを踏んだ。




僕らの車も木田車に遅れまいとスピードを上げたのだ。


そして急激なスピードの変化によってもたらされた負荷が急激に後部座席を襲い、爆睡していた寮生たちはビックリして一斉に


「えっどうした~!!」

と、起きた。


『こんなときだけは対応がはえーな。ケンカやオナラには反応しなかったのに・・・』
と僕。




「木田さんが急にスピードを上げたんだよ!!」


山田さんが叫ぶ。


その声には、焦りと苛立ちがこもっていた。




木田車は僕たちの車を構うことなく、どんどんスピードを上げていく。



僕たちの車もそれに乗じてますますスピードが上がっていく。



まさにカーチェイスだ。


しかし、忘れてもらっては困る。


ここは峠。


勿論、高速道路じゃない。


直線じゃない。


対向車ありの
片側1車線



そう対面通行の急カーブだ!


急カーブっ!



『カーチェイスをしてるよ~アハハ』

て、のんきな事を言ってられる状況には全くないのだ。





「あぶない!あぶない!あぶない!あぶない!あぶない!あぶない!あぶない!!!!!!!」



「うほほおおおおお」


「だあだああああああ」


みんなが一斉に騒ぎ出した。





「うるさい!!!」


山田さんが静止を促がしても全く止まない。




これまでの沈黙がウソのようで、

ニワトリが一斉に声をあげて騒いでいるようだ。



『こいつら・・・・・』




僕は運転席に身を乗り出して、メーターを見る。



なんとメーターは80キロを指しているではないか!


『80キロかよ!?』



運転席と助手席はシートベルトをしているからいいが、後部座席の僕たちは、シートベルトをしていない。


右カーブなら僕たちの体は左に揺られ、左カーブなら右に大きく揺られた。



またそんな状況でも僕の横には、知っての通り、他の寮生がいる。


という事は、カーブ毎にスピードの負荷と寮生の体重がのしかかり、しかも旅行用荷物も加わって僕にのしかかってくる。




『くっくるしい!!』





しかも隣りの奴は、風呂に入っていないのか、体がすごくクサい。




そんなクサい体がカーブに入るたびに右に左に密着してくる。




『くっくるしい!!



違う意味で』




色んな意味で生きた心地がしなかった。



もう何台、車を追い越しただろう。


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