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2008/01/16 第51話:月明かりのない森に・・・パート②
月明かりのない山の中ほど、怖いものはない。 これは僕にとっての初めて経験だった。 懐中電灯を持っていてもほとんど役に立たないなんて・・・。
2008/01/17 第52話:真相
どこからともなく人間の声に似たかすかな音を僕は聞いてしまった。 「ダ・・・・レ・・・カ・・」 僕の背筋が凍りつく。   【後ろを振り返ると、真っ暗であるはずな
2008/01/18 第53話:日本にいる留学生を知った僕
「どうして、いつもパクさんはそんなオカマみたいなしゃべり方なんですか?」 僕は日頃から思っていた疑問をせっかくの良い機会なので聞いてみた。 「これ?そう!そうなのよ。わたしもそ
2008/01/19 第54話:拝啓 お台場
シェアブログ403に投稿 ブーッブーッブーッ 机の上にある僕のPHSが振動した。 ピッ 「もしもし?・・・おう久しぶり!元気してる。 ・・・うん、うん、うん。
2008/01/22 第55話:王道を知る
シェアブログ403に投稿 「ちょっと入ってみようぜ」 「マジで!やめとこう」 「なんで?」 「俺ら絶対っ浮くって!?」 「いいじゃん!別に」
2008/01/23 第56話:僕の危機
シェアブログ403に投稿 「おい!そこのお前ら!」 何やら声がする。 僕達は周りを見渡す。 周りは人・ひと・ヒト。人だらけ。 「聞き間違いか・・・」
2008/01/24 第57話:からまれた時の対処法
シェアブログ403に投稿 『よしッ!決めた!』 僕は覚悟を決めた。 「よし!じゃあわかった!やってやるよ。俺について来い!」 僕はかっこ良
2008/01/25 第58話:ガンプラの果てに
シェアブログ403に投稿 今でもあのときの事は忘れもしない。 そう、あれはまだ僕が小学5年生だったときの話だ。 当時、僕はある物が、欲しくて!欲しくて!たまらなかった。
2008/01/26 第59話:もう誰も信じない
シェアブログ403に投稿 「おい!お前。それいい財布じゃねーか」 見ると、僕よりもずっと背の高い高校生風の男が僕のすぐ横に立っていた。 今でも鮮明に覚えているが、あいつの
2008/01/28 第60話:事件は会議室で起きてるんじゃない!
「で、きみ名前は?」 「武武夫です」 「職業は?」 「大学生です」 僕たちは遊園地内で2人組の男達にからまれ、インフォメーションカウンターのお姉さんのところに駆け込んだ

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第51話:月明かりのない森に・・・パート②


月明かりのない山の中ほど、怖いものはない。



これは僕にとっての初めて経験だった。



懐中電灯を持っていてもほとんど役に立たないなんて・・・。




懐中電灯の光は森の葉っぱに分散されてしまい、2メートル先は【お先真っ暗】・・・何も見えやしない。




しかもこんなときに限って怖い話を思い出す。





【後ろを振り返ると、真っ暗であるはずなのに白い着物を着ている女性が立っていた・・・】






『だあああ、忘れろ!忘れろ!



なんでこんなときに・・・・そうだこんなときこそ、歌を歌おう



そうだ。あれだあれだ』




「線路はつづく~よ~


いつまでも~


野をこえ 山こえ 谷こえて~


ララララ

ラララ・・・・・


ララ・・・・?

ラ・・・??」



こんな時に歌う歌に限って全く歌詞を覚えていない。



『しかも歌詞を間違えているじゃん』

と、なぜか1人ツッコミをする始末。




そしてふと、また怖い話を思い出してしまうのだ。




【後ろを振り返ると、真っ暗であるはずなのに白い着物を着ている女性が立っていた・・・】





ヒューーーーーーーーーーーーーガサガサガサ




緩やかな風に森の木々がほんの少しずつ揺れる。





「うおおっっっ」



僕の肩がビクッと反応した。




昼間なら風と森の木々の音を聴いたら、100%脳からα波が出て精神状態は安定しリラックスするはず・・




なのに、



今の僕にとっては、この風も、あの森の木々の音でさえも





120%ストレスだ。





しばらくすると、僕は木田さんの言っていた2つの道に差し掛かった。





『あっこれが木田さんの言ってた道だな。

ということは、こっちの右のカーブでいいわけね』





僕は慎重に道を確かめつつ、カーブの道を歩き出した。



しかし、そんなとき僕は聞いてしまったんだ。




どこからともなく人間の声に似たかすかな音を。





「ダ・・・・レ・・・カ・・」





僕の背筋が凍る。




『もういやーーーー!』



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第52話:真相


どこからともなく人間の声に似たかすかな音を僕は聞いてしまった。

「ダ・・・・レ・・・カ・・」

僕の背筋が凍りつく。

 

【後ろを振り返ると、真っ暗であるはずなのに白い着物を着ている女性が立っていた・・・】

 

 

こんな時に限って僕はまたあの忌まわしい怖い話を思い出してしまった。

 

そして完璧に、この状況と怖い話とを同化させてしまったのだ。

 

僕はそのせいで後ろ振り返ることができない。

 

『怖い!こわすぎる』
   

しかし、音は聞こえたのは確かだ。

 
 
「どうしよう。振り返って確かめようかな???」

 

僕は首を少し後ろに振りつつも

  
「でも、やっぱりこのまま進もう」
 

と、後ろを振り返ることなく歩き出した。

 
 

ジャリ、ジャリ、ジャリっ

 
 

直線だった獣道から途中のカーブの道に入るとなぜか砂利道になっており、僕の足音が

周り中に響いていた。

 

そんなときだ。

 

「ダ・・・・レ・・・カ・・」

 

またあの音がしたのは。

 
 

『おいおい! やべえ、どうしよう・・・』

 
 

僕は精一杯の勇気をふり絞り、

 

「誰だそこにいるのは!!」

 

と、すばやく懐中電灯を後ろに照らしそして振り返る。

 

しかしそこには、

 
 

 

誰もいない。

 

 
 

ヒューーーーーガサガサガサ

 

緩やかな風に森の木々がほんの少しずつ揺れていた。

   

「ふうーなーんだ。やっぱり木(気)のせいか?  おどかすなよ」

 

僕はホッと胸をなで下ろし、再び歩き出した。

 

しかし、またしばらくすると

 

 

「ダ・・・・レ・・・カ・・」

 

と声がする。

 

 

『これは完璧に人の声だ。気(木)のせいじゃない!!』

 

 
しかも今度は、

 

ジャリ、ジャリ、ジャリ。
 

足音までも聞こえてくるではないか。

 

 
「誰??誰ですか?」

 

問いかけても返事はかえってこない。

 
 

けれども、ジャリ、ジャリ、ジャリ、という足音がどんどん前方から僕の方に迫ってくる。

 

『え~誰だ。ここには俺しかあり得ないし。後ろの人なら、俺の後ろから音がするはずだし。どうしよう・・・』

 

僕は焦った。


そんな時、
 
『・・・迷ったら携帯かけてくればいいから』
 
僕はあの言葉を思い出した。



『そうだ!電話してみよう。』

 
僕は、慌てて右ポケットにある携帯を取り出し、無我夢中でボタンを押しまくった。

   

そう今の僕にとって電話をかける相手なんてどうでもよかったのだ。

 

誰かの声を聞きたい!!!

 

それだけだった。

   

しかし、現実は厳しく電話が通じない。

 

「アレッ通じない。  通じない。  通じないよ。 なんで?  なんで?」

 

僕はかなり焦った。

 

「おい、どうして!どうしてだよ!?」

 

僕はもう一度、携帯の画面を見る。

 

 

【圏外】

 

 

そこには【ここは圏外です】の文字が、、、

 
 

「えっ圏外?なんで?なんで他の人の通じて俺のだけが圏外なわけ?

これまじ、やべーよ!?」

 

僕は相当焦っていた。

 

 しかし僕は気付いていなかったんだ。

 

 

PHSと携帯電話の違いに。

 
 
そうこの当時、まだPHSの普及は群馬の山間部をカバーしていなかったのだ。

 

それに僕自身もまたPHSと携帯電話の違いに気付いていなかった。

 

 
他の寮生が持っていたのは携帯電話。

僕のはPHS。

 

つまり、違いのわからない人間だったんだ。

 
そう電波の違いに・・・。

 

  
それはそうと足音はどんどん僕の方に近づいてくる。

 
 
しかし、懐中電灯を照らしても2メートル先は全く見えない。

 

僕は必死に
 

「誰ですか?  だれ?   誰なんだよ」

 
と大声をだす。

 
 
すると、

 

「うるさいわねー」

 

と返事が返ってきた。

 

 

この声とこのしゃべり方・・・・

 

 

「もしかしてパクさんですか?」

 
 
僕はもう一度、懐中電灯を前方に照らしてみる。

 

すると眩しそうに顔に手をあてながら、こちらに歩いてくる人影が見えた。

   

「そうよ! ここは一体どこよ! それにさっきからあんたうるさいわよ!」

 
 
やっぱりパクさんだ。

 

「なーんだ。パクさんだったんですか。ビックリさせないでくださいよー」

 
 

「そんなこっちだってビックリしたわよー。 あんた! だってあんな大声だされちゃうんですもの?」

   

「まあ、でもよかった~」

と僕は一安心。

 
『幽霊じゃなかったんだ』

 
 

僕は気を取り直して

 

「ところでパクさん。なんでこんなところにいるんですか?」

 
 
「なんだってそりゃ~あんた!田代とはぐれちゃったからに決まってるジャーン!」

 
・・・・
 
・・・・・・

なんて態度のデカイことだろう。

 
遭難しかかった身なのに・・・。

 
 
でもまあ、態度はデカイが、質問にはちゃんと素直に答えるところがパクさんの憎めない点でもある。

 

「田代はスタスタ歩くのよ。 わたしは怖くってゆっくり歩いていたの。 

そうしたら音がして・・・ビクッと足がすくんじゃって。

そしたらあいつそのままスタスタ歩いていきやがったのよ!  私をおいて・・・。

あいつ最低ーーーー!!

それでわたし、懐中電灯もってないし、しょうがないから次の来る奴を待っていたというわけ。」

 

僕はこのとき、

『田代さんも隣りがパクさんじゃなくて、女性なら対応も変わっていただろうに・・。田代さんも貧乏くじで可哀相~』

と正直、パクさんではなく、田代さんに同情したのだった。

 

「まあパクさんなら大丈夫と田代さんも思ったんじゃないですか?」

と、僕はやんわり田代さんをフォロー。
 

「何よその言い方!」

パクさんが突っかかる。




「だってパクさんっ!3年近くも軍隊にいたじゃないですか~!?」

 
そうパクさんは今はこんな大層なオカマ風ではあるが、元は軍人である。

 
 
「それに軍隊の中でも陸軍だったんですよね?それならこんな山どうってないでしょ。」



 
「あっそうか?そうだった!そうだったわよね。ヤダーアハハハ」

パクさんは僕のひと言に何かを思い出したのか急に笑い出した。


 
「まあとりあえずここにいてもしょうがないので、一緒に歩きましょうか。」

僕はこうしてなぜか、パクさんと2人仲良く?山小屋に向かうこととなった。

 
ジャリ、ジャリ、ジャリ。

砂利道がずっと先まで続いている。

途中、パクさんと予期せぬ合流をしてしまったので、この砂利の音もさっきより大きく周りに響いていた。

 

僕はそんなとき思い出したかのように、ふとパクさんに次の質問をしたのだった。

「あっそうそうパクさん。今思い出したんですけど・・・」

 
「何よ」


「いつも日頃から思っている疑問だったんですが・・・」

 
「何?」

 
「どうして、いつもパクさんは・・・」

 
「何?なに?」

 

「そんな・・・


オカマみたいなしゃべり方なんですか?」


「それは・・・・」

今まさにパクさんの真相が明かされようとしていた。



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第53話:日本にいる留学生を知った僕


「どうして、いつもパクさんはそんなオカマみたいなしゃべり方なんですか?」

僕は日頃から思っていた疑問をせっかくの良い機会なので聞いてみた。


「これ?そう!そうなのよ。わたしもそう思っていたのよ。」


「えっ?」

想定外の答えに僕は意表をつかれた。



「実はわたし・・・じゃなくて俺もやめたいんだけど、なかなか抜けなくて・・・」



「えっ!?そうなんですか?好きでやってるんじゃないんですか?」


「違うわよ~」

パクさんはキッパリと否定。


「だったらなんで?」

これが僕の率直な疑問である。



パクさんは寂しげに語りだした。

「実はこのしゃべり方。

まだ日本語学校に行ってたときのことよ。

そう、私がこちらに来て間もなく、日本語もまだまだあまりしゃべれなかった・・。

そんなとき私の隣に住んでいた日本人がとても良くしてくれた。

その人のおかげ私はどんどん日本語を吸収し話せるようになっていったのよ。

そして気付いてみたら日本語日常会話が問題なくできていたというわけ。」


「え?もしかしてその横に住んでいた日本人の人って・・・」



「そう、そっち系の人」



「えっ?つまりオカマの人って事ですか??」


「そう」


「じゃあ、日本語をそのオカマの人から習っちゃったって事ですか?」


「そうなのよ~」

・・・・・・・・・・・・・・・・


なんて言ったら良いか・・・僕は言葉が見つからなかった。


でもこれだけ知った。



『絶対語学を勉強するときは気をつけよう。そして隣に住んでいる人の言葉遣いにも気をつけよう』

と。



でもよ~く考えてみるとこうして留学生と普通にしゃべりそして深い話をしているこの状況が不思議に思えてくる。



なぜなら留学生と大学生の接点はそんなに多くはないのだ。


帰国子女と留学生が多い特殊な学部なら別の話だが、それ以外の普通の学部では留学生がいたとしてもここまで深い会話する事はあまりない。


会っても挨拶程度がいい所だろう。


そして僕が大学にいくと、いつもある風景を目の当たりにしていた。


それは、

日本人は日本人グループ、留学生は留学生のグループと分かれている姿を。


【日本人】と【留学生】

これが大学での自然な形だ。



しかし、山手学舎ではどうだろう。


【日本人】と【留学生】

という見えない区分けがないばかりか同じ日本人のように接しているではないか。


山手学舎に住む留学生はときに、自分が留学生である事を忘れてしまうことがあるらしい。



「あなた日本語うまいですね」


大学や他の場所でそう言われると、ハッと『自分は留学生だった』と思い出すほどにだ。



山手学舎では「日本語うまいですね」なんて言葉は全く出てこない。

そればかりか

「その日本語違うから」

とか

「そうじゃなくてこうだよ」

とか

「今なんて言ったの?」
「はああ?」

「お前なにやってるんだよ!」

「ふざけんな!」

と注意だけでなく、時にそれが原因でケンカをしてしまう事もあるのだ。


ある意味、毎回毎回の注意は留学生にとって過酷でウザイかもしれない。


しかし、日本語が片言だった留学生ですら、山手学舎で学生活を送ると日本人と変わらないくらい、否それ以上に日本語を修得して社会へと旅立っていくのだ。


事実、僕らが山手学舎を去るとき、別れの言葉のスピーチで一番うまかったのは、僕でも田端でもなかった。

なんと今はまだ片言である白だったのだ。


ちなみに、僕が初めて白に教えたスラング(俗語)は


【くそゲー】


くそゲーとは、面白くない、価値のないゲームの略語。


彼はその後、【くそゲー】という言葉を大層気に入り、連呼するようになった。

「それくそゲーじゃん!」


「くそゲーだ。くそゲー!」

「なんだよ!このくそゲー!」
と。


しばらくの間、【くそゲー】という言葉は白にとっての流行語となった事は想像に難くない。


と、そんなこんなで山手学舎では【日本人】と【留学生】という分け隔ては全くなく、同じ人間として尊重しあいながら一緒に暮らしていたのであった。


だから僕は、大学での【日本人】と【留学生】という見えない区別を目にすると何か違和感を覚える。




「それにしてもまだ着かないんですかね~」

僕たちは歩いて、歩いて、歩きまくっているのだが、まだ山小屋は見えない。


そんな時、

「なんか軍隊の訓練を思い出すわね~」

とパクさんがしみじみ。


「えっどんな訓練を思い出すんですか?」

僕は軍隊という組織を知らないため興味津々。



「真夜中、そうだな~。今日と似てるかも。

あのときは、山という山を徹夜で渡り歩く訓練だったね。

もちろん、北(北朝鮮)との戦争を想定してのだけど。

50キロ以上歩いたかな。

それもただ歩くだけではなく、両手に銃剣を持ち、背中には20キロ以上の荷物を背負ってね」



「へえ~すごい!よく耐えられましたね」



「もうそれこそ仲間で助け合うんだよ。倒れそうになった奴をみんなで励まして進むわけ。

でもめちゃくちゃ相当過酷なことはたしか。

私達の隊ではないけど、別の隊で崖から落ちて死んじゃった人がいるくらいだから・・・」


僕はその時、パクさんのもう一面を見たような気がした。


パクさんが軍隊にいた時の事を語るときの顔は、まさに真剣そのものなのだ。


『この人って相当色々苦労してるんだな~。

徴兵制じゃない僕たちにとってはわからない世界だけど、

戦争という文字を身近に感じてしまう環境にいたんだな。

それにパクさん、軍隊のときの話をするときはオカマ言葉を全く使わないし・・・・

そういう意味で考えると、ホントにパクさんはオカマ言葉をやめたいんだな。

最初が最初なだけに・・・かわいそう』


僕は急にそんな思いにとらわれた。




「あっあれ!光が見えてきました~。パクさん!」


僕は林の向こう側から放たれる光の方向を指差した。


「あれが山小屋ですよ。パクさ・・・」


僕が横にいたパクさんに声をかけようとしたのだが、


それと同時に


「田代~ちゃーーーん!会いたかったわ~」

パクさんは僕の言葉をさえぎり、そして僕を置き去りにして山小屋に走り出したのであった。


「あっパクさん!ちょっと。ちょっと~

・・・・・

・・・・・・・

んったくも~。」


僕はこの光景を見て、


さっき一瞬でもパクさんを評価した自分になんとなく後悔した。


そして

『やっぱりこの人、絶対っ好きで!好きで!【オカマ言葉】使ってるよ』

と再確認したのである。




それから全寮生が山小屋に無事到着した事が確認されると、山小屋において第2次宴会が催されたのであった。



そして次の日。


案の定、先のドライブの捨て台詞通り、帰りの僕らの車にパクさんは乗ってきた。


そのおかげ?もあってか、帰りのドライブでは僕の活躍の場が生まれ、

当時まだ誰もが知っていた「マジカルバナナ」でおおいに盛り上がったのだった。


こうしてウザイ・クサイ・ヤバイの波乱万丈1泊2日学舎旅行はここに無事そして楽しく終了したのである。




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第54話:拝啓 お台場

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ブーッブーッブーッ

机の上にある僕のPHSが振動した。

ピッ

「もしもし?・・・おう久しぶり!元気してる。

・・・うん、うん、うん。

おう、日にちは?今度の土曜日? あーいいよ。

うん・・・うん。おうわかった!それじゃあなあ」

ピッ



数日後。


「おうココがあの有名なところか~」

僕は、港区にあるお台場に来ていた。


そうここは、今年の1月、日本を揺るがす事件があったばかりの場所。


それは、少年による小学生人質事件。


当時16歳の少年が、ビルの一角で小学生を包丁で脅し人質にとったあの事件だ。


丁度、少年法について色々議論がなされていたときに起ったあの事件。


僕もまた未成年であったため色々考えさせられていた時期に起ってしまった事件でもある。


そして、この事件はテレビ中継を通して全国に生放送されたため、当時お台場は【観光名所】というよりも【人質事件があった場所】という印象の方が大きかった。


僕はそんな事件がまだ記憶に新しい時にこのお台場に来てしまったのだ。


それはなぜか。

それは高校時代の友人で進学のために上京してきた数少ない友人に会うためだ。

実は、鹿児島から進学のため上京する人はそんなに多くはない。

どちらかというと、九州や関西の大学に進学する人が多い。


事実、僕の高校からもほんの数人しか上京していない。


僕はこんなジンクスを聞いたことがある。


それはこういうものだった。


「鹿児島から上京した者は数年で鹿児島にまた帰ってくる」
と。


なぜこのような事が言われるのか。


鹿児島の教育の方針はどちらかというとひたすら教え込むという教育だというのだ。


ひたすら教え込む。


つまり、子どもは指示された事をひたすら遵守するのだ。


僕の高校も考えてみたら校則にうるさい学校であった。


「スカートの丈はひざから●●センチまで。」

とか

「茶髪は禁止」

とか

「弁当は必ず教室で食べなければならない」
など。


そう言えば、弁当を教室のベランダで食べていた奴らが生活指導に見つかって弁当を蹴飛ばされ弁当の中身が散乱した事もあったっけ。

これはさすがにひどいと思ったけど・・・。


もうすこし過去を振り返るならば、

小学5年生の時、【チェストイケー】と書かれたハチマキをしながら、

妙円寺という市内から20キロ離れているお寺を目指して午前6時に学校を出発し、

【チェストイケー】のノボリを先頭に、休憩なしで約20㎞の道のりを4時間半かけて歩いたりもした。


この行事の目的は、




「あの関が原の戦いの苦労を忘れるな!」



という精神を子どもの体に叩き込むこと。




関が原の戦いって・・・もしかして400年以上前の?


と思うかもしれない。





まさにその通りだ。


あの島津義弘軍が果敢にも敵陣を突破して、苦労して帰国したあの関が原の戦いだ。


「あの戦いを忘れるな!」

という事を後世に伝えようというのである。



この話を他県の子に話すと引かれてしまう事が多々ある。


『鹿児島は・・・ヤバイな』
と。


僕にとっては誇りなのに・・・。


他県から見ると鹿児島は管理教育的に見えてしまうようだ。


しかし!

鹿児島の名誉のためにこれだけは言っておこう。

鹿児島が他県からどんなに管理教育的に見られたとしても、

人間関係には熱いものを持っており、すべてにまっすぐな心を持てる環境だと僕は胸を張って言えることを!




ともあれ、話を元に戻そう。



鹿児島のこのひたすら教え込むという教育は受験にはめちゃくちゃ強い。


なにせ言われことを子ども達は必死に遵守するのだから。


しかし、この【教え込まれる事】は時として、仇となる。


どうしてか?



それは自分で考える事に不慣れだからだ。


つまり、教え込まれる事のみに特化しており、自分で考えるという事には慣れていない。


そんな子が、すべてにドライすぎる東京に出てきたらどうなるか?


答えは一つ。



路頭に迷ってしまう。




誰も何も教えてくれない、また興味すら持ってくれないドライな人間関係の東京。



心にゆとりが持てないストレス社会の東京。



なんとなく【マッチ売りの少女】のような感覚だ。




「誰かこのマッチを買って下さい。


このマッチをどうか・・・


どうかこのマッチを・・・・


はああ、寒い・・」

しかし、人々はマッチを売る少女には目もくれずに通り過ぎていく。


そんな感覚にピッタリの東京。




こんなすべてにドライな東京は、鹿児島人にとっては非常に住みにくい。



事実、僕の友達のほとんどは鹿児島に戻っていってしまった。


今回、お台場で会う友人も数ヵ月後、突然

「1人になりたい」

と、僕に借りていた1000円を返しにきた後、連絡がプッツリ途絶えてしまう事に。




こうして僕の周りから数少ない友達はどんどん減って行き僕の心の闇は大きくなっていく事となるのである。





「ここがお台場か~」


僕はそこで男友達と待ち合わせをし、嫌な事も忘れ、共に食事をし、アミューズメントパークで楽しく遊んだりしたのであった。



そう、僕は少年犯罪増加が増えてきた東京で、そして尚かつ僕たちは人質事件の記憶が新しいお台場に来ている事も忘れて・・・。





楽しそうに遊ぶ僕たちの後ろには、常に2つ影が怪しく後をつけていたにも関わらず。



姉さん事件の予感です。



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【今日のマップ】あの関が原を忘れまいとチェストイケーで歩きました。
よかにせ(二枚目)の人は必ず行きましょう!
ハチマキまいて、関が原の戦いの苦労を思い出して歩きましょう!!
TEL:同志を募りましょう。
出発時間:夜中から朝がベスト
出発は鹿児島市内から
キーワード:お寺 はちまき チェストイケー
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妙円寺遠行


第55話:王道を知る

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「ちょっと入ってみようぜ」


「マジで!やめとこう」


「なんで?」


「俺ら絶対っ浮くって!?」


「いいじゃん!別に」


「男だけでも面白いってところ見せてやろうぜ」


「でもなあ。

そうは言ってもここってカップルとかで入るところじゃね~の?

現に今入っていったのもカップルばっかりだし・・・」


「関係ねーよ!

男だけでも楽しめるんだってところを見せてつけてやろうぜ!


さあ入ろう! レッツゴー!!



いざ、お化け屋敷へ」



そう僕たちは、目の前にあるカップルばかりが入っていくお化け屋敷に入っていったのだった。


お化け屋敷は当然のことながら周りが薄暗い。



いつおばけが出てきても良い雰囲気をかもしだしていた。



けれどもこのお化け屋敷、


ひとつだけ欠点があった。



それは入場する間隔が短いため、前に入場した組に追いついてしまうと言う事。


案の定、僕たちも先に入ったカップルに追いついてしまった。


しかも前にカップル、後ろにもカップルと、挟まれてしまう始末。


そんな男2人の僕たちが追いついてしまったのか、

カップル達は、僕たちに申し訳なさそうに、また何か遠慮するかのように

それまで寄り添っていたにも関わらず、ちょっとだけ離れて歩くようになってしまった。


しかしそれらのカップルの行動が返って僕らのカップルへの興味をそそるのだった。


『なんかわりいなー』

と思いつつこのカップルに注目しながら先を進むと


「ぐわあああああああ!」

とタイミングよくお化けが出現。


すると

「きゃあああああ」

と、僕たちの前のカップルも、声を出しながら抱きしめ合う。


ちょっと離れて歩いていた分、余計抱きしめ合っていた。


それを見た僕たちは

『おおこれがお化け屋敷定番のカップルの行動か~。

マンガやドラマでしか見た事なかったけど、本当にやるんだ。さすが東京だな!』

と野次馬化した僕たちはまじまじとそのカップルを観察。



なぜなら当時、鹿児島にはお化け屋敷がなかったので、僕らにとってお化け屋敷とは、テレビやマンガ、ドラマで出てくる存在でしかなかったからだ。


だからお化け屋敷でのカップルの寄り添う行動もテレビやマンガ、ドラマに出てくるイメージでしかない。


けれども今回は、どうだろう。


僕たちはお化け屋敷を初体験できるばかりか、なんと!僕たちがイメージしていた通りをそのまま、僕たちの前でカップルがやってみせてくれている。



つまり僕たちはこんなテレビやマンガ、ドラマしか知らなかった光景を現実に目にしているのだ。


これを僕らは興奮せずに見る事ができようか?


否、僕たちは所謂、カップルの王道を目にしたのだから、


そんな王道の光景を目の前にして野次馬化しないはずがない。



「おうすげーすげーこれが東京のカップルだよ。おいっ」


僕らはなんとなくその光景に感動し、そして東京に今住んでいることを改めてこの時、実感したのだった。


それからも僕らは突然でてくるお化けよりも、前でキャーキャー言っているカップルの方に釘付け。


だから僕はカップルの行動は鮮明に覚えていてもお化け屋敷の内容は全く覚えていない。

かろうじて最後に後ろからおばけに驚かされた記憶くらい・・・。



今思うとカップルにとっては甚だ迷惑な行動だっただろうなあと反省しつつも、

田舎から来たんだからしょうがない。

しょうがないんですよ!

と僕は言いたい。



僕らはこういうわけで思いがけないものを見せてもらった事を喜び、お化け屋敷を後にした。


「あれやばかったな~」


「おう!東京ってのを見せられた感じだよ」


「俺も! 俺たちがすぐに後ろにいるのを知っているのにあれだけ女性が積極的になるとは・・・。」


「でもなんとなく俺たちはいちゃいけない雰囲気だったよーな気がしたよ」


「ああそうだなー。そう言われればそうだったかも。」


「そういう意味からしたら俺らやっぱり・・・・・浮いてたわ!あははは」



「そう浮いてた!浮いてた。

でもそれ考えるなら男2人で遊園地くる自体、俺ら浮いてんじゃない?」


「そうだな!そうだよなあははははああああぁぁぁぁ・・・・。

はああ~」


僕たちはそこで初めて

【根本的なところで間違えていたのかな】

とやんわり気付き、男2人で遊園地に来る意味を知ったのである。


またちょっとずつではあるがなんとなく空しくなってきた。


そこで、そこからはじき出された僕たちの結論は、

「それじゃあ俺ら、ここでようか?」


「そうだな」

だった。


そして僕たちはなんとなく孤独感を覚えつつも、それ以上の感動をお持ち帰りしながら、出口へと向かったのである。


しかし、そんなときだ。


「おい!そこのお前ら!」

と声をかけられたのは。



姉さん事件です。




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【今日のマップ】お化け屋敷初体験
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TEL:タウンページでどうぞ
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アクセス:ゆりかめでひとっ飛び!
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東京都 港区


第56話:僕の危機

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「おい!そこのお前ら!」

何やら声がする。

僕達は周りを見渡す。


周りは人・ひと・ヒト。人だらけ。


「聞き間違いか・・・」


僕たちは再び歩き出した。


『・・・人も多いし、何かの聞き違いだろう』




そして僕たちが出口の方向に向かっていくと


「おい!待てよ!」

とまた声がした。


僕たちがその方向に目をやると、

その先に僕たちの方に向かってくる怪しい2つの人影が・・・。


しかし、この屋内遊園地に僕たちの知り合いがいるはずもない。

『まさかな~』

と思いつつも、僕は少し胸騒ぎを覚えたので歩くのを早め出口へと急ぐ。


すると

「おい!そこのお前らって言ってんだろうが~」

と、その2人の男達が走ってきて突然、僕たちの前に立ちふさがった。


2人とも僕より背が高く、1人は黒ぶちメガネをかけており、年齢は僕と同じ歳かもしくはひとつ下くらいに見える。



「あの~何かようですか?」

と僕。


すると

「はああ??」

と左の男が馬鹿にしたように答える。


その左の男は、いかにも『俺はヤンキーだぞ』という自己主張が激しい赤のジャンパーを着ていた。


僕はこいつらとは関わらないほうがいいと直感したため、

「そこどいてもらいますか?」
とひと言。


しかし、

「何だとコラー!」

視線を下から上へと移す典型的なヤンキー視線と威圧的な口ぶりの左の奴。



『完璧なヤンだよ。こいつ。でもめんどくせーなー』


「あの~俺らになんかようですか?」

と僕は質問。


すると

「ようですかじゃないだろ?ようですかじゃあ!」


逆ギレだ。


これが世間で言う逆ギレだ。



僕の質問には全く答えず、ただただ犬のように吠えまくる。


まさにこれが逆ギレだ。



『ああこいつらには何言っても話になりそうにないな』

とすぐ判断した僕は


「おい!行こうぜ」

と、友人に声をかけ、彼らの横を通って出口へと歩きだしたのだった。


すると、

「おいおいおいおいっ!ふざけんじゃねーぞ」

と再び逆ギレしつつ僕たちの前に立ちはだかる。



「だから何ですか?」

僕のトーンもあがってきた。


「んだと~何がなんですかだ!」



『また逆ギレかよ』


そう、逆ギレばかりで全く前に話がすすまない。まさに逆切れのオンパレード。



「そう!だから何ですかと聞いているんですよ。」
とキレ気味の僕。



「お前らが俺らにガン飛ばしてきたんだろうが~」

と、赤いジャンパーの奴が初めて答えた。


しかし

まったくの意味不明な答え。



「はあああ?

なんで俺らが知らんあんた達にガン飛ばさなきゃいけないわけ?」

と僕は呆れた口調で返す。


この言葉に

「何?その反抗的な言葉。やるの?やるの?やりたいんなら外で出ろや」

赤いジャンパーの奴がなぜか挑発。


「なんでそうなるわけ?じゃあどこでガン飛ばしたか言ってみろよ」

僕も周りに構わず声のトーンが高くなった。


しかし、さすが東京。

周りの人はちらりとこちらを見つつも完璧無視。

誰もが素通りだった。


「そんなのはどうでもいいんだよ。やるのか?

やるなら俺らはいつでもやってやるよ。なああ?なああ?」


変に興奮気味の赤いジャンパーの奴。



そしてもう1人のメガネをかけた奴はというと・・・、


奴の横にあったアンケートを書くためのテーブルに何か書いている。


『何を書いているんだろう』

と僕がテーブルに目線を移すと、、、


Dead  Dead  Dead  Dead  Dead・・・・・


【Dead】という英単語を書き続けていた。


なぜ?


たぶん今思うと僕たちに対しての威嚇のつもりだったんだろうと思う。


しかし僕は思った。


『Deadじゃなくて


Deathかmurderだろう』

と。


【Dead】という英単語は、死んでいる・死んだという意味の形容詞。


ここで威嚇したいのではあれば、【死】を意味する【Death】の名詞か、【殺す】を意味する動詞の【murder】と書くのがホントは正解。


だから、メガネの奴がテーブルの上に書いている、【Dead】という単語は【死んだ】という意味となる。


となると、彼が今テーブルに書いている

Dead  Dead  Dead  Dead  Dead という単語を直訳すると・・・

死んだ 死んだ 死んだ 死んだ 死んだ

となる。



なんだか、とっても


かっこ悪い。


えっ?誰が死んだの?と聞きたくなる。



『あ~あ。こいつ間違ってるよ』

と僕は思いつつも、この状況化ではそんなツッコミはできはしない。


そんな事をしたら、またこいつらは逆ギレをおこすだけ。

それは火に油を注ぐようなものだ。


そして友人はというと、

完璧にビビッて声もだせない状況。


それに僕自身も、東京に来てから水と空気が悪いのかすこぶる体がだるく、体調も良くないのでケンカだけは避けたい。


『あーあ、どうしよう。ケンカはしたくないし、だからと言ってこいつら見逃してはくれないだろうし・・・・。

はあああせっかく今日はいい日だったのにな~』

僕は心底、自分の運の悪さを悔やんだ。



しかしそんな回想をしているときですら奴らは


「おいこら無視すんじゃねーよ」

とか

「ふざけんじゃねーよ」

とか

「殺されたい?」

などと吠えまくっている。


・・・・・

・・・・・・・・・・・


『よしッ!決めた!』


僕は覚悟を決めた。


「よし!じゃあわかった!やってやるよ。俺について来い!」



姉さん、crisis 危機です





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第57話:からまれた時の対処法

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『よしッ!決めた!』


僕は覚悟を決めた。


「よし!じゃあわかった!やってやるよ。俺について来い!」


僕はかっこ良く絡んできたやつらにこう言い放ってやったんだ。


すると、

「おう!上等じゃねーか。やってやるよ。やってやる。いこうぜ」

とやる気満々。


僕と友人は前を歩き、やつら2人は僕たちの後ろにつき歩く。


「おいおい、何言っちゃってるんだよ!」

と、友人が小声で僕に言ってきた。


「大丈夫だって!俺に名案があるから!任せて」


「本当に大丈夫かよ~」

友人はとても心配そうな顔をしている。


「俺に任せろって!」

となぜか自信満々の僕。



そして僕のすぐ後ろには、金魚のフンのようにピッタリとくっ付きながら歩くヤンキーの2人。


やつらは、【ケンカ上等】ってな感じで手の指の関節を鳴らしまくっており、

「こいつらのどっちから血祭りにあげちゃおうか」

「こっちの小さいのからやっちゃおうぜ」

「おうおうそうしよう。そうしようぜ!」

と、なんともわざとらしい会話をする始末。


これを聞いた友人は、

「後ろの奴らあんな事、言ってるよう。タケオ~本当に大丈夫なのかよ」

とすっかりビビりまくり。



僕はそんな友人に歩きながら彼の耳元でささやいた。


「大丈夫!大丈夫!俺に名案がある。

俺が後ろの2人のタイミングを見計らって合図するから、

そのときは俺と一緒にダッシュしてくれる?」

「えっどうするわけ?」


「いいから。いいから。」


僕は信じていた。

『優越感を持っているこいつらには必ずスキができる』
と。


そして僕は、ピッタリと後ろをくっ付いて歩くやつらの動きに注視したのだった。


やつらは相変わらず首を横にふり、首を鳴らしたり、ケンカの前の準備運動の如く体を揺らしている。


『お前は、着信音をバイブにした携帯か!』
という感じ


そしてその時はやってきた。


屋内遊園地にあるジェットコースターに乗っていた乗客が大声を上げる。

「きゃあああああ」

すると後ろの2人がそっちの方向に一瞬目をやった。

『今だ!』

僕は友人に目で合図。


そして次の瞬間、


「ダッシュッ!!!!」


猛烈な勢いで僕達は走り出した。


「あっ!?おっおい、待てこら~!」

彼らは僕たちの突然の行動に、一瞬戸惑い、後れを取った。


ダッシュ!


ダッシュ!!


ダッシュ!!!


僕たちは走った。


力いっぱいに走った。


必死に走った。


精一杯走った。



そう、12メートル先にあるインフォメーションカウンターまで


そしてそこに立っていた綺麗なお姉さんに


「かつあげです。あの2人がかつあげしてます。警察を呼んで下さい」

と、僕は大声で叫び、僕たちを追ってきたやつらを指差した。


「えええええーーー」

大声で指を指されてしまったヤンキー共はこれを見てビックリ!


そりゃあそうだろう。


周りのお客さんが

「なんだなんだ?」

と彼らに注目し、

遊園地のスタッフも何事かと集まってきたのだから。


まさに優越感たっぷりだったさっきの場面から一転。


僕の思いもしない行動によって四面楚歌となってしまったヤンキー。


この状況に2人のヤンキーはというと・・・・


・・・・


・・・・・・・・


・・・・・・・・


逃げた。



彼らは「ヤッベー」と判断したのだろう。


一目散に屋内遊園地の入場口から柵を乗り越えて走って逃げていってしまった。


それから僕たちから状況説明を聞いた背の高い男性スタッフが彼らを追う。


こうして、僕らはやつらに全く事実無根の因縁をつけられ、また、絡まれはしたけれども怪我することなく危機を脱することができたのだった。


これを読んで僕のとった行動に

『かっこ悪いと』

思った人がいるかもしれない。



そう、この行動は確かにかっこ悪い。


しかし、現実としてこの状況下、マンガやアニメのように殴り合って勝つという選択肢ははっきり言ってありはしない。


なぜなら、自分1人だけならまだしも、友人がいる・家族がいる・親しい人が隣りにいる場合、自分1人だけで大切な人を守りきるという事はあり得ないからだ。


最悪、ナイフで刺されて死に至る可能性だって否定できない。


今回のケースの場合、ケンカで勝ってやろうという自分勝手な考えほど、一番大切で身近な人を傷つけてしまう馬鹿げた選択。



僕はこの事件を機に格闘技を始め、それから10年近くの間、格闘技を極める為、いくつかの格闘技に従事することになっていくのであるが

今の自分があの時の状況におかれたとしても、僕はあのときと同じ行動を取るだろう。



格闘技の技を使うのは本当に本当の最後の手段。



まず
自分だけでは負えない事柄・事件と感じたら、頭を使ってなんとしてもみんなが無事に助かるであろう最善の選択肢を模索するべきなんだ。



まず一番大切な事は【逃げる事】。


これが大前提。


格闘技の経験のない素人・女性なら、なおさらである。


そして次に、近くにいる人達の中から1人をターゲットにし、その人に、そして周りが注目するよう大声で助けを求め、警察への通報の指示をする。


これが第二。


もし周りに人がいなかった場合はというと・・・



あなたは何と叫べば、人が集まってくるのかご存知だろうか。




それは、「助けて!」という言葉ではない。



「助けて!」という言葉ほど空しいものはない。



人は、『助けて~』という言葉を聞けば聞くほど、自分の身に危険が迫ると感じ、関わりを持たないように無関心を装う。


様々な事件を見てもそうだ。


「深夜に『助けて~』っていう声がしたんですよ~」

と、近所のおばさん達が顔にモザイクをかけられ、証言しているニュースなどをよく目にする。


しかしこれら証言者の共通項は

「助けて~」という言葉を聞いているにも関わらず、

外に出て確かめてみたり、警察を呼ぶ事を一切しないという点だ。


まさしくこれが今の日本の現実。


それでは、なんと言えば人は集まってくるのだろう。


それは簡単。


『火事だ~』

と、ひと言叫ぶ。


そうただこれだけの事。


けれども、これは魔法の言葉。


あなたも火事という言葉を聞き、野次馬の如く火事の現場に走って見に行った経験はないだろうか。

ある人は、寝巻きのまま。

ある人は、カメラやビデオ片手に。

ある人は、子どもを連れて。

それが深夜であろうとも。


これが、今の日本の現実。


だから、もしあなたに身の危険が迫り、逃げる事が不可能で、かつ周りに人がいない、携帯電話も使えない状況になってしまったのなら、


「火事だ~!」


「火事だぞ~!!」


と、この魔法の言葉を大声で叫んでみるといい。



「助けて!」という言葉よりは効果はあるはずだから。




でもなぜ、

「助けて!」という言葉が、【全く空しい言葉だ】という事を僕は知っているのか?


それは


僕自身がすでに経験しているから・・・


そうあれは小学5年生のときだった。



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第58話:ガンプラの果てに

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今でもあのときの事は忘れもしない。

そう、あれはまだ僕が小学5年生だったときの話だ。

当時、僕はある物が、欲しくて!欲しくて!たまらなかった。

僕はそれを手に入れるために、親からもらう毎月のお小遣いをコツコツ貯めていた。

お小遣いをこれまで貯めたことのないこの僕なのに。


そしてとうとう今日という日がやってきた。


僕はこの日をどれほど楽しみにしていたことだろう。


そうだ。


僕が欲しくて!欲しくて!たまらなかった望みが今日かなうのだから。



今日の学校の授業は昼間まで。



僕は帰りの会が終わると、一目散に自宅へダッシュ。


そして今日のためにと苦労して貯めた5000円を青いお財布に入れ、それを片手に自宅を出て、自転車のペダルを力いっぱい踏み、ある場所へと向かったのだった。


そこは

年季の入った文具店。


そこの文具店はあの当時ですでに30年以上やっていただろうか。


そうとう年季の入った建物のこの文具店には、年老いたバアちゃんが1人で経営していた。



ガラガラガラガラーーー


僕はその文具店の戸を力いっぱいに開ける。


文具店に足を踏み入れると

ピンポーン

と店の奥で音がした。


それに合わせて

「ハイハイハイ」

と、店の奥からバアちゃんが出てくる。


僕はそれを横目に、あるコーナーの棚に急ぎむかう。

そして目を輝かせてそのコーナーの前に立った。


そこは


プラモデルコーナー


そう今で言うガンプラ(ガンダムプラモデル)のケースが山積みになったコーナーだ。


そう僕が欲しくて欲しくたまらなかったもの


それはガンプラ。


しかも今日は新モデルの入荷日。


僕は幼児の時からプラモデルが大好きでゲーム禁止令が発令されていたこともあり、プラモデルにどんどんのめり込んでいった。


そんなガンプラに目がない僕が待ちにまった日が今日なのだ。


僕はお目当ての品をこの手にするためガンプラが積まれている棚をくまなく探しまくった。


しかし、

『あれ?

・・・・・・ない。

僕の欲しいプラモがない』



「バアちゃんっ!今日入ってくるって言っていたプラモがないよ。」

僕は必死に文具屋のバアちゃんに訴えた。



すると、


「はああ?」


バアちゃんは自分の手を耳に当ててこう言い放つ。


『そうだ!バアちゃんは耳が遠いんだった』


僕は、店の中央の椅子に座ってるバアちゃんの近くで


「だから!今日入ってくるって言っていたプラモがないんだって。」

と声をかける。


「あ~あれかああ~・・・・。

えーーと・・・・。えーと」

バアちゃんはそう言いながら、てくてくと歩きガンプラの積まれた棚を見回した。


「えっとーー

どこだったかな・・・・


た・し・か~、、、、、」

バアちゃんはガンプラが積まれている棚に目を通す。


「あれ~・・・・

おかしいな・・・・

今日たしか・・・・

入荷したはずなんだけど・・・

あれ~・・・・

あれ~・・・・」

バアちゃんはそう言うと、ひとつひとつのガンプラケースに目を通す。


「あらーーー、

ど~こ~か~な~」


バアちゃんの動きはひとつひとつがド級の超スローモーション。

このド級の超スローモーションの動きに小学生の僕でも


イラつく。


それでもバアちゃんはマイペース。


ひとつひとつ丁寧にガンプラケースを確かめる。


「あれ・・おかしいな~

どこ言ったんだろ~

あれ~・・・・・

・・・・・・・・

あっ!そうだあ

さっき、売れちゃったんだった」

と、バアちゃん。


バアちゃん~。先にそれを思い出してよ』

とツッコミつつ、次の瞬間、僕は


「えー!?ということは・・」



「売り切れだねえええ」


ド級の超スローモーションバアちゃんが即答する。



僕はその言葉にガックリ。



僕は自分の体からスースーと力がなくなっていくのを感じた。


これは、アンパンマンが顔を濡らして

「顔が濡れて力がでないよ~」

と言っている状況に似ている。


僕も

「ガンプラが売り切れて力ができないよ~」


そんな状態だ。


バアちゃんはこんな僕を見てひと言。

「ごめんなー」

『バアちゃんのせいじゃないんだけどね』

と、優しい言葉をかけてくれるバアちゃんのせいじゃないと分かっていながらも、なんとなくその言葉に空しさを感じ、うな垂れる僕。


ガラガラガラ

僕は文具屋のドアを静かに閉めた。


僕は、あんなにも楽しみに!楽しみに!していたガンプラをとうとう手にする事はできなかったのだ。


「はああああ。せっかくお金貯めたのに・・。

僕がほしいプラモは、またいつ入ってくるかわからないとバアちゃんも言っていたし・・・。

あーあ、せっかくのこの5千円どうしよう~」


僕はそう独り言をいいながら、そして5千円の入った財布をボーっとながめた後、


ポイッと青い財布を自分の自転車の前カゴに入れた。


そして僕は自転車にまたがり、ペダルを踏み、走り始めた。


とそのとき、


キキキーー


ブレーキ音がこだまする。


そして、僕の横には大きなひとつの影が。。。。



「おい!お前。それいい財布じゃねーか」



お姉ちゃん!ピンチです。





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◆以下の【今日のマップ】(画像)は携帯からは見ることができません。ご了承下さい。◆
【今日のマップ】『ガンプラ』ゲットならずの店
自転車の前カゴに財布を入れるのはやめましょう。
貴重品は身につけましょう。
じゃないと痛い目に合います。そう僕のように・・・。
ちなみに近くにある【中郡小学校】は長渕剛の母校です。
たぶん・・・:
【プラモ】と当時は言っていた気がするけど今はガンプラなんですね。
アクセス:市電に乗りましょう!
キーワード:ガンプラ
Bloca! Powered By INCREMENT P CORP.
営業時間:たぶんもうやっていないんじゃ・・・・


第59話:もう誰も信じない

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「おい!お前。それいい財布じゃねーか」

見ると、僕よりもずっと背の高い高校生風の男が僕のすぐ横に立っていた。


今でも鮮明に覚えているが、あいつの顔の左下に大きなホクロがある。


「お前、いい財布持ってるじゃねーか。いくら入ってるんだ?」

もちろん、この男と僕とは全くの赤の他人。

初対面だ。


「えっえっ。なんでそんな事を言わないといけないの?」

僕は完全にビビリながらもそう言った。

「いいから、いくらあるんだよ!」

あいつは声をあげる。


その声を聞いて、通行人たちがこちらを振り返った。


これを見てあいつは急に

「じゃあ!ちょっとこっちについてきてくれる」

と優しい声に変る。


しかし、僕が

「嫌、嫌ですよ~」

とビビリにながら拒否すると、あいつは優しい声とは裏腹に、僕をにらみ付け、顔を思いっきり強張らせた。


「いいからこっちにこい」

あいつは右手で自分の自転車のハンドル持ち、左手で僕の自転車をつかみひっぱった。


そして、

「殺されたくなかったら、大きな声を出すんじゃねーぞ」

と僕を脅した。


小学生の僕は怖くなり、声もでなかった。


そしてあいつは僕をひと気のない場所へ連れていく。


といっても大人なら逃げようと思えば逃げられる状況だ。



そう、連れて行かれるといってもあいつの自転車の後ろをついていくのだから。


しかし当時、僕は小学生。


ちょっと僕が逃げるそぶりをするとあいつは顔を強張らせ、


「殺すぞ。」

と、周りの通行人には聞こえないくらいの声で僕にささやく。


この言葉を聞いた僕はやはり子ども。


『逃げても、小学生の僕じゃすぐに追いつかれ、絶対殺されちゃう』

という誤ったイメージを頭にインプットしてしまう。


子どもが一度、このような誤った情報をインプットしてしまったら最後、

他人が誤りをしっかりと指摘しない限り、自分ではどうしようもできない。


そしてただ犯人の言われるがままに従うのみとなってしまう。


だから程度は全く違うものの、いつぞやの少女監禁事件の事は僕もなんとなく理解できる。


その事件が発覚したとき、なぜ逃げ出せる状況にあったにも関わらず、自分から逃げないんだと指摘する人がいた。


違う!

そうじゃない!

逃げないんじゃない。

逃げられないんだ。

逃げたいけれども足がすくんで逃げられないんだ。


こう指摘する大人達は子どもの心理状況をもっとよく理解する努力が必要があると僕は思う。


僕もまさにこの心理状況に襲われ、恐ろしくて、恐ろしくて、逃げたくても逃げる事が全くできなかった。


そして、心の中で

『誰か助けて』

と叫ぶことしかできなかった。


僕は涙目になりながら、あいつの後ろをついていく。


その途中、多くの通り過ぎていく通行人の中には、僕と目が合う大人達がいくばくかいた。


僕は怖くて声が出せないので、目で

『助けて!助けて!』

と訴えた。

しかし、目の合う人々は、僕が涙目であっても助けを求めるような顔をしていても、僕の異変に誰も気付いてはくれない。


そればかりか、あいつは人とすれ違うときは、わざとらしく

「この道でいいんだよね」

と親しい関係を装い、通行人からは、兄弟のように親しい関係のように見えるようで、こちらに笑顔を向ける始末。


そのせいで、僕の心の叫びは誰にも届くことなく、いくつかの場所に連れ回されることに。



そして最終的には、人通りも多い歩道に行きつき

あいつはそこで、

「財布の中身をみせろ」

と僕に指示。



「本当にお金入っていないんです。」


僕はとうとう泣いてしまった。



「いいから見せてみろ!」


あいつはこう声を荒げると僕の財布がある前カゴに手を伸ばす。


「やめてよっ!」

僕は必死になって大事なお金が入っている財布を両手に抱え込んだ。


しかし、所詮は小学生。


高校生にかなう筈がない。


「ふざけんなコラ~!」


あいつは力ずくで僕から財布を奪い、自分の自転車に乗って逃げようとした。


「やめてよ!僕の財布返してよ!」


僕は泣きながらあいつの自転車にしがみ付く。



「取るな!取るな!ドロボウ~!」


僕のその泣きじゃくりながらも叫ぶ声は大通りに響いた。


そして自転車にしがみつき、必死に抵抗している僕の姿は、歩行者や大通りを走る自動車の中からも気付くほどのものだった。



僕は泣きながら必死に自転車にしがみつく。


「こらっはなせ!」

あいつは、僕の顔が潰れるほどに左手で押えつけ、自分の自転車から引き離そうとした。


僕はそれでも決して離さない。

「ドロボウ!ドロボウ!」

と叫びながら必死に抵抗する。


あいつは僕の思いがけない抵抗にビックリしたのか、

僕が自転車にしがみついているにも関わらず自転車をこぎだした。


「くそ~僕の財布返せよ~ドロボウ~!え~ん」


僕は無我夢中でその走り出す自転車の後ろにしがみつく。


「うるせーぞコラ!」

あいつは、僕を引きずったまま自転車を力いっぱいにこいだ。


そのせいで僕は、5メートルは引きずられただろうか。


とうとう僕も力尽きて手を離してしまった。


そしてあいつはそのまま行ってしまった。


僕は引きずられた後、泣きながらも「ドロボウ」と叫びながら、自分の自転車にのりあいつの後を追いかけたのだが・・・・


時にすでに遅く、


あいつの姿は見えなくなっていた。



僕は今でもあのときの情景を鮮明に思い出す。


そう、あいつの顔だけじゃなく、大人達の冷たく無慈悲な姿を・・・。


僕が泣きながら必死にあいつに抵抗していたとき、横でただ傍観するだけだった大人達の姿を。

「やめてよ!僕の財布返してよ!」

「ドロボウ!ドロボウ!」

「くそ~僕の財布返せよ~ドロボウ~!え~ん」

と、叫んでも誰も助けてくれやしない。


明らかに子どもが高校生にやられて泣いているのをわかっているはずなのに、周りの大人は誰も助けようとはしない。


「イタッ」

僕は気付くと足の痛みを覚えた。


見ると、両ひざからは、たくさんの血が流れ出て皮膚がただれていた。


さっきのひきずられた痕だ。


僕は足を引きずりながら、自転車を押した。


けれども、周りの大人たちはそんな僕に

「大丈夫?」と声をかけることさえしなかった。


そればかりか、泣きながら自転車を押す僕と目が合うと、周りの大人達は、すぐに目を背けてそのまま歩いて通り過ぎて行く。


『誰も助けてくれないんだぁ』

『誰も僕を助けてくれないんだぁ』

『誰も僕に声をかけてはくれないんだぁ』


僕は、財布を取られたことよりも、周りの大人達の薄情さに子どもながらも大きなショックを受けた。


『人は良い事を言うくせに本当は嘘つきで信用できない奴ばかり。
結局は、助けを求めたって誰も僕を助けてくれないんだ』 と。


人なんか誰も信じない。

人なんか誰も信用しない。


そうこれが僕の心の闇の出発点。



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第60話:事件は会議室で起きてるんじゃない!


「で、きみ名前は?」

「武武夫です」

「職業は?」

「大学生です」


僕たちは遊園地内で2人組の男達にからまれ、インフォメーションカウンターのお姉さんのところに駆け込んだところ、遊園地スタッフに促がされ、近くの交番にきていた。


「ふーん。それで【からまれた】という話だけど、どうしてそういう状況になったの?」
と警察官。


「いやお化け屋敷からでてきて、帰ろうと思ったら向こうから急に2人組が出てきて、ケンカ売られたんです。」


「その2人組みの事は全く知らない?」


「はい。全く知りませんし、会った事もありません」
と僕。


「何か君達からケンカ売ったって事はないの?」

警察官は突っ込んでくる。


『それなら警察来るわけねーだろ!』
と思いつつ僕は、

「全然ないです。」
と、キッパリ。


しかし、警察官は

「じゃあ、なんでケンカ売ってきたの?」
と、さらに突っ込んでくる。


「わかりません。

ただ・・やつらは目が合ったと言ってました。

でも、からまれたとき初めて僕たちはやつらをみたんです。だからあり得ません。」



「じゃあ、君達は知らない間に目が合っていたかもしれないね」


『だから目が合っていないって言ってるじゃん!』


この警察官、


相当しつこいです。

「いいえ、そんな事はないです。」
と切り返す僕。


「いやいや目が合ってなくてもそう見えたかもしれないよ」

とさらに切り返す警察官。


しかもこの警察官、

「特に君の目は、大きくてはっきりしてるから」

と、僕の目を見て、両手の指で丸を作り、眼鏡のポーズを取った。


それを見た僕は、


『あり得ない』



僕は、苦笑いしつつも冷ややかな目で警察官を見た。



「それで、2人組の特徴は?」


「えっと。僕よりちょっと背が高くて、一人は赤いジャンパーをきてもう1人は黒縁のメガネをしていました。それから・・・」

僕は2人組みの特徴を色々話した。


すると、ちょうどそのとき、背の高い男性が交番に入ってきた。


『あっさっき、僕のために2人組みを追っかけてくれた遊園地のスタッフだ』

とわかり、僕は

『犯人を見つけ出してくれたんだ』

と嬉しくなった。


警察官が

「どうでしたか?」



僕の目はキラキラする。



すると背の高い男性スタッフは



「取り逃がしてしまいました」


とひと言。

『取り逃がしちゃったのかよ!』

僕はガックリきてしまった。


「途中までいったんですが、やつら足が速くて、いつの間にか姿が見えなくなってしまって・・・」


僕は
『なんだよ~』と思いつつも、僕の為に走って追ってくれたこの男性スタッフに


「いいえ、本当にありがとうございました。」
とお礼。


「それじゃあ、私仕事がありますので戻ります。」


背の高い男性スタッフは仕事場へと帰っていった。


今考えたら、このスタッフの方が警察官より、僕達みたいな赤の他人によくやってくれたと思う。


というのは・・・

「それで、さっきの続きだけど、2人の特徴はそれくらい?」

と警察官。


「ハイ。これくらいです。」

僕は覚えていることすべて話したつもりだったし、特徴もつかんでいると思った。


しかし、警察官は

「そうだな~。これだけの特徴じゃ、この付近なら同じような奴がいっぱいいるからな~。それにその2人組もこの土地のもんじゃないかもしれないし・・・」

とかなり消極的。


「じゃあ捜査とかしてくれないんですか」
と僕。


「うーん。君も見てもらえばわかるけど、今日だけでこれだけの人数でしょ?

一応、巡回はできるけど、難しいかもね~。

それに君達も【からまれた】だけで、ケンカもまだしてないでしょ?

ということはまだ事件にもなっていないから動きようがないよね」


明らかにやる気なさそうな交番の警察官たち。


僕はこれらの消極的な警察官を見て

『あの時と同じだ』

と思った。


<小学5年生のあの僕>

えーん、えーん

僕は引きずられた後、泣きながらそして両ひざから血を流しながら、自宅へと帰った。


両親はそれを見てビックリ、すぐ近くの交番へと通報した。


しかし、そこでのやり取りも今のお台場の交番の対応と全く同じ。

「そう、顔にホクロがねー。あとは高校生風の男?

そうか~。でもそれだけじゃね。高校生なんて今の時間でもいっぱいいるからね。」

と、最初から消極的。


僕たちが事件を通報したとき、そのときたまたま少年課の刑事達が交番を訪れていた。

その刑事達は、僕に何枚かの男が写っている写真を見せる。

「この中に犯人はいる?」

僕はすべての写真に目を通したが、この写真の中に僕を脅したあいつはいなかった。

「ううん。いないよ」


「そうか。わかった。ありがとう。それじゃあ」

刑事達はそう言うとそのまま車に乗り、帰って行ってしまった。


この様子を横から見ていた交番の警察官はひと言。

「たぶん。脅した犯人は初犯だから、捕まえるのは難しいかもね」


この交番の警察官も終始、消極的発言ばかりをくり返し、僕のために現場検証することもなくそしてその後も捜査をする事は全くなかった。

だから当然、僕を襲った犯人も決して捕まる事はなくそのまま・・。


当時の記憶が今の僕の頭を駆け巡る。

『結局、こいつらもあの時と同じかよ』


「でも、君達の落ち度もあるんじゃないの?」

警察官は僕たちにこう切り出した。

「だって君達、大学生には見えないよ。初めて見たとき高校1年生くらいにしか見えなかったくらいだよ。」

「君達は童顔すぎるんだよ。だからなめられたんじゃない?」

この警察官の発言に、僕はほんのちょっとだけ童顔と言われて嬉しくなったものの


『こいつら、とっても


失礼だ。』


そして、それからの事情聴取は、犯人像を割り出す話ではなく、なんとなくケンカ売られた僕たちが悪いという話に段々と変っていき、僕たちの身辺の事を聞きだすように。。。。


「東京は変な輩が多いから、君達自身でも注意しないといけないんじゃないの?」

とか

「君達はまだ東京の事をしらないから」

とか

「派手な格好をしない」(全く僕たちは派手じゃなかったけど・・・。)

など。

彼らはもっともらしい言葉を僕たちに投げかける。

しかし、忘れてはいけない。

彼らは現場検証も犯人像に迫る事もしようとしなかった事実を。

結局僕らは【なめられないように自分達で防衛する事も覚える】よう言われ、
事件はまだ起きていないという理由から現場検証も犯人探しの捜査もしないという流れになってしまい、僕達はそのまま帰された。

けれどもなんとなく気分が悪い。

『お台場と言ったって、湾岸署の青島刑事みたいな人はいないんだなぁ。あれは結局テレビだけの話か・・・』


【事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!】

そう、当時流行りまくっていた青島刑事のあの名台詞。

でも現実は全く違う。

僕は声を大にして言いたい。

【事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で死んでるんだぁぁぁぁ!】
と。

現実はテレビのようにうまくはいかないものだ。


せっかくの楽しかった一日も最後には嫌な気分で終わってしまった。


それから数日後、

僕はパクさんにこの時の胸くそ悪い話を熱く語ると、

「それならあんた!テコンドーやりなさいよ!」

とひと言。

「なんですかその、てってってかんどって。変な名前っ!」

「違う!違うわよ。テコンドーよ。テ・コ・ン・ドー。足を主に使う格闘技よ。韓国では基本中の基本よ。軍隊でも使うし。私が教えてあげるわ~!」

「へええ、そんなのがあるんですか~」

これが僕と格闘技との最初の出会いだった。



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