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第52話:真相


どこからともなく人間の声に似たかすかな音を僕は聞いてしまった。

「ダ・・・・レ・・・カ・・」

僕の背筋が凍りつく。

 

【後ろを振り返ると、真っ暗であるはずなのに白い着物を着ている女性が立っていた・・・】

 

 

こんな時に限って僕はまたあの忌まわしい怖い話を思い出してしまった。

 

そして完璧に、この状況と怖い話とを同化させてしまったのだ。

 

僕はそのせいで後ろ振り返ることができない。

 

『怖い!こわすぎる』
   

しかし、音は聞こえたのは確かだ。

 
 
「どうしよう。振り返って確かめようかな???」

 

僕は首を少し後ろに振りつつも

  
「でも、やっぱりこのまま進もう」
 

と、後ろを振り返ることなく歩き出した。

 
 

ジャリ、ジャリ、ジャリっ

 
 

直線だった獣道から途中のカーブの道に入るとなぜか砂利道になっており、僕の足音が

周り中に響いていた。

 

そんなときだ。

 

「ダ・・・・レ・・・カ・・」

 

またあの音がしたのは。

 
 

『おいおい! やべえ、どうしよう・・・』

 
 

僕は精一杯の勇気をふり絞り、

 

「誰だそこにいるのは!!」

 

と、すばやく懐中電灯を後ろに照らしそして振り返る。

 

しかしそこには、

 
 

 

誰もいない。

 

 
 

ヒューーーーーガサガサガサ

 

緩やかな風に森の木々がほんの少しずつ揺れていた。

   

「ふうーなーんだ。やっぱり木(気)のせいか?  おどかすなよ」

 

僕はホッと胸をなで下ろし、再び歩き出した。

 

しかし、またしばらくすると

 

 

「ダ・・・・レ・・・カ・・」

 

と声がする。

 

 

『これは完璧に人の声だ。気(木)のせいじゃない!!』

 

 
しかも今度は、

 

ジャリ、ジャリ、ジャリ。
 

足音までも聞こえてくるではないか。

 

 
「誰??誰ですか?」

 

問いかけても返事はかえってこない。

 
 

けれども、ジャリ、ジャリ、ジャリ、という足音がどんどん前方から僕の方に迫ってくる。

 

『え~誰だ。ここには俺しかあり得ないし。後ろの人なら、俺の後ろから音がするはずだし。どうしよう・・・』

 

僕は焦った。


そんな時、
 
『・・・迷ったら携帯かけてくればいいから』
 
僕はあの言葉を思い出した。



『そうだ!電話してみよう。』

 
僕は、慌てて右ポケットにある携帯を取り出し、無我夢中でボタンを押しまくった。

   

そう今の僕にとって電話をかける相手なんてどうでもよかったのだ。

 

誰かの声を聞きたい!!!

 

それだけだった。

   

しかし、現実は厳しく電話が通じない。

 

「アレッ通じない。  通じない。  通じないよ。 なんで?  なんで?」

 

僕はかなり焦った。

 

「おい、どうして!どうしてだよ!?」

 

僕はもう一度、携帯の画面を見る。

 

 

【圏外】

 

 

そこには【ここは圏外です】の文字が、、、

 
 

「えっ圏外?なんで?なんで他の人の通じて俺のだけが圏外なわけ?

これまじ、やべーよ!?」

 

僕は相当焦っていた。

 

 しかし僕は気付いていなかったんだ。

 

 

PHSと携帯電話の違いに。

 
 
そうこの当時、まだPHSの普及は群馬の山間部をカバーしていなかったのだ。

 

それに僕自身もまたPHSと携帯電話の違いに気付いていなかった。

 

 
他の寮生が持っていたのは携帯電話。

僕のはPHS。

 

つまり、違いのわからない人間だったんだ。

 
そう電波の違いに・・・。

 

  
それはそうと足音はどんどん僕の方に近づいてくる。

 
 
しかし、懐中電灯を照らしても2メートル先は全く見えない。

 

僕は必死に
 

「誰ですか?  だれ?   誰なんだよ」

 
と大声をだす。

 
 
すると、

 

「うるさいわねー」

 

と返事が返ってきた。

 

 

この声とこのしゃべり方・・・・

 

 

「もしかしてパクさんですか?」

 
 
僕はもう一度、懐中電灯を前方に照らしてみる。

 

すると眩しそうに顔に手をあてながら、こちらに歩いてくる人影が見えた。

   

「そうよ! ここは一体どこよ! それにさっきからあんたうるさいわよ!」

 
 
やっぱりパクさんだ。

 

「なーんだ。パクさんだったんですか。ビックリさせないでくださいよー」

 
 

「そんなこっちだってビックリしたわよー。 あんた! だってあんな大声だされちゃうんですもの?」

   

「まあ、でもよかった~」

と僕は一安心。

 
『幽霊じゃなかったんだ』

 
 

僕は気を取り直して

 

「ところでパクさん。なんでこんなところにいるんですか?」

 
 
「なんだってそりゃ~あんた!田代とはぐれちゃったからに決まってるジャーン!」

 
・・・・
 
・・・・・・

なんて態度のデカイことだろう。

 
遭難しかかった身なのに・・・。

 
 
でもまあ、態度はデカイが、質問にはちゃんと素直に答えるところがパクさんの憎めない点でもある。

 

「田代はスタスタ歩くのよ。 わたしは怖くってゆっくり歩いていたの。 

そうしたら音がして・・・ビクッと足がすくんじゃって。

そしたらあいつそのままスタスタ歩いていきやがったのよ!  私をおいて・・・。

あいつ最低ーーーー!!

それでわたし、懐中電灯もってないし、しょうがないから次の来る奴を待っていたというわけ。」

 

僕はこのとき、

『田代さんも隣りがパクさんじゃなくて、女性なら対応も変わっていただろうに・・。田代さんも貧乏くじで可哀相~』

と正直、パクさんではなく、田代さんに同情したのだった。

 

「まあパクさんなら大丈夫と田代さんも思ったんじゃないですか?」

と、僕はやんわり田代さんをフォロー。
 

「何よその言い方!」

パクさんが突っかかる。




「だってパクさんっ!3年近くも軍隊にいたじゃないですか~!?」

 
そうパクさんは今はこんな大層なオカマ風ではあるが、元は軍人である。

 
 
「それに軍隊の中でも陸軍だったんですよね?それならこんな山どうってないでしょ。」



 
「あっそうか?そうだった!そうだったわよね。ヤダーアハハハ」

パクさんは僕のひと言に何かを思い出したのか急に笑い出した。


 
「まあとりあえずここにいてもしょうがないので、一緒に歩きましょうか。」

僕はこうしてなぜか、パクさんと2人仲良く?山小屋に向かうこととなった。

 
ジャリ、ジャリ、ジャリ。

砂利道がずっと先まで続いている。

途中、パクさんと予期せぬ合流をしてしまったので、この砂利の音もさっきより大きく周りに響いていた。

 

僕はそんなとき思い出したかのように、ふとパクさんに次の質問をしたのだった。

「あっそうそうパクさん。今思い出したんですけど・・・」

 
「何よ」


「いつも日頃から思っている疑問だったんですが・・・」

 
「何?」

 
「どうして、いつもパクさんは・・・」

 
「何?なに?」

 

「そんな・・・


オカマみたいなしゃべり方なんですか?」


「それは・・・・」

今まさにパクさんの真相が明かされようとしていた。



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