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第64話:ジンクスを打ち破る

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そう、そのジンクスとは、山手学舎にまつわるものだ。

当時、山手学舎にはこんなジンクスがあった。

それは、


【山手学舎に入舎したら彼女ができない】


というものだ。


ちなみに、今現在の学舎はそんな事はなく、彼女がいる舎生の方が多いようで・・・うらやましい限りです。



僕が在舎していた当時は、事実12人の血気多感なヤローどもがいるにも関わらず、誰一人として彼女がいなかった。


しかし別段、寮生全員、容姿に問題があるわけでもなく、逆に中より上の奴らが集まっているはずなのにこれまた彼女ができない。


じゃあ内面が悪いのかというと、そういうわけでもない。


なのになぜか彼女ができないのだ。


今振り返ってみて思う事は、このジンクス・・・人為的なものも絶対あったんだと思う。


というのは、

彼女がいない事を後押ししていた学舎の1グループの存在があった。


その名は、

通称:GMD

これは学舎の有志で作られたグループ


この意味は、


【学舎モテない同盟】



これをローマ字で書くと


Gakusha Motenai Domei



そしてこのローマ字から頭文字をとって


GMD


このGMDの代表は、榎本さん。


彼女のいない僕は、当然のことながら榎本さんに勧誘された

「お前もGMDに入らない?」


「なんですか?GMDって」


「学舎モテない同盟」


「嫌です。絶対、嫌です」

僕は即答だった。


「でもお前彼女いないんだろ?

それに・・・・(僕をじろっと見ながら)


できそうもないし」

とポツリ。


『大きなお世話だ!』と思いつつ


「絶対嫌ですよ。そんなのに入ったら逆に、彼女ができるものもできなくなっちゃうじゃないですか~」


「まあまあ!彼女がいなかったら必然的にGMDに入っていることになるんだし・・・あはははは」


「ええええ~!なんですかそれ!?」

なんとなく僕は馬鹿にされたようで、


『絶対彼女を作ってやる!GMDなんて』

とその時は彼女を作ってやる!と気合い十分だったのですが・・・




十分後、




ゼルダの伝説(ゲーム)に熱中していた。



けれども、人間とは面白いもので、一度気にしてしまうと、全く本質でないものでも自分にとって本質のように思えてくるものだ。



僕もなんとなくこのGMDの存在が気になっていた。


しかし、GMDを気にしたら最後、その魔の手にかかってしまうというのに。


そして僕は、

六本木パーティ事件も手伝って


いつの頃かGMDに


ちゃっかり


・・・・入っていた。



そしてショッカー(仮面ライダーに出てくる雑魚キャラ)の大幹部への宣誓のように

『いいんです!彼女いなくたって生きていけるんです!』

と、僕も心で誓いを立て、この四ヶ月間、【彼女を作る】という大事な事を完璧に忘れていたのだった。


しかし、四ヶ月目にして初めて知らされたキャンパスライフの実情。

否応にも大学構内を歩くとカップルの姿が目につく。


講義中も肩を寄せ合うカップル。


食堂でも寄り添って座るカップル。


ベンチに座りながら見つめうカップル。


図書館でも仲良く一緒に座り勉強に取り組むカップル。


トイレでも電話をしながら愛を確かめ合うカップル。


どこもかしこもカップルだらけ。

一方の僕はというと、

講義中、うたた寝をして隣の見知らぬ男性に寄り添う僕。


食堂で給食のおばちゃんを見ながら、そばを食う僕。


ベンチに座りながら牛乳をストローで飲み干す僕。


図書館でウォークマンで音楽をガンガンに聴きながら1人勉強に取り組む僕。


トイレで電話をしながら愛を確かめ合うカップルに、

『チッうるせいな~』と舌打ちしながら、目を細める僕。



暗い・・・cry


暗い・・・cry


暗すぎる・・・cry ,cry, cry


僕のキャンパスライフは実に暗すぎる!


僕は危機感を覚えた。


このままでは、4年間ズルズルとGMDに入ってしまい、遂にはその長になっている自分の姿が簡単に想像できる。


『ダメだ。ダメだ。ダメなんだ。そんなんじゃダメなんだ。』


そこで、僕はある決心をすることに。


『僕が高校時代に描いていたキャンパスライフはこんなものではなかったはずだ!

もっとこう、僕が運動系サークルに入って日の光をあびながら練習に取り組む。

そしてその汗が太陽のひかりでキラッと光る。

そしてそこにひとりの女性がやってきてそっと持ってきてくれたタオルで僕の汗をぬぐってくれる・・・・

これが青春のはず・・・なのに現実はどうだ!

カップルを見ると目を細めてしまう始末。

あーーーー!こんなの俺の理想のキャンパスライフじゃないよ。じゃないんだよ!!

GMDなんてどうでもいいじゃないか!六本木のパーティ事件なんてどうでもいいじゃないか!

僕は、今!そして!このとき!彼女がほしいんだ!!!!』


と心機一転、GMDのショッカーから脱却し健全なキャンパスライフを送ることを誓ったのである。


そしてあの出来事はそんな矢先に起ったんだ。




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