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2008/03/02 第81話:なにがなんでも!
シェアブログ403に投稿 「だって朝2時半から仕事だから」 「・・・・・・・ええええ~」 僕はこの言葉にびっくりしたものの 『あっそうだ。ここは市場だった・・・
2008/03/05 第82話:これがホントの東京だ!!
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2008/03/06 第83話:灯台下暗しかよ!
シェアブログ403に投稿 2時40分 「やっべー!!」 僕は焦りに焦った。 「ない!ない!!ない!!!市場がない!」 どこを見渡しても市場の建物らしき
2008/03/10 第84話:ツンツン!ツンツン!
シェアブログ403に投稿 「あっあの~」 僕は後姿の大きな男性に声をかけた。 すると 「あ~!!」 男性が振り返り僕の目の前に立ちはだかる。 『おお
2008/03/11 第85話:あの柔らかさをもう一度
シェアブログ403に投稿 「おい早く袋!袋!」 「あっはい!今作ります。」 ガサ!ガサ!ガサ! バサ!バサ!バサ! 「はいっ!できました。」 「
2008/03/12 第86話:ビニール袋の果てにあるものとは?
「えっ!それは・・・・・ ビニール・・・・ぶくろ、、、ですよね?」 「そうだ。普通のビニール袋だ! これを使ってタケオには・・・・」 僕はそう語る真さんの顔を見ると
2008/03/14 第87話:無知の知 
「それじゃあ、俺が作ってみるから見ててみな」 真さんはそう言ってビニール袋に氷をガサッ、ガサッと、手早く入れ始める。 さすがにこの氷袋作りは真さんにとっては手馴れたもの。
2008/03/16 第88話:ウニはウニだけに・・・
「あの~どちら様でしょうか?」 僕は思わず質問した。 すると、 このおじさん・・・・ちょこっと首を動かすものの、真後ろに僕のいる方向に振り向く事無く、首の元の位置に戻す。
2008/03/18 第89話:場内市場の実情・・・ 
とうとう魔の時間がやってきた。   コクッ コクッ コクッ 僕のまぶたの上と下が閉じるのと同時に僕の頭が コクッ コクッ コク
2008/03/20 第90話:専門用語なんて・・・
場内市場で生き残っていくために、大きく分けて三つの種類の魚屋がある事に気がついた僕。 その3つの種類の魚屋とは・・・・。 ①質のいい魚を仕入れようと目利きに力を入れる職人気質あふれた店

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第81話:なにがなんでも!

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「だって朝2時半から仕事だから」


「・・・・・・・ええええ~」

僕はこの言葉にびっくりしたものの


『あっそうだ。ここは市場だった・・・』


と思い、

「そうですよね。そうですよね」

と相手に同意すると共に、自分自身にも納得させた。



『あれ?でもまてよ・・・』


僕はある事を思い出した。


「あの~、よくテレビに出てくる市場って5時くらいから始まっているイメージがあるんですけど・・・」

そう、それはよくテレビで放映されている市場の様子だ。


しかし、真さんは

「あ~、それはお客さんがくる時間帯のことじゃない?

市場のセリ自体はもう3時から始まるんだよ。

だからその間にタケオには卸してきた魚を並べるために、

ステンレスの箱を店頭にセッティングしてほしいんだよ。だから遅くても朝3時にはきてほしいってわけ」


「あ~そうなんですか~。わっかりました。

でも、、、、当然そんな時間帯に電車走ってないからな~。どうしよう~」

僕は悩む。


そう僕が住んでいる山手学舎は高田馬場にあり、


ここは勿論、築地にある。


当然歩いて来れる距離じゃない。


「原付なんかで、くればいいんじゃない?」

真さんはそう言ってくれた。


けれども僕にはその免許がない。


「僕免許もってないんです。だからバイトしてお金貯めて、免許取ろうと思って・・・」


「ああそうなんだ。そっか~それなら2階に部屋がひとつあるから、夜11時くらいにここにきてそこで寝てもいいよ」
と真さん。


「えっ?ここに2階があるんですか?」

僕はこんなところに2階があるなんて全く考えてもしなかったので、普通に驚いてしまった。


「あるよ」

真さんはそう言うと僕を、魚屋の裏手に通してくれる。


すると、


ド~ン

木のはしごが置かれてあるではないか。



僕はその木のはしごに沿って上を見てみると、


バコーーーン


と発泡スチロールの空箱がどっさり。



「えっ?こんなところに部屋があるんですか?」


「あるよ。このはしごを上ってみな?」


僕は言われるがままに、木のはしごを上ってみる事に。


そして木のはしごの先端につくと、

下からは見えなかったのだが、

確かに、向かって右の方に南京錠のかかっている戸がある。



「えっとここの事ですか?」


僕は南京錠がかかっている戸を指差す。


「そうそう、そこだよ。空けてみな」


僕は言われた番号に合わせ、南京錠をはずした。


そして、


『こんなところに部屋があるなんて驚きだよな~。でも秘密基地みたいで面白いかも。

ここで寝れるんなら終電前に来てもいいかも』


と、のんきな事を考えつつ

バタン

戸をあけた。



「えっ!?」


僕は一瞬、目を疑った。



そして僕はあまりの部屋の広さに驚いてしまった。


『なんと!こんなところにこれだけのスペースがあるなんて・・・』


僕が目にしたそのスペースの広さはというと、



タタミ




ハン(半)畳分。



タタミ、サン(3)畳分ではない、半畳分だ。


一畳分にも満たないタタミ半畳の部屋が僕の目の前には存在した。


ある意味、こんな部屋が存在したことに僕は驚いてしまった。



まあ試しにと、僕は横になってみる。



すると、


下半身が部屋から簡単にはみだしてしまう。


しかも、はみ出した下半身は空中に宙ぶらりん。


足に血が溜まってしまいそうな勢いだ。


それに、はしごに足が当たってはしごが壊れないように、バランスをとりながら横にならなくてならない始末。


しかし、この部屋・・・・・タタミ半畳しかないのに、ちゃっかり窓がある。



僕は試しに窓をあけるため、寝返りを打つように上半身をうまく窓側の方に向け、窓を開けた。



ガタン


タタミ半畳の部屋から見えるその窓からの風景はというと・・・・


白い白い輝かしいほどの、


発泡スチロールの空箱の山々。



そしてその窓からは、すがすがしい空気が流れてくるのではなく、



まがまがしい魚臭い空気が部屋中に流れて来て、なんとも目まいがしてくる。



しかもこの部屋、


死ぬほど、あぁっつい!!


ちょっと部屋に入っただけなのに、汗がダラダラと滴り落ちる。


窓も全開で、タタミ半畳だから強制的にドアも開いているのにだ!



僕は思った。



『ここで寝たら絶対死ぬ・・・・というより干からびる』

と。



そして僕は窓と戸をしめ、はしごをスタスタと降りていった。



「どうだった?」

真さんが感想を求める。



「え~と、僕・・・・


なにが何でも自転車で来ます」



このひと言が、なにより僕の感想。



そして僕は、自転車を使って自力で高田馬場から築地市場までに行く事に決定。



しかし、この決定があとで大変な事態を起こす事になるのだが・・・・。


ともあれ、バイトに必須の条件はすべて揃った。


バイト代・バイトする日数・交通手段などなど。


「それじゃあ、明日朝2時から来ます」

僕とそう言うと真さんと別れ、木田さんの車で学舎へと帰っていったのだった。


そして今日あった事を夕方、いつものように相川さんに話をしていると、

「タケオっ!俺ひとつだけお前に言いたいことがある。」

と突然、相川さん。


「えっ?どうしたんですか?」

と僕。



「タケオはさっきの話で朝3時から仕事だって言ったけど、それは間違いだ!」

相川さんが僕の言葉に指摘する。


「えっ?なにも間違っていないですよ。バイト先の人も3時からって言ってたし・・・」

僕は相川さんに反論した。


すると相川さん、

「バイトは朝3時からじゃない。それって世間では深夜3時って言うんだよ~!」


『・・・・あっ!全くその通りだ・・』



そして、僕の朝の?深夜の?戦いの火蓋が切って落とされることとなったのだった。




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第82話:これがホントの東京だ!!

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ジリリリリリリリリ~

僕の目覚まし時計が部屋中に鳴り響く。


「あ~う~~」

僕は寝ぼけたまま2段ベットからドドドドと降り、自分の机の上で鳴り響いている目覚まし時計のスイッチをバンと切った。


それからしばらく


ボオーーーーーと突っ立っていた。



しばらくして僕は、開ききれていない目で時計を見る。


1時15分


『ああまだこんな時間か~。眠い。眠い~・・・でももう行かないと』


そう、僕は今日から始まるバイトのため、夕方7時から寝て、深夜のこの時間に起きたのだった。


しかし、眠くて眠くてたまならい。


この時間・・普段ならまだまだ起きて談話室でテレビを見ている時間帯だ。


しかも、夜7時寝て、深夜1時過ぎに起きるなんてこれまでの人生の中でやったことがない。


だから早く寝ようとベットついても、目がランラン!

1、2時間後、やっと眠気がきて寝れる~と思ったら、すぐこんな時間に・・・。


それになんとなく眠りが浅いし体は重い。


けれどもそんな事も言ってられないので、僕はそんな重い体にムチを打って洗面所へ。



すると、


「あはははははは!!」


笑い声が談話室の方からしてきた。


いつもならこの笑い声の聞こえる談話室にいる僕。


しかし、今日からは全く生活が変わる。


しかも、これまでの枠から外れ、遠くから談話室の様子を見るとこれまで見えなかったものが見えてきてこれまでとは違う感情がわき上がってくるのだった。


それは、


『うっるせーな~。


もう深夜だってのに・・・』

という感情。



僕にとって、これまで深夜でも楽しかった談話室の笑いが、今ではその笑いで頭にガンガン響いてきて、うるさい!


それに、奴らはこれからぐっすり眠るんだと思うと、なんとなくむかついてきた。


人間とは、なんて勝手な生き物で罪深いんだろう・・いま考えるとしみじみそう思う。



僕は、真さんが帰り際、

「汚れてもいい服着て来な」

と言っていたので、

その通り、【臭くなってもまた汚れてもいい】どうでもいい服とズボンを身に着けたのだった。


『よし、これでよしと・・・』

洗面台の鏡に映る自分の姿をみて僕は独りつぶやく。

それから談話室へ。


バタン・・


「お!その格好。これからバイトか?」

と僕の格好を見て、榎本さん。


「そうなんですよ~。それじゃあ行ってきます!」


僕はただ自分がこれからバイトに行くんだという事を強調しつつ談話室を通っただけ。


「行ってらっしゃ~い!」

談話室にいるメンバーが一斉に見送る。


そんなとき、

「あっ!そうだ!榎本さん。」

「なに?」

「自転車貸してくれませんか?」


「あっいいよ。チェーンの番号は5349だから。

それに俺、原付でほとんど使わないから。使ってていいよ。」


「ほんとですか?ありがとうございます」


僕は榎本さんの自転車を拝借して、いざ築地市場へ。



僕が学舎を出たのは深夜1時40分。


僕は地図を見ながら進んでいく。


高田馬場から後楽園を抜け大手町へと入って行く僕。


そこを通りながら僕はあることにびっくり。


それはというと・・・

『誰もいないじゃん!』

新宿や池袋は深夜になっても人通りはあるのだが、大手町などのビジネス街には人が全くいない。


この場所は昼間であれば、自転車をたちこぎしながら通るなんてありえない。


しかし、今はたちこぎしながらスイスイと通れてしまう。


僕はこのギャップに、


『これがあの社会でならった【ドーナツ化現象】か~』


中学時代、社会の時間にならったあの机上の単語が、今僕の目の前で現実に起っている。


【ドーナツ化現象】・・・それを肌で体験することができるなんだか嬉しかった僕。


そして

『ああ、俺って東京に今いるんだな~』

と改めて実感したのだった。


とまあ~閑散としたビジネス街を抜け、さらに進んでいくと今度は異様に光を放っている場所が見えてきた。


そこは、


銀座。

しかも今は夜の銀座。


僕はあの有名な時計台のある和光ビルの前で信号待ちをした。


僕はその間、ぐるりとあたりを見渡す。


夜の銀座は、おしゃれな外灯がともされ、それはそれは綺麗なものだった。


僕はとあるビルの上の方に目を移した。


そこはバーなのだろうか。

部屋全体は薄暗くシーリングファン(天井扇)の青いライトだけがおしゃれに回っているのが見えた。


なんともそれだけ見ても大人の雰囲気をかもし出している。


「あ~これがあの有名な銀座か~」


僕は、なんだか胸がワクワクしてきた。


僕は汚くて臭くなってもいい格好だったけれども、気分はブルジョア階級。


しかしこのあと、現実を目の当たりにするのだが・・・。


ともあれ、

「ちょっと自転車で30分こいだだけで、こんなにテレビによく出てくる場所に来れるなんて・・・。

学舎ってもしかして立地条件いい??」


僕は今頃、そんな事に気付いたのだった。


僕はそんな大人なの気分にさせてくれた綺麗な銀座を抜ける。


そして次に登場したのが歌舞伎座。



「へええこれがあの歌舞伎座か~」


僕の次の気分は観光客そのもの。


そしていつの間にか


「わっせすげー(ものすごくすごい!という意)

わっせすげー! わっせすげー!」

と方言を連発していた。


そして歌舞伎座を後にした僕の目に飛び込んできたのは、なんとも見覚えのある橋だった。


「あっ!これってもしかしてあの有名なこち亀(こちら葛飾区亀有公園前派出所)にでてくるあの橋じゃないの?」


僕の胸は大いに高まる。


そして【勝鬨橋(かちどきばし)】と書かれた名前を見つけたのだった。


「やっぱり!!」


そうこの橋は正真正銘、あのこち亀に登場した勝鬨橋(かちどきばし)だ。


勝鬨橋とは-日本では珍しい可動橋(跳開橋)の事。

現在では機械部への電力供給も無く、可動部もロックされ、跳開することはない橋である。

この橋は、こち亀の両津勘吉と仲間が中学生の頃、開閉しなくなった勝鬨橋の開いた姿を転校する友人のために、運転室に忍び込んで橋を開ける話に登場してくる。

ちなみにこの話は、こち亀・読者が選んだ傑作選となっているほど。
(出典:ウィキペディア)

だから僕もこの勝鬨橋の事はマンガを通してよく知っていた。


しかし、今まさにそのマンガの世界だった橋が現実に僕の目の前に存在する。


「うおおおおおお、わっせわっせすげー」


僕の心は、感動そのものだった。


そしてこの勝鬨橋に足を踏み言える僕の心境は、

アポロ11号のアームストロング船長が月面に足を踏み入れる心境に近いと言ってもいいだろう。


「ひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」byアームストロング


「ひとりの人間にとっては小さな一歩だが、僕にとっては大きな飛躍だ」by タケオ


規模は比べ物にならないくらいにめちゃくちゃ小さいものの、僕にとってはそれほどに大きな衝撃だったのだ。


僕はその感動と衝撃を胸に勝鬨橋を渡った。


そして渡り終えた僕は、

思わぬプレゼントをもらったような感じで、初バイトにも気合いが入ってきた。


「よし!それじゃあ感動も出来ちゃったことですし、市場に向かってバイト頑張ろう!」

僕は、勝鬨橋を渡って今以上に、立ちこぎをしつつ市場へとむかったのだった・・・。


向かったのだった・・・。



向かったのだった・・・?


向かったのだった~???

・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・


「あれ?市場が見当たらない。あれ?」


もうそろそろ見えてくるはずの市場が全く見えてこなかった。


そしてしまいには、行き止まりの看板が・・・。


「あれれ?

市場はどこ?

あれ?あれ?」

僕は改めて周りを見渡してもそこには、シーーンと静まりかえっておりなんにもない。


人もいないし車もない。


僕はそんな時、ふと腕時計に目をやる。


2時40分


「やっべー!!」


僕は焦りだし、さっきの感動と衝撃はどこへやら・・・


今の僕の心境は、、

「ひとりの人間にとっては小さな時間だが、僕にとっては大きな遅刻だ」by タケオ




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第83話:灯台下暗しかよ!

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2時40分


「やっべー!!」


僕は焦りに焦った。

「ない!ない!!ない!!!市場がない!」


どこを見渡しても市場の建物らしきものさえ見えやしない。


「あれ?ここらへんじゃないの?」


僕は持っていた地図を見直した。


「勝鬨橋・・・勝鬨橋・・・っと。あっここだ!


じゃあ、市場、市場・・・はっと。」


僕は勝鬨橋から市場を探してみたのだった。



すると

「あれっ?市場が勝鬨橋の手前にある・・・・・・・

ということは、つまり渡っちゃいけないんじゃん」


そう、僕は勝鬨橋に感動したあまり、市場すでに通り過ぎていた。


しかも今いる場所・・・すでに勝鬨橋から10分くらい自転車では走ってしまっている。


僕はもう一度時計を見直した。


2時44分


「やっべー!」


僕は猛ダッシュで来た方向に走る。


僕はこぎにこぎまくって、勝鬨橋を通過した。



しかし・・・・


「あれ?あれれ??ここのどこに市場があるん??」


僕は地図どおりに勝鬨橋の近くまで引きかえってきたものの、


今いる僕の場所からは市場は全く見えない。


それに昨日、木田さんと来た時のような、築地市場と書かれた看板すらない。

「あれ?ほんとうにここ築地?」


僕は地図を見かえす。

けれども確かにここは築地。


「う~ん・・・・しょうがない」


このまま考えてもしょうがないので僕は、近くで荷卸しをしているトラックの運ちゃんに道を聞いてみた。


「あの~すいません。築地市場ってどこですか?」


「えっ市場?」

トラックの運ちゃんは不思議そうな顔で僕を見る。



「あっ!そうです。なんか道に迷ったみたいで・・・」



「えっとそれならすぐそこだよ。ほら!」


トラックの運ちゃんが向かって右の方向を指差した。


僕はその方向に目をやる。


すると前方に市場の入り口があるではないか!



なんとその距離



10メートル



『うわっ~近っ!


しかも俺、今、恥ずかしい~』



【灯台下暗し】とはよく言ったものだが、これはなんとも恥ずかしい。



「なんだよ。こんなところにあるじゃん。あはははは~。そっそれじゃあ、どっどうも・・・」


と、僕は一目散に自転車をそこらへんに止め、市場へと猛ダッシュ!!


恥ずかしさと遅刻してしまうという焦りを覚えつつ、僕は走ったのだった。



ちなみにあとで気付いたのだが、さっき僕がいたところは勝鬨門と言われる場所で、ここには立体駐車場があり、市場の関係者がよく駐車している。



昨日、僕が木田さんと入ったのは所謂、正門と呼ばれるところで、

正門の真正面には朝日新聞の本社ビルがどーんと聳え立っている。





僕は、急いでダッシュ!ダッシュ!ダッシュ!


走りに走った。



僕は思うがままに走った。




そして僕は



・・・

・・・・・・



道に迷った。


「オーマイガー!!」



「どこだ!どこだ!どこだ!」


僕はかなりテンパリながらあたりを見渡す。


しかしそんなときに限ってみーんな同じような魚屋に見えてくる。


『うおお・・一体どこだよ!!


ああ、、どうしよう・・・・そうだ!真さんの携帯っ!』


僕は昨日真さんに教えてもらった携帯の事を思い出しさっそく電話。




が!!


セリ中なのだろうか・・・・



電話にはまったくでてくれず。




もうしょうがないので、僕は昨日来た道通りに正門近くまでいき、記憶を頼りに歩いて歩いて歩きまくった。


そして、・・・・・・・・


「あっここ。昨日見たぞ」


段々、昨日の記憶がよみがえってくる。


『俺の頭はまだ柔らかいじゃん』


自分の脳に感謝!



そんなこんなでようやく真さんの魚屋が見えてきたのだった。


しかしすでに時計を見ると


3時30分


『うわ~。しょっぱなから遅刻だよ~』


僕は、一気にどーんとモチベーションがさがる。


僕は、覗き込むようにゆっくりゆっくり真さんの魚屋に近づいていくと、

すでに真さんの魚屋の電気はついており、

しかも昨日、真さんに頼まれていたセッティング作業も終わっていたのだった。


『うわー最悪・・・どうしよう』


僕のやる気指数は、すでに-120。

『ああ嫌だな~』

と思いつつ、真さんの魚屋へ。



するとそこには大きな体の男性の後姿が・・・。


僕は恐る恐る、


「あっあの~」

と、声をかける。

すると後姿の大きな男性が僕の方を振り返った。


「あ~~っ!!」



姉さん、、、、危機です。



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第84話:ツンツン!ツンツン!

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「あっあの~」

僕は後姿の大きな男性に声をかけた。


すると

「あ~!!」

男性が振り返り僕の目の前に立ちはだかる。


『おおおお~』


僕はその迫力に後ずさり。


まさにこの男性、

横と縦に大きく、

『大きく聳え立つ壁』だった。


そんな巨体が僕の方に向かってくる。


ドシッ、ドシッ、ドシッ。


しかも、その男性はメガネをかけているのだが、電球の光で反射して彼の目が見えないときてる。


僕は思った。

『この動き、そしてあのメガネの反射・・・。

紛れも無い・・・・・


牛魔王だぁ』

と。


そう、まさにに僕の方に向かってくるこの男性の体格、


あのドラゴンボールにでてくる牛魔王そのものだった。

164.jpg








けれども、


「えっ!なんだって?」


と、その男性、体格とは裏腹に声は普通。



「えっと・・・今日からこちらでバイトさせてもらう・・・」


「ああ~!兄さんが言っていた件ね~」


『えっ兄さん?・・・・ってことは


もしかして』


そんなときだった。


「おっ!タケオ来たな!」


真さんが、向こうの方から2つ重ねた発泡スチロールの箱を持ちながらこちらにやってきたのだ。

「あっすいません。バイトの初日からこんな遅刻しちゃって・・・」

僕はとりあえず謝る。


「まあ気にすんなって!

あっそうそう紹介しなくちゃ!よいしょっと」


真さんはそういうと発泡スチロールの箱を僕と男性の間にあるテーブルに置いて、


「これが、昨日話してた俺の弟の鉄ってんだ。」

と、真さんの後ろにいる牛魔王を・・・いやいや鉄さんを紹介してくれた。


すると、

「よろしくな!」

真さんの後ろで鉄さんがひょこっと顔を出した。


体格の割にはおちゃめな一面を見せた鉄さん。



『外見は牛魔王にしか見えないのに・・・・人は外見ではわかんないもんだな~』


僕はしみじみ思った。


「それじゃあね~。セッティング作業は、もう今日はやっちゃったから、、、

これからセリで落とした魚が配達されてくるからそれをココの店の手前にまとめといてくれる?」


「あっはい、わかりました」


「それじゃあ、まだまだ魚くるからな!頼んだぞ!!」


真さんは僕にそう念を押して、鉄さんを連れてどこかへ行ってしまった。


そして、僕はそんなこんなで魚屋にひとりとなったわけだが、、、


なんだか周りを見渡すものがすべて初めてだったので、ワクワクしてきた。


そんなとき、

ピチャッ!!

僕の手前にあるバケツの水がはねる。


「なんだろう」


僕はそのバケツの中を覗き込んだ。


すると、そのバケツの中で黒くて細長い魚が網の中でうようよして動いているのではないか。


僕はその網を引き上げてみると・・・


なんとそこにはびっしりの


アナゴ、あなご、穴子


しかもめちゃくちゃ威勢がいいのだろう、元気良く動きまくっている。



たぶん、穴子からすると、もがき苦しんでいるんだろうけど・・・。


僕はこれだけの数の生きた穴子をこんな間近でみたのは初めて。


それから、次に僕はさきほど真さんがもってきた発泡スチロールの箱を開けたのだった。


するとそこには


生きたアワビ、生きたホタテ貝、ミル貝など、他にも見たことのない貝が数種類が入っていた。


「おお、すげー!すげー」

僕は、これらを見て童心に戻り、それらの貝をつっつく。


勿論、つっつかれた貝の方は、びっくりして勢い良く貝を閉じるのだが、

僕もジーーと、また貝が開くのを待っては

ツンツン、

ツンツン、

ツンツン、

とつっつきまくる。


そうあのドクタースランプ アラレちゃんが、あのピンクのう●●君を突っつくように。


fimg_11205110191.png





まあこれは貝にしてはいい迷惑なんだろうけど、

なにせスーパーの魚屋でお目にかかる魚介類はというと、

ドテーーーっと、すでに横たわっているか


もしくは

触ってもピッピクッ?としか動かないやる気のないやつらばっかり。



けれども、ここのやつはどうだ!


ちょっと触っただけで


ピシャッと飛び跳ねたり、


パクッとおもいっきり貝の口が閉じたりと、


威勢のいいやつらばかりじゃないですか!


だから、こちらとしては面白くてやめられない。


これは所謂、植木等の

「わかっちゃいるけど、やめれない」ってやつだ。


かなり古いかもしれないが・・・・。


また、


ここは水族館の生き物体験教室か!


ってな感じで突っ込まれそうだが、それだけ僕にとってはこれらは衝撃的出来事だった。


しかし、貝をツンツンと何度もやっていると



貝は疲れたのだろうか、



ぽわーーーん


と、貝を閉じる動作が鈍くなり、しまいには開きっぱなしに・・・。



そんな勢いの無くした貝は、童心に返っている僕にとっては興味の対象外。


「あ~つまんない!

それになんだかこれにも飽きてきたし、それじゃ次!」

僕はこれまで戯れていた貝をポイッとおいて、

次の面白そうなものを探し始めた。



そんなとき


バタン!!

隣の店からとてつもなくデカイ音がした。


僕はそのあまりに大きな音に、



「なんだ!なんだ」

と隣の店をのぞいてみる。


すると・・・・そこはまぐろの専門店なのか、

巨大な冷凍マグロが次々に運ばれてきているではないか。


『おおおこれがマグロか~。でっかいな~』

僕はそのマグロの大きさにびっくり。


『小錦ぐらいあるんじゃないだろうか?』

と思えるほど、体重が重そうなマグロたち。


『もしかしてこれを解体しちゃったりするのかな?ワクワク、ワクワク』


そんなんで、真さんに言われた仕事の事なんかはすっかり忘れて完璧に童心に戻ってしまっていた僕なのだが・・・、


そんなときだった。


「すいません~!兼丸さんはここですよね」

と声をかけられたのは。



ここは水族館でも、海の体験教室でもない。


ここは紛れも無く1200万人が住んでいる東京の水産を担う超巨大市場。


僕の生き物体験教室的な感じは、この声かけによって終了し、

新たに商いの実践&体力勝負ともいうべき、ながーくきついバイト1日目がスタートしていくのだった。



「あっ!しまった・・・頼まれた作業やんねーと・・・やばい!」





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第85話:あの柔らかさをもう一度

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「おい早く袋!袋!」


「あっはい!今作ります。」


ガサ!ガサ!ガサ!

バサ!バサ!バサ!

「はいっ!できました。」


「よし!じゃあこれ、さっき教えた東8まで持っていって」


「わかりました~」

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

「おい!タケオ!袋!袋!」


「はい~!・・・・できました!」



「タケオ~!」

「あ~はいっ!」


「丸新まで行ってカマもらってこい!」


「えっカマ?」


「そうだよ。カマだよ。カマ!カマって言えばわかるから」


「あっはひ~」


ハー、ハー、ヒー、ヒー、


今、僕はとにかく市場中を走り回って、あるものを作りまくっている。


走りそして作りまくる。


走りに走りぃーーー

作りぃ~に作りまくる。


うおおお~体は重いし、眠いし、ふらふら~~。。。。



<僕がこんな状態になる2時間前>


ツンツン、
ツンツンっと貝に触ったり、


隣の魚屋をワクワクしながら見てた僕だったのだが、



「すいません~!兼丸さんはここですよね」


ターレーに荷物をこれでもかと載せて運転していたお兄さんが、

僕に話しかけてきた事をきっかけに・・・・市場の現実が浮き彫りに。



「あっはい!」


僕はとっさに返事をする。



「それじゃあ、荷物ここに置いときますから」


お兄さんはそう言うと、ターレーに積んでいる荷物を

バタンバタンっと

店の前においていった。


「あっ、ありがとうございました!」


僕は、さっきまでの童心はどこへやら、現実に戻り、荷物をせっせと整理し始める。


「えっと兼丸さんの荷物ここ置いときますよ」


と別のお兄さんが僕に声をかける。


「あっはい!」


「おっ!きみ新入り?」


「あっはい!今日から入りました」


「おっいいじゃない~!頑張ってな。それじゃあ」


「はい!頑張ります!」


ドドドドド

その別の兄さんもターレーにのってどこかに行ってしまった。


それからも、


「どうも、荷物ここに置いときます」


「じゃあ、これをここに置いとくから」


「これ~どこにおく?」


など、次々に荷物が運ばれてくる。


僕は続々と運び込まれる荷物をちょっとだけその中身を拝見。


すると、そこにはパチパチっと動く活きたカンパチが入っていたり、

ウニやいくら、とびっ子が敷き詰めれたものなど様々なものが入っていたのだった。



僕がそんな感じでせっせと運ばれてくる荷物を積んでいると、


「おう!おはよう!」


僕の後ろから声がした。


「あっ!おはようございます」

と僕は振り返りながら挨拶すると、メガネを掛けた中年のおじさんがそこには立っていた。


この中年のおじさん・・・・


高田純次にもうそっくり!


まあ正確に言うと、高田純次をもっと細くしたような感じで、髪はオールバック。


それにメガネは東国原知事のように斜めに掛けていた。


「今日からの新人君ね」



「あっはい。よろしくお願いします」



「おう!おう!」



『たぶんこの人が、昨日真さんの言っていた安さんって人なんだろうな~』


僕は、

「そっくりだな~」

っと、この高田純次に似た安さんを見ていると、


安さんもこちらの方を見て


「おう!ところで新人ちゃん!

まだ割ぽう着、着てないね!」



「えっしっ新人ちゃん・・・」


「そう、新人ちゃん。だって今日から入ってきただろ?」


「えっまあ~」


「だから新人ちゃん。」


「えっ!あっあの~僕の名前はタケオって言いますが・・・」



「OK!OK!わかったよ。

新人ちゃん。」


『だからタケオなんだってばーー!』


ボケ方も高田純次そっくりだった。



「裏に、割ぽう着と長靴があるから履き替えな~」


「えっ?割ぽう着と長靴?」


僕はそう思いながらも


「新人ちゃん!こっちよ。こっち」


安さんは、僕を店の裏に連れて行くのだった。



「じゃあ、これとこれに着替えて」


安さんはそういうと、裏にかけてあったビニール製の割ぽう着と長靴を僕に手渡した。


「あっありがとうございま・・・うっ!くさ~」


僕はあまりのこの割ぽう着の臭さに鼻をつまんだ。


すると、

「あっははは!新人ちゃん!いい表情だ。あははは」

と、僕の肩をたたく。


「まあこれが市場の臭さよ~。まあじきに慣れるから。あははは~」


そう言うと、安さんも僕と同じような割ぽう着を身にまとい、店の準備に取り掛かるのだった。


しかし僕はというと・・・


『うわあ~。まじかよ~』



安さんは普通に笑って、着替えていたのだが、


このにおい・・・マジで


笑えない。


『絶対これ着たら俺の体も汚染させられる』


僕はそんな危機感を感じた。



それに~この長靴、、、、


初めて学舎を見学した際、金さんが

「このスリッパどうぞ」

と、下駄箱にあるサンダルを出して、


僕の足元においたものに酷似している。


『絶対、履いたら・・・・』


僕は、あのときも履くのをためらったが、


今、僕の手にあるこの長靴を履くことにためらわずにはおられない。


『絶対、履いたら前みたいになるよ~』


僕は思った。


しかし、今の僕は現実に、マイ長靴を持ってはいない。


【もう履くっきゃない!】という選択肢しかないのも事実。


『しょうがないよ。しょうがないよ~。しょうがないんだよ~』

僕は、あのときと同じように心の中で泣きながら履いたのだった。


すると、


グニョ、グニョ~


この長靴・・・


やっぱりあの時と同じようになんだか柔らかかった。

『うわああああああああ~

やっぱり思ったとおりこの長靴やわらかいじゃん、、、、、、。

最悪だああ。

しかも今回は、なぜか底が少し濡れてるし・・。


うわあああ、これ・・前の金さんのサンダルよりパワーアップしてるよ~』


一歩、一歩、歩く毎に

グニョ、グニョ、 グニョ~

と長靴の中が、こんにゃくのように揺れていた



このときの僕の心境をひと言で表すならば


『ああ、僕、お嫁にいけない・・・』


そんな心境だろう。


僕は、臭い割ぽう着と、柔らかくそしてなぜか底が少し濡れている長靴を履いて、


そしてショックを受けつつ店頭に出て行った。




そんなとき、


「おっ!似合ってるじゃねーか!」

丁度今、帰ってきた真さんが僕の格好を見てひと言。


「おっほんとだ!いいじゃない!」

鉄さんも親指を突き出しGOODサイン。



「えっまじっすか!」


僕は、その言葉に、クサイ割ぽう着と、柔らかくそしてなぜか底が少し濡れている長靴を・・・

何のその!


すぐにクサイ割ぽう着と柔らか&濡れた長靴を克服。


まさに!お調子者の勝利!!



「それはそうと、タケオ!」


「はい!」


「今日からお前に重要な任務を与える」


「あっはい!わかりました」


『おっ初日からもうそんな任務を任されるのか!

よし、やってやるぞ』


真さんの真剣な顔に、僕も真剣な目で答えたのだった。



「それはこれだ!」

真さんがあるものを手にした。


「えっ!それは・・・・・」

僕はこのあるものに注目。


「それは、もしかして・・・・ビニール、、、、、ぶくろ???」




「そうだ。どこにでもある普通のビニール袋だ!」


真さんが真面目な顔でこう語った。


しかし、全く何に使うか検討もつかない僕。


『一体これから何が始まるんだろう・・・』





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第86話:ビニール袋の果てにあるものとは?

「えっ!それは・・・・・


ビニール・・・・ぶくろ、、、ですよね?」


「そうだ。普通のビニール袋だ!

これを使ってタケオには・・・・」


僕はそう語る真さんの顔を見ると、、、

真さんの顔は真剣そのもの。


しかも真さんは目で何かを訴えていた。


『これはすごい眼力だ!僕もこれに答えなければ』

僕はそう思い、僕自身もその真さんの真剣な眼差しに答えるべく


じーーーーっと目で、、、、、

訴える。


特に僕には訴えるものはなかったけど、


とりあえず眼で訴え返す。



僕と真さん・・・。


この2人の間にはかつて無いほどの緊張感がそこには生まれていた。


この雰囲気・・・・、


今考えてみると


何時ぞやの・・・。


そうだ!あのみのもんたが司会をしていたクイズミリ●ネア状態だった。


ちなみにクイズミリ●ネアは2000年4月からの放送なので、僕が築地バイトをやっていた当時はまだやっていない。

ある意味先取りしていたのかも・・・いや、、、んな事ないか。


ともあれ、

「このビニール袋を使ってタケオには・・・・」

と、真さんが重大発表をしようとしていたのは事実。


僕はゴクっと、、、

かたずを飲んで真さんの次の言葉に耳を傾ける。


「このビニール袋を使ってタケオには・・・・」



『うん。・・・このビニール袋を使ってタケオには・・・・』


心で復唱する僕。



「このビニール袋を使ってタケオには


・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


『早く言ってよ~』



じらされる僕。



そして

じらされているであろう、今この物語を読んでいるあなた。


そう!

じらしにじらされ、遂に・・・答えが。。。。。




「このビニール袋を使ってタケオには


・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


氷袋を作ってもらう!」


とのお言葉。


「・・・・・・・・・・・・・・・・へえ~??」


僕はこの言葉にあっけに取られてしまった。



僕はあまりの真剣な真さんの顔に


クッ!と待ち構え、


真さんから重大発表がでたら


「えっ~ほんとですか~!!まじっすか~」

と、リアクションを取るつもりだったのに・・・。



しかし、聞いてみたら

「このビニール袋を使ってタケオには氷袋を作ってもらう!」

だって。。。。


これはあまりに・・・・


普通。


普通すぎちゃって、リアクションできない。


僕は、あまりに真さんが真剣な顔だから、

なにかこのビニール袋をつかって

①アタタタタタタ~っと、魚をしめる


②ウオオオあたたたた~っと、貝類を調理する


③ワアアアあたたたた~っと客引きをする


と、特殊な技を使いつつ作業をするのかと思ったのに~。



けれども、ふたを開けてみりゃあ、


【ビニール袋を使って氷袋を作る】

だって・・・。



このときの僕の心境は、予期もしなかったという点においては、


あの松田優作氏が演じた【太陽にほえろ!】のジーパン刑事に共通するものがあると思う。


僕も大声でこう言いたい!


「何じゃあこりゃああ!!」

と。


ともあれ、【ビニール袋で氷袋を作る】というこの行為。

これはあまりに普通すぎて

『ちゃんちゃらおかしくて、おへそが茶を沸かすぜ』

っていう感じだった。


真さんは、そんな気持ちの僕を、顔から察知したのだろうか、


「タケオ!今、高校から頑張っていい大学まで入ったのに、

なんでバイト先でこんな事をしなくちゃいけないんだろうって思っただろう」

と僕にズバリ問いを投げかける。


僕もバカ正直だから、この真さんの言葉に


「ハイ~そうなんですよ」

と、本音を滑らしてしまった。


僕は言った瞬間、

『あっしまった!』

と思ったものの、時すでに遅し。



真さんはこの僕の言葉に




「あははは!」

笑った。


そして


「お前、面白い奴だな~。気に入ったぞ~」


と上機嫌。


僕はなぜ真さんがこれほどに笑い、上機嫌になったのかよくわからなかったものの、

真さんが笑ってくれたので、ひとまず安心した。


それから、真さんは続けてこう僕に言った。


「タケオ!」

「ハイ!」

「魚を出荷するとき、何が一番大切か知っているか?」

「えっえーーやっぱり鮮度ですかね~」

「そうだよ。その通り」

「じゃあその為にはどうする?」

「それは~、やっぱり冷蔵庫に入れるだのして冷やすんじゃないんですか」

「さすが大学生。その通り。しかしその通りなんだが、ここには冷蔵庫はないから・・・どうする?」

真さんが僕に質問し続ける。


「えっと~それならやっぱり氷を入れるしかないんじゃないですか?」


「そう、氷を入れるんだが、そのまま魚と一緒に入れたんじゃあ、

氷で魚が傷ついたりするから、そのままは入れらんね~な。

傷ついたら商品にならねーし」


「あっそっか!」

「だから氷袋を作るんだよ。」

「ふーん」

僕はこの真さんの話に納得はできたものの、

だからと言って、氷袋を作る事はそんなに特別な事でもなく

『そんなの氷袋をいれるなんて発想は、すぐ考えりゃあ当たり前ジャン』

と心の中で思ってしまった


すると、真さん、


「それじゃあ、ここにあるビニール袋に氷を入れてみな」

と、僕を店の奥にあるに氷がどさっと山のように積まれてある大きなプラスチック箱のところに連れて行き、

縦40センチ、横20センチほどの大きなビニール袋を僕に手渡したのだった。

「じゃあこれでやってみな!」


「ハイ、わかりました。」


僕は言われたとおり、ビニール袋の中に氷を入れていく。


『こんなの簡単じゃん。馬鹿馬鹿しい』

僕は氷を入れながらこう思う。

そして

「ハイ、できました」


僕は、ビニール袋にめいいっぱい氷を入れて真さんに見せた。


「よし!じゃあそれを、箱の中に入れてみろ」


僕は指示されるがままに魚の入った箱にそのビニール袋を入れる。

そして、箱のフタを閉めた・・・のだが、、、


「あれ??・・・閉まらない」


魚の入った発泡スチロールの箱が全く閉まらなかった。


そう、僕の作った氷袋が大きすぎて、フタが閉まらなかったのだ。


そればかりか、氷袋が重すぎて中の魚を圧迫してしまっているではないか。

僕は焦った。


けれども、真さんは僕のその焦り様を横から見ていたものの何も言わない。


僕は慌てて

『氷が多すぎた』

と思い今度は氷を減らして箱に入れてみる。


すると、今度はちゃんとフタがしまった。


『ふう~。なんだ。簡単じゃん』

僕はそう思い、


「できました!」

と、真さんに自信満々に報告。



そんな自信満々の僕の報告を受けて


真さんは、こうひと言。




「どうかな??」




「えっ違うんですか?」


僕は目を丸くした。


「そうだな~。悪くは無いけど、、、今のやり方じゃあ、

この魚はお得意さんのところに着いたところで鮮度はかなり落ちちゃってるね」


「えっそうなんですか??」


『俺のどこに間違いがあるっていうんだ!こんな簡単な氷袋作りに・・・完璧じゃないか!』

と、さっきの僕のやり方に間違いがあるなんて全く思えない僕。



「それじゃあ、俺が作ってみるから見ててみな!」


真さんはそう言うと、僕の目の前でビニール袋に氷を手早く入れ始めた。




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第87話:無知の知 

「それじゃあ、俺が作ってみるから見ててみな」


真さんはそう言ってビニール袋に氷をガサッ、ガサッと、手早く入れ始める。


さすがにこの氷袋作りは真さんにとっては手馴れたもの。


サササーッと氷袋を作っていく。



「えっ?氷をそれくらいしかいれないんですか?」

僕はビニールに入れる氷の量の少なさにビックリした。


「そうだよ。これくらいがちょうどいいんだ。」


真さんはそう言うと、ビニール袋の 2/4 分だけ氷を入れたのだった。


そしてそのビニール袋を結び、そのまま箱に入れるのかと思ったら、

トンでもない。


真さん、今度は氷の入ったビニール袋をギュッと圧縮させ、

ビニール袋の中にある空気を出来るだけ抜いていったのだ。


そして空気が抜けた時点で、ビニールの先を結ぶ。


それでは今度こそ、それを箱にいれると思いきや

次は、その氷袋を両手に挟んで、左右両方からなんと


パンパンパンパンと叩き始めるではないか。


「こうやってビニールの下にある氷をビニール袋全体に均等に散らしていくんだよ。」

と、真さん。

最初、氷を入れた時のビニール袋の形は三角印▲になっていたのに、

手早く真さんがパンパンパンと叩き始めると、ビニール袋の形を四角印■に変形していく。


そしてこの四角形になったビニール袋を箱の中に入れたのだった。


「こんな感じで魚を包むようにビニール袋をいれると、この内部は0度位に保たれるんだよ。

それに、湿度も一定に保たれるから、

魚が腐敗したり乾燥したりすることなく新鮮なままで保存出来るんだ。

まあこれは雪の下によく野菜をいれるあの天然のチルドルームに似てるかな。

だからタケオがやったように氷袋をそのままいれてしまうと、

氷袋に触っている部分しか冷えないから新鮮さが保たれないんだよ。」


「へえ~そうなんだ~」

僕は腕を組みうなずく。

『食を扱うってはすげなー』


僕にとってこの一連の作業は眼からウロコだった。




・・・・・そう言えば僕と真さんとの会話


いつの間にか【美味しんぼ】の食に関する解説シーンみたい。


ちなみに真さんが山岡士郎で、

1.jpg






僕はというと、、、、


やっぱり富井富雄かな・・・

氷袋ごときと仕事をなめてたし、まだ髪の毛は薄くないけどね)




『袋に氷を入れるだけだと思った作業に、

実はこれほどに深い意味があるとは・・・俺もまだまだだな』


僕は、食に関しての自分の無知をそして、自分の経験のなさを深く知らされたのだった。


そんなとき

『無知の知を知ることこそ、真理なり』

というあの哲学の授業を事を僕は思い出した。


皆さん覚えているだろうかあの哲学の授業を・・・。


そう、あの携帯事件に出てくるあの哲学の授業。


「ほら見て見なさい、あなた!

今の自分の顔を見て見なさい。


醜い!


なんて醜いの!


人に迷惑をかけることをするとそんな醜い顔になるのよ。


ギリシャの彫刻を見て見なさい。


あの美しさからいったら、今のあなたの顔は醜い。醜すぎるわ」


の、キーキー声でなぜかお姉系のしゃべり方のあの先生の授業をだ。(詳しくは32話で)


僕があの授業で、学んでいたのは実は古代ギリシャ哲学。

特にソクラテス・プラトンの古代哲学について講義を受けていたのだ。


授業を受けている当時は、まるで
動物園のサル山で授業をうけており、何がなんだかよくわからなかったが

食に対する【無知に知】・・・

こんなところであの授業での内容の意味を知ろうとは・・・・


人生ってホントにわかんない。


『自分が生まれ変われるとしたら

本気でギリシャの彫刻になりたいと言い切っていたあの先生の授業が、

こんなときに役に立つなんて・・・・。


先生の言っていた
【本気でギリシャの彫刻になりたい】って意味は今でも全く理解できないけれど、

ソクラテスの言っていた事が今まさに理解できましたよ。先生!

先生のキレ方は意味わかんないけど、授業の内容はこれで理解できました!


先生、ホントにありがとう・・・。


僕は心の底からそう思った。



ちなみにこの【無知の知】とは、

哲学者ソクラテスの言葉で、

【自分自身が無知であることを知っている人間は、自分自身が無知であることを知らない人間より賢い。

真の知への探求は、まず自分が無知であることを知ることから始まる】

ということ。



これで僕も少しは、真の知に近づいたかも、、、、


「じゃあ、タケオ!やってみろ」

真さんが僕に指示をした。


「はい!わかりました。」

僕は先ほどの真さんを真似て氷袋作りに挑戦。


しかしこの作業、以外に難しい。


見てるときには簡単に思えたのに・・・


実際にやってみるとビニール袋の氷がなかなか全体に散ってくれない。


必ずといっていい程、隅に方に固まってしまうのだ。


「あれ?あれ?あれ?」

僕は何度も挑戦するも、、なかなか成功せず。


そんな僕を見て真さんは


「まあ、数をこなしていけばできていくから。」

と、慰めモード。


しかし、僕は結構な負けず嫌いの性格。

慰められれば慰められるほど、このヤロー!ってな感じで逆に成功するまでやりたくなる。

「もうちょっとやらせてください!」


僕は真さんに嘆願した。


「まあまあ、ちゃんとやらせてあげるから、落ち着いて~。それに今日の主な仕事は氷袋作りになると思うしね。」

と真さん。


「えっそんなに氷袋が必要なるんですか?」


「そりゃあそうよ。今はまだ4時すぎだから、ここも涼しいし、お客もきていないけど、、、これが5時過ぎになると、大変だぜ。

荒波の如くドバアーっとお客さんが増えてきて、今は夏だし、この築地は蒸し風呂の如く暑くなっていくんだ!

だから魚が痛まないように新鮮さを保つには氷袋がホントにかかせないんだよ。

まあ、口で言うより実際にあと1時間後には体験するから。あははは」


なんとなくその真さんの不敵な笑いが怖い。



それに、、、それを聞いちゃあもうやめられない。


と言う事で僕は、

「じゃあ今のうちに氷袋ストックしちゃいます。」

と練習を兼ねて、そしてその戦いに備えて氷袋を準備することに。



「おお!いいぞ。たぶんそれでも足りないと思うけどね。」

と真さんが発言に含みをもたす。



『いったい5時からどれだけのもんになるんだろう・・』

僕は全く想像もできないこれからの出来事に期待と不安を覚えつつ、黙々と氷袋作りに励むのだった。


そして

「ふう、これだけ作ればとりあえずは十分だろう。」


僕はとりあえず氷袋20個、作ってみたのだが、、、、。

黙々と作業をしていたせいかで腰が痛くなる。


『ああ腰がいてー』

僕は両手を伸ばし、大きく背伸びをした。


くううううーーーふうう


僕は大きく深呼吸した後ふと右に目をやった。


すると

僕の目の前に、いつの間にか
見知らぬ中年のおっさんが立っていた。



『わっ!!!!』


僕は心臓が飛び出るんじゃないかと思うほどにビックリ!



『うあああ~。びっくりした~。


誰だよ。このおっさん!

生意気にこんな店の中まで入り込んで、

しかも幽霊の如く、スーーッと俺の目の前に立つなんて

・・・存在感薄いっつーの!』



僕の目の前にいるこの存在感薄いおっさんは・・・・・・一体誰???と思い、


僕は思わず


「あの~どちら様でしょうか?」

と質問した。



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第88話:ウニはウニだけに・・・

「あの~どちら様でしょうか?」

僕は思わず質問した。


すると、

このおじさん・・・・ちょこっと首を動かすものの、真後ろに僕のいる方向に振り向く事無く、首の元の位置に戻す。


『えっ?もしかしてシカト?

俺今、シカトされた?』


しかし、明らかに僕の言葉に反応しての首運動。



・・・にも関わらずなのだから、明らかにこれはシカトというべきだろう。


しかもちょっとだけ反応したから


これぞまさしく『プチシカト』


シカトにプチも、ブチもあるのかと言われればそれまでだが、、、まあそんな事はどうでもいい。

とりあえず僕は


『なんだよ。このおっさん!感じ悪りいなあ~』

と、怒りMAX(マックス)。


僕は、店頭にいる真さん
と安さんのところに行き、


「真さん!」


「ん?」


「あの店の中にいる感じの悪いおっさんは誰っすか?」

と、店の奥にいる中年のおじさんを親指でクィクィっと指して、彼の身元を尋ねた。



「あっ!そっか!まだタケオに言ってなかったんだっけ。

あそこにいるのは、社長の弟で俺の叔父さんのみつるおじさん。

まあここに副社長ってとこかな」



ガーーーン



・・・・・・僕はこの言葉に完璧に顔が引きずり、開いた口が塞がらず。



「真さん!」


「ん??」


「そう言う事はもっど・・・早ぐ言っでくだだいよ~」


僕はウルウル目で訴える。


「えっなんで?」


「ええ~だって・・・見知らぬ人と思ったから・・・失礼な事言っちゃったんで、、、、」


「なんて言ったの?」


「いや~全くしらないから、

あの~どちら様でしょうか?って言っちゃったんですよ~。

そしたら、、、無視されちゃって・・・」


僕はうつむき加減で、指をもじもじとする。



それを聞いた真さんは

「いや~大丈夫だって!

日頃から叔父さんはあんまりしゃべんない人だから、無視したように見えただけだよ。

今度、話しかけたら少しは反応するんじゃない。。。

根はいい人だから。まあ大丈夫だって、あははは」


と、僕の肩を叩きながら励ましてくれたのだが・・・。



「あっ!どうもはじめまして。今日からバイトすることになりましたタケオです。」


僕は副社長に深々と挨拶したものの、あえなく撃沈。


うんともすんとも反応が返ってこなかった。



『ぜってー。ぜってー怒ってる!

怒ってるよ~この人~』

僕は確信した。



けれども僕はまだこのバイト始めたばかり。


というより、まだバイトを始めて1時間しかたっていないじゃないか!



『今ならまだ間に合う。


ここで印象を良くしておけば、これからのバイトもやりやすくなるはずだし、、、』


・・・そう思った僕は



「えっと~。副社長の被っている帽子はセリに使うものなんですか?」


と、話を副社長に切り出す。



僕はまず副社長の被っていた明らかにセリの時に使っていた思われる帽子に注目した。



そしてこの帽子をネタに会話の糸口をつかみ、僕の印象を少しでも良くしとこうと思って、でた質問、、、それがこの

「えっと~。副社長の被っている帽子はセリに使うものなんですか?」

だった。


そして、結果はというと・・・



「・・・・・・・・・・・・・・・・」

シーーーーーン



あえなくダウン。



これまたうんともすんとも言わない副社長。


僕は再び真さんと安さんのいる店頭に行き、店の奥にいる副社長を親指でクィクィっと指して、

「真さ~ん!」


「ん??」


「全然、ダメでじた~」


僕はウルウル目で報告。


「えっホント?

そっか~本当にしゃべらない人だからなあ、叔父さんは。

じゃあ今度はウニの事を聞いてみな。

無口でも、ウニの目利きはこの築地でじゃあ有名なんだぜ!」

と、真さん。



「本当ですか?じゃあやってみます」


僕はもう一度、副社長に近寄り、アタックしてみた。



「えっと~、副社長はウニが専門なんですか?

ちょっと食べて・・・いや見て見たいな~」



僕はそう言いながら、副社長の横にあったウニをさりげな~く見ようとおもったのだが、、、



副社長のおじさんは、突然、僕の方を見てジーーーーッっと凝視。



僕はその凝視に耐えられなくなり


「えっいや~。いっ今のは、冗談です~」

と、後ろに一歩ずつ下がっていき、


三度、


「真さ~ん」

と、真さんと安さんのいる店頭へ。


そして店の奥にいる副社長を親指でクィクィっと指して、



「もうダメッス。僕には無理っす」


と、超ウルウル目で事態を報告。



「えっホント?そっか~お前でもダメだったか~。

でもお前はよくやったよ。

なんせ、おじさんは、俺ともあんまりしゃべんないからな~。

職人気質というかなんというか・・・。

おじさんとしゃべるとしたらまあ唯一社長くらいかな~。」

真さんがポツリ。


それを聞いた僕は、


「真さん!」


「ん?」


「もっと、そう言う事はもっど・・・早ぐ言っでくだだいよ~」

僕が超ウルトラウルウル目で訴える。


「あっ!いやいや~わりい、わりい。

タケオならと思ったんだけどな~。

まあウニの話だけに、とげとげしいって感じかな!あははは」

と、笑いでとぼけようとする真さん。



「真さん、・・・・俺、全然笑えないっす」

と首を振る僕。



「本当?まあいいじゃないか~。ねえ~安さん。そうですよね~。」

真さんは隣で一部始終を見ていたであろう安さんに同意を求めた。



すると、安さんはこちらを見てひと言。





「へええ~・・・何が??」







『おめえ、見てなかったんかい!!』





「はああ、なんか俺って、、、、からわれているだけのようなあ・・・・」




とまあ、こんな感じで、

氷袋で【ホッ】、叔父さんで【わっ!】、真さんで【えっ?】


というひとときの時間はあっという間に過ぎていったのである。



そして、とうとう僕にとっての魔の時間がやってきたのだった。



『ああ、やっべーーー』




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第89話:場内市場の実情・・・ 

とうとう魔の時間がやってきた。

 
コクッ


コクッ


コクッ


僕のまぶたの上と下が閉じるのと同時に僕の頭が

コクッ


コクッ


コクッ


小刻みに動く。



『だあああああ~眠い!眠すぎる!』


そう、魚のセッティングと氷袋のストックのひと仕事が終わったくらいから、強烈な睡魔が僕を襲った。


しかも僕が眠くなる頃に、お客がドドドと市場に押し寄せて来るからこれまた、たちが悪い。

これぞまさしく魔の時間。


睡魔にひどく襲われた僕の体は誰かがのりうつっているかのように右に左に、そして前に後ろに円を描きながら揺れていく。
   

たぶん、のりうつったのはアレだと僕は思う。


なんせ右に左に、そして前に後ろに円を描きながら揺れる動き・・・


これはまさしくアレしか考えられないだろう。



そう、あの【チューチュートレイン】




まさにこんな感じの!










61d48f65.jpg







これぞ!まさに

天然系チューチュートレイン

by【バグズ・ライフ】ハイムリック





「うっおお~ヤバい~ヤバい!
 
ヤバい……きてる・・・きてる・・・あああ」
 
 
そんな今にもまぶたが閉じようとするときにタイミングよくお客が現れる。

 


ここで少し話を脱線して・・・・、、、、ここで言われるお客とは一般人のことではなく、

寿司屋の板前さんや居酒屋の主人など魚を扱う職人達のことを指す。


この事は私達一般人でも、テレビなどのおかげで広く知っている事だと思われるが、

でももう一度この事を整理してみると、


これって、場内市場の魚屋さんが目利きした魚を、これまたプロの職人たちが目利きしているって事になる。


これは何を意味しているか皆さんはお分かりになるだろうか?




これを読んだ人の中から、どこからともなく




「で?」




「は?」




「なに?」





という、なんとも

【この説明、超つまんねー】的な、


女子高生チックな感想が飛んできそうなのだが、




それをあえて前回から続いている【美味●んぼ】チックに説明しよう!!




つまり、これって実はものすごい競争社会なのだ。
 


なんの競争社会かと言うと、無論、魚屋の競争社会。


これは私達がスーパーで魚を見て、




「ああ!これが新鮮そう。じゃあこれにしちゃおうっと!」



とか




「きゃっ!魚と目があっちゃった~。気持ち悪い~。だからこのお魚買わな~い」



とか




「この魚、顔が臭そうだから、いらない」




なんて目利きするのとは、全然わけが違う。
 




プロの料理人にとっては、新鮮なのは当たり前。



彼らにとって必要なのは新鮮プラス




【魚の脂のノリ】だ。



だから、魚屋はより脂ののったおいしい魚をセリで目利きして、



お客である寿司屋の板前さんなどに勝負を挑まなければ、彼らの鋭い目利きによって完全に見抜かれて、魚を買ってはくれない。
 


だから、魚屋は魚に脂がのっているかどうかを必死でセリ中の魚に光らせるのだ。


しかもここ場内での情報源のすべては口コミと言ってもいい。
 

口コミで

「あそこは目利きがいいぞ~」

と広がれば、その魚屋には固定客がついていくし、多くの人が訪れる。


しかし、それとは逆に


「あそこは、あじが落ちた」


などという口コミが広がれば、その魚屋の固定客は少なくなり売上も当たり前だが、減っていくことに。



私達一般人にとって市場とは、【ただ活気溢れる場所】と言うイメージしかないが、


ここ築地は


魚屋の超激戦区。


シビアな食うか、食われるかの競争社会なのだ!
 

ただ、もちろん魚屋同士も横の繋がりというのも存在する。


なので、お客が注文した魚が品不足になったときには、近くの店に協力を仰ぎ品を譲り受けるということもざらにある。
 

だがやっぱりここは競争社会。
 

僕は、この築地市場で働きながらその事を赤裸々に知った。



また僕はここでのバイトでこの場内市場で生き残っていくために、大きく分けて三つの種類の魚屋がある事に気がついたのである。



その3つの種類の魚屋とは・・・・。






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第90話:専門用語なんて・・・

場内市場で生き残っていくために、大きく分けて三つの種類の魚屋がある事に気がついた僕。


その3つの種類の魚屋とは・・・・。

①質のいい魚を仕入れようと目利きに力を入れる職人気質あふれた店


②魚の質は落ちるものの大型チェーン店などと契約することで大量出荷する大型店


③職人気質でありながらも背に腹は代えられないという事情でチェーン店と契約する店。
 

どこの魚屋も凌ぎを削って生き残りをかけているのが実情だ。
 

僕のバイトしていた魚屋-兼丸はというと、、、、③番に近いだろう。
 

僕がバイトに入ってくるちょっと前くらいから居酒屋チェーン店と契約するようになった。


以前はここの店も職人気質で、目利き勝負だったのだが、

最近では魚の消費が落ちているのか売上も下降気味になり、

これを打開しなければと言う事で、悩んだ結果の方針の転換らしい。



こんな事を聞くとどこの世界も厳しいなあ~と感じる。


まあこんな店の事情もあり、僕はセッティング&氷袋作りが終わると、

居酒屋チェーンからのオーダーのあった品を入れた後に、氷袋を乗せフタを閉めて密封。

 
そして、その箱をあるところへと持っていく。

 
そのあるところとは、所定の地域に配達してくれるトラックが止まっている場所のこと。
 
例えば、恵比寿方面なら恵比寿周辺にあるお店ならばトラックで配達してくれるのだ。
 

しかし、この場所が結構、うちの魚屋から遠い。

片道、5分はかかる。


しかも、今の僕はというと、、、

ちょっとでも時間ができたらチューチュートレインをしてしまう状態。


けれども、そんな事はお構いなしに、指令が下った。


「じゃあ、この荷物、東マル8に持っていって!」

と。


東マル8?」


「そうだよ。そこに荷物置けば配達してくれっから~!」


「は~い。わかりました」


「よいしょっと」


僕は発泡スチロールの箱を2つ持ち、その
【東マル8】と呼ばれる配達場に向かって歩いていく。


そして

「しっかし、
この【東マル8】っていうのは、なんかうどんのダシみたいだな~

とブツブツ独り言を言いながら、場内をトコトコと歩いていった。



ちなみにこの【東マル8】とは場内で使われている専門用語。


この場内ではこのようにいくつもここでしか通用しない用語が存在している。


この【東マル8】という専門用語。




あなたはこの意味、解読できるだろうか。


どうぞしばらくの間、考えてみて下さい。

チッチッチッチーーーン


はい!時間切れです。






ヒント!、、、実はこの【東マル8】、




トラックの積荷場所の目印として使われている。

こんな感じで、、
fimg_1205940507.png










もうお分かりになっただろう。



そう、この答えは、、、





東八の文字がマルで囲まれているから【東マル8】


・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・・

そのまんまじゃん・・・・。



多分、この答えにも

「は~?何のひねりもねーじゃん!」


「全然意味わかんないんですけど~」


「でっ?」

と、前回と同じように、いやむしろちょっと反抗期入ってます的な女子高校生の反応が返ってきそうだが、、、


実際、人がネーミングを考えるときなんて、結構単純なものをつけるものだ。



以前、東京の多摩川に突如アザラシが現れ、

マスコミが殺到し、脚光を浴びた出来事があった事を覚えているだろうか。


あのアザラシは後に、【タマちゃん】と命名されたのだが、

その由来はというと・・・・、



「アザラシが多摩川にいるから」 


だった。




でもこれ、よーく考えたら、



「そのまんまじゃん!」


と突っ込みたくなる。


けれども、当時はそんな事は全く突っ込まれることはなく、

逆に【タマちゃん】という名前が可愛いと言われるほどに、

この一匹のアザラシは日本中の話題をさらっていった。



タマちゃんCDソングまでできたくらいだし。。。


しかし、荒川出没した時のタマちゃんの映像を見たときほど、

僕にとってショックなものはなかった。。。。



「えっ!?あれって・・・・・マジで、タマちゃん??

なんと言うか~こう、、、、」




【Before】
<目でかわいいさアピール!我らがアイドル、タマちゃん!>

images.jpg












【After】
<からだのブリブリ感がなんとも・・・・、我らがメタボリック!、タマちゃん!>

082seino100_name.jpg








ともあれ、僕はその荷物を、半分夢遊病状態になりながらも持って行ったのだった。




そして僕は荷物を【東マル8】に置き、そのフラフラ状態のまま魚屋へと帰っていく。



そんなフラフラ状態のときに、またまたタイミング悪く事件は起ってしまった。


突然、


誰かが


グニャ


っと


僕の足を踏んだのだ。


「うおおお!イッテーーー!!」


僕のそれまでの半分夢遊病にかかったようなへたれた顔から一変、

【ムンクの叫び】にも似たような形相へと変わる。





mun1.jpg










『イッテーし!なんか変な音したし、誰だ!この野郎~!!』



僕は足を踏んだ張本人に視線をやった。




するとそこには、



なんと!あのターレーの姿が、、、、



『えっまじ??もしかして俺の足・・・・いっちゃった!?』



姉さん、僕の足・・・・ヤバイです(泣)




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