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第87話:無知の知 

「それじゃあ、俺が作ってみるから見ててみな」


真さんはそう言ってビニール袋に氷をガサッ、ガサッと、手早く入れ始める。


さすがにこの氷袋作りは真さんにとっては手馴れたもの。


サササーッと氷袋を作っていく。



「えっ?氷をそれくらいしかいれないんですか?」

僕はビニールに入れる氷の量の少なさにビックリした。


「そうだよ。これくらいがちょうどいいんだ。」


真さんはそう言うと、ビニール袋の 2/4 分だけ氷を入れたのだった。


そしてそのビニール袋を結び、そのまま箱に入れるのかと思ったら、

トンでもない。


真さん、今度は氷の入ったビニール袋をギュッと圧縮させ、

ビニール袋の中にある空気を出来るだけ抜いていったのだ。


そして空気が抜けた時点で、ビニールの先を結ぶ。


それでは今度こそ、それを箱にいれると思いきや

次は、その氷袋を両手に挟んで、左右両方からなんと


パンパンパンパンと叩き始めるではないか。


「こうやってビニールの下にある氷をビニール袋全体に均等に散らしていくんだよ。」

と、真さん。

最初、氷を入れた時のビニール袋の形は三角印▲になっていたのに、

手早く真さんがパンパンパンと叩き始めると、ビニール袋の形を四角印■に変形していく。


そしてこの四角形になったビニール袋を箱の中に入れたのだった。


「こんな感じで魚を包むようにビニール袋をいれると、この内部は0度位に保たれるんだよ。

それに、湿度も一定に保たれるから、

魚が腐敗したり乾燥したりすることなく新鮮なままで保存出来るんだ。

まあこれは雪の下によく野菜をいれるあの天然のチルドルームに似てるかな。

だからタケオがやったように氷袋をそのままいれてしまうと、

氷袋に触っている部分しか冷えないから新鮮さが保たれないんだよ。」


「へえ~そうなんだ~」

僕は腕を組みうなずく。

『食を扱うってはすげなー』


僕にとってこの一連の作業は眼からウロコだった。




・・・・・そう言えば僕と真さんとの会話


いつの間にか【美味しんぼ】の食に関する解説シーンみたい。


ちなみに真さんが山岡士郎で、

1.jpg






僕はというと、、、、


やっぱり富井富雄かな・・・

氷袋ごときと仕事をなめてたし、まだ髪の毛は薄くないけどね)




『袋に氷を入れるだけだと思った作業に、

実はこれほどに深い意味があるとは・・・俺もまだまだだな』


僕は、食に関しての自分の無知をそして、自分の経験のなさを深く知らされたのだった。


そんなとき

『無知の知を知ることこそ、真理なり』

というあの哲学の授業を事を僕は思い出した。


皆さん覚えているだろうかあの哲学の授業を・・・。


そう、あの携帯事件に出てくるあの哲学の授業。


「ほら見て見なさい、あなた!

今の自分の顔を見て見なさい。


醜い!


なんて醜いの!


人に迷惑をかけることをするとそんな醜い顔になるのよ。


ギリシャの彫刻を見て見なさい。


あの美しさからいったら、今のあなたの顔は醜い。醜すぎるわ」


の、キーキー声でなぜかお姉系のしゃべり方のあの先生の授業をだ。(詳しくは32話で)


僕があの授業で、学んでいたのは実は古代ギリシャ哲学。

特にソクラテス・プラトンの古代哲学について講義を受けていたのだ。


授業を受けている当時は、まるで
動物園のサル山で授業をうけており、何がなんだかよくわからなかったが

食に対する【無知に知】・・・

こんなところであの授業での内容の意味を知ろうとは・・・・


人生ってホントにわかんない。


『自分が生まれ変われるとしたら

本気でギリシャの彫刻になりたいと言い切っていたあの先生の授業が、

こんなときに役に立つなんて・・・・。


先生の言っていた
【本気でギリシャの彫刻になりたい】って意味は今でも全く理解できないけれど、

ソクラテスの言っていた事が今まさに理解できましたよ。先生!

先生のキレ方は意味わかんないけど、授業の内容はこれで理解できました!


先生、ホントにありがとう・・・。


僕は心の底からそう思った。



ちなみにこの【無知の知】とは、

哲学者ソクラテスの言葉で、

【自分自身が無知であることを知っている人間は、自分自身が無知であることを知らない人間より賢い。

真の知への探求は、まず自分が無知であることを知ることから始まる】

ということ。



これで僕も少しは、真の知に近づいたかも、、、、


「じゃあ、タケオ!やってみろ」

真さんが僕に指示をした。


「はい!わかりました。」

僕は先ほどの真さんを真似て氷袋作りに挑戦。


しかしこの作業、以外に難しい。


見てるときには簡単に思えたのに・・・


実際にやってみるとビニール袋の氷がなかなか全体に散ってくれない。


必ずといっていい程、隅に方に固まってしまうのだ。


「あれ?あれ?あれ?」

僕は何度も挑戦するも、、なかなか成功せず。


そんな僕を見て真さんは


「まあ、数をこなしていけばできていくから。」

と、慰めモード。


しかし、僕は結構な負けず嫌いの性格。

慰められれば慰められるほど、このヤロー!ってな感じで逆に成功するまでやりたくなる。

「もうちょっとやらせてください!」


僕は真さんに嘆願した。


「まあまあ、ちゃんとやらせてあげるから、落ち着いて~。それに今日の主な仕事は氷袋作りになると思うしね。」

と真さん。


「えっそんなに氷袋が必要なるんですか?」


「そりゃあそうよ。今はまだ4時すぎだから、ここも涼しいし、お客もきていないけど、、、これが5時過ぎになると、大変だぜ。

荒波の如くドバアーっとお客さんが増えてきて、今は夏だし、この築地は蒸し風呂の如く暑くなっていくんだ!

だから魚が痛まないように新鮮さを保つには氷袋がホントにかかせないんだよ。

まあ、口で言うより実際にあと1時間後には体験するから。あははは」


なんとなくその真さんの不敵な笑いが怖い。



それに、、、それを聞いちゃあもうやめられない。


と言う事で僕は、

「じゃあ今のうちに氷袋ストックしちゃいます。」

と練習を兼ねて、そしてその戦いに備えて氷袋を準備することに。



「おお!いいぞ。たぶんそれでも足りないと思うけどね。」

と真さんが発言に含みをもたす。



『いったい5時からどれだけのもんになるんだろう・・』

僕は全く想像もできないこれからの出来事に期待と不安を覚えつつ、黙々と氷袋作りに励むのだった。


そして

「ふう、これだけ作ればとりあえずは十分だろう。」


僕はとりあえず氷袋20個、作ってみたのだが、、、、。

黙々と作業をしていたせいかで腰が痛くなる。


『ああ腰がいてー』

僕は両手を伸ばし、大きく背伸びをした。


くううううーーーふうう


僕は大きく深呼吸した後ふと右に目をやった。


すると

僕の目の前に、いつの間にか
見知らぬ中年のおっさんが立っていた。



『わっ!!!!』


僕は心臓が飛び出るんじゃないかと思うほどにビックリ!



『うあああ~。びっくりした~。


誰だよ。このおっさん!

生意気にこんな店の中まで入り込んで、

しかも幽霊の如く、スーーッと俺の目の前に立つなんて

・・・存在感薄いっつーの!』



僕の目の前にいるこの存在感薄いおっさんは・・・・・・一体誰???と思い、


僕は思わず


「あの~どちら様でしょうか?」

と質問した。



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