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第98話:心の奥底にあるもの

午前一時半。
 
この時間あなたは何をしているだろうか。

 
たぶん多くの人たちにとっては夢を見る時間帯だと思う。
 
 
しかし、僕にとっては出勤の時間帯。
 

ちなみに寮生にとってはというと・・・
 
ゲームをする時間(主に田端)であり、
 
ビデオをみる時間(主に金さん)であり、
 
とことん朝まで語り合う時間(恋愛話から就職の話まで)(主に相川さんや高木さんや白)などであった。

 
 
ともあれ、今日もいつものように僕の目覚まし時計がこの時間になる。


そして僕はいつものように


「あ~・・・だるい~

あ~・・・・だるい!」

とブツブツ独り言を言いながら慣れない体に鞭を打ち、仕事に行く準備をするのだった。


そしてバイト先の築地市場へと急ぐ。


そう唯一の交通手段であるママチャリを使って。


僕はこのママチャリを使って、毎夜、毎夜、大手町のビジネス街を通り、そして大人の町となる夜の銀座を通り過ぎ、築地市場へと到着するのであった。


今日でこのバイトを始めてから1週間となる。


だいぶ僕も仕事内容を覚えた。


そして一週間も経つと、真さんや哲さん、安さん達とは気軽にしゃべれるようになってきた感じだ。


副社長と言われるおじさんとはまだまだだけど・・・。



そんな慣れてきた現場で、真さんが突然、僕にポツリとこう愚痴をこぼしたのだった。



「タケオ!」

「はい」


「実は俺・・・・・

タケオのように大学に通っていたんだよ。」


「えっそうなんですか?」


「そう見えないだろ?」



「いや・・・・でも・・・・。えっえ・・・と」


僕は突然の言葉に、返す言葉がない。



「いいんだよ、別に。

俺もタケオくらいの年の時は、理系の大学に通っていてね。


でも、そんな時、親父が倒れちゃったんだよ。


だから俺は大学をあきらめたんだ。


俺が継がないとこの魚屋もなくなっちゃうからさ~。


本当は大学院まで行ってもっと勉強したかったんだけど・・・」


僕はこんな寂しげな言葉を口にする真さんは初めてだった。


今までとても明るく元気な真さんがこんなにも寂しげな顔でこんな寂しい話をするなんて・・・。


僕は何も言えず、ただただ真さんのその言葉に聞くことしかできない。


「だから、タケオのように大学に行って勉強している人がうらやましいよ・・・・。」

真さんが、うつむき加減にこう語るのだった。


そしてしばらくして・・・

「なあタケオ!」


「はい!」


「お前の両親に感謝して、ちゃんと勉強しろよ。

大学に行くって事はこんな行きたくても行けない人の上に成り立ってんだから。」


真さんは真剣な眼差しで僕の方をみながらこう言った。


僕は、とっさに

「あっはい!」

と返事をしつつも、


「しっかし最近は、大学に当たり前にいけると考えている連中が多くて、

学校をサボったり勉強しない奴が多いって聞くけど、、、、、

本当、そういうの聞くと俺、頭くるんだよな~。」

という真さんのひと言にビクっとする僕。


というのは何を隠そう


僕は、前期・・・


8単位しか単位を取得していなかったからだ。


これは東京の生活になれず、また学舎の人間関係に悩み、憂鬱になっていた事が原因ではあるのだが、

でもそれでもなお、今の真さんの言葉を聞いて考えてみると、自分の前期の大学生活の不甲斐なさを知らされた感じだった。


それから真さんは続けて

「まあ、タケオはいい大学にも行っているし、たぶんこれまでの人生、順風満帆にきているんだろうけど、

何の縁だかお前は今こうしてここにいるんだから、

是非こういう仕事もあるんだという事を知ってほしいと俺は思うんだ」

と僕の肩を叩きながらこう語った。


僕はこの真さんの言葉に、

「僕もそうだと思います。

真さんが言うように、ここで働かせてもらって初めて、ここで働いている人たちの事が少しわかったような気がします。

それに、ここにいる人たちによって僕たちの食は守られているんだなあと言う事もしれてほんとによかったと思います。

ただ・・・・真さん!僕の事、
順風満帆と言われたんですけど、

僕の
人生まだ短いですけど、順風満帆なものじゃなかったですよ。

僕は高校時代、自殺未遂もやっているし・・・」


僕はここで働いている率直な感想と、真さんが僕の人生を『順風満帆』と決め付けたことへの反論を述べたのだった。



いい大学行く=順風満帆・・・・なんかじゃない!






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